結崎です。
先日の土日に、前々から気になっていたキネティックノベル
「終のステラ」
をプレイしました。「終(つい)のステラ」、と読みます。
端的に言うとすごく「良かった」ものだったので、読書感想文を書くような感じで紹介できればと思います*1。
※物語本編序盤のネタバレがございます。また、中盤以降のネタバレともとれる文面が存在します。ご留意ください。
買いました 初Key作品です 夜には追われると思います pic.twitter.com/sW2M1tvYPX
— 結崎 (@TtZack) 2024年1月27日
Twitter(旧X)での発言の通り、Key作品は初プレイとなりました。
というか所謂ノベルゲーを初めてプレイしました。
Angel Beats!はmy soul,Your beats!って曲しか知らないしシュタゲのネタバレを未だに踏んでいないレベルで触れていません*2。
さて、そんな私が何故このゲームのプレイを決意したかと言いますと......
『 #終のステラ 』にて、フィリアを演じさせていただきました!
— 指出 毬亜 (@sashide_m) 2022年5月13日
ティザームービーではフィリアの声も少しだけ聞けちゃいます!
ぜひチェックしてくださいね~!! https://t.co/heMI5xe9RS
昨年からファンをやらせていただいている指出毬亜さんがメインヒロイン役でご出演されているからですね。マジでこれ10割です。このゲーム発売したの昨年なんですけど、発売当時は全然なんかそういうのじゃなかったので......
所謂普通のノベルゲーをやったことが無いので下手なことは言えないのですが、そのようなノベルゲーとは違い、道中は選択肢もなく、誰が何週しようとも同じストーリーが展開されます。どちらかというと音楽と挿絵と音声がある小説を読んでいるような気分。故にロープライスで、それもプレイを後押ししてくれました。
総プレイ時間は10時間ほどでした。steamで評判が良かったレビューでは4~5時間(オート進行無し)ってあったんですがこれは相当勿体ないことしてると思います。やるならオート進行が没入できていいと思いました。
公式サイトから、あらすじを引用します。
地球が、すでに人類の世界ではなくなってから久しい。
世界はシンギュラリティを起こした機械群に支配され、人々はその片隅で、息を潜めて生き長らえていた。運び屋“ジュード”の元に、依頼が舞い込む。 それはシンギュラリティ機械群の影響を受けない、 少女型アンドロイド“フィリア” を輸送して欲しいというものだった。
世間知らずなフィリアの行動に嫌気がさしながらも、ジュードは旅を始める。 時には略奪を繰り返す人間から逃げ、時には機械群が闊歩する危険地帯を通り抜け、 輸送依頼を果たそうとする。フィリアは何度も人間になりたいと口にする。
遥か空の先に辿り着けば、 アンドロイドは人間になれると言うのだが......?
言ってしまえばよくある終末もの、とカテゴライズされるものですね。
しかし設定が仔細に練られており、「こんな設定ある!?」と驚く場面も多々ありました。先述の通りボリュームとしては短い部類に入るのですが、重厚かつ濃密で、読了後の満足感は凄まじいものがありました。
このゲームの大半は、運び屋のジュードとアンドロイドのフィリアの二人旅を描いています。故にこの2人をいかに想うことが出来るか、がこの物語を楽しむ肝になってきます。
自分と同世代の人間なら、ジュードのことはすぐに好きになれると思います。デキる仕事人。めちゃくちゃかっこいいです。
フィリアは、好きになれませんでした。自分でも驚きました。
銀髪で綺麗な瞳を持つ推定12歳前後、無垢で快活なCV指出毬亜のキャラクター、どう考えても好きなはずなんだけどな......と思ったのですがそれもそのはず。
フィリアがあまりにも「人間」すぎる。
アンドロイドであるはずのフィリアの声色が、あるはずのない感情が「人間」すぎる。演技が「人間」すぎる。序盤にフィリアがショッキングな光景を目撃するシーンがあるのですが......
それを見て涙を流しやがりました、このアンドロイド。意味わかんなすぎて気持ち悪かったです。
ジュードも同じようなリアクションを取るので、ジュードとの距離だけが縮まっていく......
プロの演技が、自分の好きなはずの声が、恐怖や気持ち悪さに反転するという初めての経験をしました。
フィリアはものを知らなすぎるので、眉を顰めるような綺麗事を何度も口にします。進めていて腹すら立ちました。
そう。自分は腹を立てました。人間でもない存在に。
気が付いたら、フィリアに対して人間に向けるような感情を向けている自分がいました。
物語を進めるにつれ、どんどん人間らしくなっていくフィリアに入れ込んでいく自分がいました。
物語とキャラクターに魅力がある。入り込める。入り込めてしまう。
それだけのことがこんなにも効いてくる。
時には軽口を叩き合い、時には真剣にぶつかり合い、時には......
そんなジュードとフィリアにどんどん惹かれていきました。
結果、泣いた。
めちゃくちゃに泣いた。
胸が苦しくなって、嗚咽をあげてしまうほどに泣いた。泣き疲れた。
長いこと言いたかった感想を溜めてしまいました。久しぶりに大泣きしました。読んで良かったと、この物語に触れることが出来て良かったと、本気で思うことが出来ました。
ただ、「泣ける」からこのゲームは良いゲームだよ、とは口が裂けても言えません。泣いたのは事実だけどあくまで結果であって、目的ではなく。
泣けることをこのゲームの価値にしてほしくない、と強く言いたいです。
とても美しく、暖かい物語でした。
いつも通り乱文になってしまいましたが、少しでも興味を持ってくださると幸いです。
ゲーム本編は各種サイト、steam、スマートフォンアプリとして好評配信中。体験版もあり、2000円あれば購入できます。
よければジュードとフィリアの旅路の果てを、見届けてください。
最後に。
このゲームには、たくさんの「人」が登場します。
「人間」「人の形をした野蛮」「人のようなアンドロイド」etc......
人のはずなのに、人扱いされない何か。
人じゃないのに、誰よりも人のような何か。
この物語の根幹にもかかわる話になります。
人間をどう思うか-好きな人、嫌いな人......それこそ人の数だけ、人間に向ける思いは変わってくると思います。
人間は愚かで、汚くて、どうしようもなくて、絶望してしまうような部分も多くあると思います。
それでも案外、誰かのためなら頑張れるものでもあり。
「人間になる」って、そういうことだと思う。