『小林さんちのメイドラゴン』小林さんちの隣に住んでいる谷菜さんが気になる






京都アニメーションの新作アニメ『小林さんちのメイドラゴン』。クール教信者先生の同名漫画をアニメ化した本作は、「京都アニメーション」と「クール教信者」という組み合わせの意外性に、放送開始前から興味を惹かれていた作品です。


実際に観てみると、所謂「人外ヒロイン」がトリックスターとして活躍するコメディとして、とてもおもしろく、毎週、楽しんでいます。


そんな『小林さんちのメイドラゴン』ですが、本作で、一瞬にして自分の心を掴んだキャラクターがいます。可愛らしいドラゴンな美少女キャラクターが魅力の本作ですが、その中でも、自分が気になって気になってしょうがない登場人物というのが……。





谷菜さんです。


そんなこんなで、今回のエントリでは、『小林さんちのメイドラゴン』の谷菜さんについてアレやコレやと!




■エクストリームな音楽性を志向する谷菜さん

谷菜(やな)さんは、第3話で小林さんたちが引っ越した先のマンションに住んでいる隣人です。その奇抜なヘアースタイルが先ずは目を引く谷菜さん。個性的なルックスに相応しく、音楽をやっているバンドマンだそうです。


しかも、その音楽性は、ゴリッゴリのヘヴィメタル。しかも、顔面を白塗りで歌う、かなりハードコアなヘヴィメタルです。


遮光カーテンで室内を真っ暗にし、サタニックな装飾品なども見受けられる谷菜さんの部屋。白塗りのメイクといい、恐らく、谷菜さんがやっているのはヘヴィメタルのサブジャンルの中でも、取り分け過激なサウンドとアティチュード(精神性)で知られる「ブラックメタル」なのだと思います(もしかしたら、そこにデスメタルの要素も含んだ「ブラッケンドデスメタル」かもしれません)。


■テレビアニメに出てくるヘヴィメタルバンドは何故、白塗りなのか?


ブラックメタルに関しては、上記の拙エントリにて(極々簡単ではありますが)解説をしておりますので、ご参考にしていただければと思います。


劇中の描写を見る限り、コープス・ペイント(ブラックメタルバンドのメンバーが行う白塗りのメイク)でステージに立っているっぽい谷菜さん。そのメイクや音楽性に反して、ヘアスタイルは80年代のLAメタルやヘアメタルを思わせるド派手でカラフルなものですが、それは、まぁ、ご愛嬌というヤツでしょう。


<Celtic Frost / Into The Crypts Of Rays>



もしかしたら、鋼鉄音楽史(ヘヴィメタル・ヒストリー)の最初期に、コープスペイントを導入し、そのエクストリームな音楽性や実験性で、後続のブラックメタルバンドに多大な影響を与えるも、何故か、後期に軟派なヘアスタイルとファッションへと方向転換し、LAメタルのようなポップなサウンドにアプローチした謎のアルバム『Cold Lake』(当然、ファンから大顰蹙を買い、その後、余裕で廃盤。今に至るも再発されない迷盤中の迷盤)をリリースしたCeltic Frostをオマージュしている可能性もありますが、まぁ、シンプルに漫画やアニメでヘヴィメタルを描くのに「白塗り」と「極彩色の派手な髪型」が記号として非常に分かりやすいかったんだと思います。谷菜さんのキャラデザに関しては。


<iron Maiden / Speed of Light>



登場するや否や、一瞬にしてメタルファンのハートを鷲掴みした(Iron Maidenの名曲『Speed of Light』のMVに出てくるエディみたいな感じで)谷菜さんですが、更に、気になるのがその生活力と経済力についてです。




■日本でエクストリームメタルをやるのは……キツイんです!

ヘヴィメタルが文化的に根付いており、ブラックメタルやデスメタルなどのメタルアルバムがヒットチャートを賑わし、国民的な人気を誇るバンドが数多くいるヨーロッパ諸国と違い、なかなかメタルが浸透し難い日本という国で、ブラックメタルのような音楽性でバンドを続ける、ましてや、商業的な成功を収めるのは、なかなかに困難な道のりです。


日本国内でのアルバムセールスやライヴの動員数と、海外での評価や人気が比例していないどころか反比例している国内のエクストリームなメタルバンドも沢山います。残念ですが、過激派ヘヴィメタルはまだまだ国内で大成功を収める程の商業ベースに乗れてはいないのです(しかし、それでも優れた音楽性を持つバンドは数多くいます。繰り返しになりますが、音楽性のクオリティとセールス数が比例していない。そこがまた、国内エクストリームメタルにまつわる環境の厳しくももどかしいところなのです……)。


しかしながら、この谷菜さん、小林さんと同じマンションの同じ階に住める程の安定した経済力と確かな生活力を有しています。


小林さんといえば、「住人が増えて、部屋が手狭になったから」という理由で、「すぐに不動産屋さんに相談に行き」しかも「今、住んでいるマンションの近所で」という条件で、「3LDKのより広いマンションに引っ越しをできる」程の経済力を持つ人物です。


敷金と礼金に加えて、引越し費用も掛かり、何かとお金が必要になる転居をアッサリと出来てしまうのです。SEの仕事は激務のようですが、キチンと貯蓄ができ、いきなり広いマンションに引っ越しても毎月の家賃に困らないだけのお給料はいただいているのでしょう。


というか、そもそも、トールとカンナという食い扶持がいきなり二人も増えたにも関わらず、養っていける小林さんは本当に凄いと思います。そりゃ、トールも惚れるわ……。




■生活基盤がシッカリしているメタラー、谷菜さん

さて、話は谷菜さんに戻ります。先程、書いたように、ある程度の金銭的な余裕を感じさせる(少なくとも、谷菜さん初登場のアニメ版第3話までは)小林さんの生活ぶりですが、谷菜さんも、そんな小林さんと同価格帯のマンションに住める生活力を有しているのです。


もしも、小林さんと同じ間取りだとしたら、対面キッチン付きの3LDK。勿論、風呂、トイレは別です。更に、「(第2話での描写から推測するに)商店街やデパートなどが徒歩圏内にあり、買い物などの生活の便も良い旧小林さんのマンション」から然程、離れていない立地なのです。


物凄く簡単に言うと、谷菜さんは、結構に良いマンションで暮らしています。


しかしながら、過激なヘヴィメタルで財を築ける程、サウンドやアーティスト性が商業音楽シーンに受け入れられていないのが、この国の現状です(哀しい……)。谷菜さんが、バンド一本で食っているとは、ちょっと考えづらいものがあります。


となると、谷菜さんは、「安定した収入を得られる仕事があり、生活の基盤を整えつつ、エクストーリムメタルの道を極めようとしている」と考えられます。


これは、表現者として、とても潔く、物凄くカッコ良い生き方です。


そんなカッコ良いブラックメタラーの谷菜さんですが、あのヘアスタイルですから、会社勤めのサラリーマンというのは、ちょっと考えづらいところです。もしかしたら、本職は、デザイナー……とかだったりするんでしょうか?


或いは、自身のメタルスピリッツ溢れるサウンドをアイドルソングなどに落とし込み、ヒット曲を作ってしまう程の凄腕のコンポーザー(作曲家)なのかもしれません。coalter of the deepersのNARASAKIさんみたいな。


<ももいろクローバー / ピンキージョーンズ>

(メンバーが教会に火を着けたり、神父を撲殺したりするタイプの超過激派ブラックメタルも好んで聴いているというNARASAKIさん作曲のアイドルソング。メロディは超ポップですが、このギターのラウドさとディストーションの掛け方よ……。♪チャパ! チャパ!)


……まぁ、でもコンポーザーなら、ちゃんと防音設備のあるマンションを選びそうですし、騒音で小林さんを困らせることもないでしょうから、この線は薄いかもしれません。……ヘスタイルや部屋の内装を見る限り、独特の美意識やセンスがありそうですし、デザイナーとかでしょうか、やっぱり……。


その見た目のインパクトと同様に、とにかく謎が多い谷菜さん。メタルファンとしては、恐らく、話の本筋とは全く関係ないであろう谷菜さんから全くもって目が離せません。


ブラックメタルをやってるっぽい谷菜さん、しかし、割りと良い感じのマンションに住んでいる谷菜さん、仕事は何をやっているのか分からない谷菜さん、家族とか彼女がいるのかも気になる谷菜さん(いるとしたら、金銭的にもっと凄い)、レコードデビューは果たしているかどうか、その辺の情報も欲しい谷菜さん……。


谷菜さん、ありとあらゆる意味で気になり過ぎます!


ちなみに、このエントリを筆者は、原作を未読の状態で書いています。原作のエピソードで、より詳しい谷菜さん情報が出ている場合は、その旨をご連絡、ご指摘いただけると非常に嬉しく思います。