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大正時代に建設された県下有数の本格的洋風住宅!川口市「旧田中家住宅」の巻

今回は、川口市にある大正時代の和洋折衷の建築物「旧田中家住宅」をご紹介します。
味噌の醸造と材木商で栄えた川口市の田中家。現在の金額で2億5千万円を投じた建物は実に豪華です。
イギリス式二枚積化粧レンガによる美しい外観や白色系アーチやスパンドレルを使ったデザインは大変美しく印象的です。



100枚の写真で観る!(◎_◎;)
大正時代の和洋折衷の建築物
川口市「旧田中家住宅」


撮影:2022年5月5日 Canon PowerShot G7X & SX710HS

1 川口市立文化財センター分館・国指定重要文化財 「旧田中家住宅」 122号線に面した道路から見る。
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2
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3 洋館の正面玄関から入った帳場
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4 帳場の天井の造り 何気ない造りのように見えますが、田中家は材木商としても成功しており、名木をふんだんに使用した贅沢な造作にもご注目下さい。
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5 建築当時の帳場を描いたスケッチ
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6 同上
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7 帳場の壁に設置されていた「呼び鈴」
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8 帳場の掛け時計
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9 帳場奥の部屋を仕切る「引き戸」 
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10 同ガラス 種類の違うものが混ざっているので、破損して別のものを補充したようです。
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11 帳場横の洋室「応接室」 今回訪問した日が5月5日だったため、「端午の節供」展で各部屋に五月人形が置かれていました。通常展示の調度品配置と違っていますのでご了承下さいね。なお、展示されていた人形も貴重なものでしたが、枚数が膨大になってしまうため記事では、ほぼ割愛しています。
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12 応接室から表通りへ出入りする玄関  表通りから帳場を経由せずに洋館応接室へ出入りできるように作られています。
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13 同ステンドグラス
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14 応接室横から出た小庭。 庭の左奥に生えている草がアカンサス(葉あざみ)で、館内のあちこちの装飾にアカンサス模様(唐草模様)が使われています。
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15 応接室横の玄関の外観
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16 応接室入口前、階段横の「狛犬」
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17 小庭から見上げた応接室上の外観
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18 同装飾タイル
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19 同外観
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20 応接室から見た1F階段ホール
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21 応接室天井の装飾とライト。 天井の中心部の装飾は、アカンサス(唐草模様)を使っています。
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22 階段ホール
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23 2F座敷の天井
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24 2F座敷の欄間
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25 2F広縁
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26 2F書斎
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27 2F書斎天井の装飾
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28 2F書斎窓から見たベランダ
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29 洋館北側の家財道具保管用に造られた蔵の窓から見たベランダ。 蔵は現在、常設展示室としてパネル展示がありました。パネルの一部を記事の最後にご紹介しています。
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30 同展示室窓から見下ろした和館の屋根
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31 階段に施された装飾。 こちらもアカンサス(唐草)をモチーフにしたものです。
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32 2Fから3Fへの階段ホール
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33 3F大広間隣の控室
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34 同ドアの装飾
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35 控室窓から見た北側倉庫の外観
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36 同天井装飾
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37 3F北側倉庫(現3F展示室)の内部の天井梁 写真35の内部天井の様子です。
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38 常設展示パネルから
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39 同上
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40 同上
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41 同上
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42 同上
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43 同上
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44 3F大広間の装飾
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45 大広間
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46 大広間の調度品
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47 大広間の装飾
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48 大広間のイス
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49 同装飾
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50 大広間の天井
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51 和館2Fの和室(書院)天井
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52 同次の間の窓から見た北側の庭
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53 同和室、14畳書院、床の間に赤漆、床柱は檜のしぼり丸太を使用。
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54 企画展で展示されていた兜の置物。 鋳物の街川口らしい、鋳型を使った鋳造で作られたものだという!
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55 同和室南側の様子
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56 同上
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57 同和室窓から見た洋館南側の外観
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58 和館2F和室廊下
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59 和館2Fから1Fへの階段ホール
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60 和館1F南側からの庭
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61 和館1Fの仏間
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62 同仏壇?
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63 同北側の庭
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64 同神棚
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66 同北側庭
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67 和館1F次の間
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68 和館1F座敷と次の間の境の戸
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69 和館1F座敷に置かれた圧巻の五月人形たち。
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70 和館1F座敷北側
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71 和館1F東側には、広い手洗い室、袴脱ぎ室、便所が並んでいます。
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72 便所のドアの装飾。
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73 和館1F座敷南側廊下
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74 和館1F座敷の欄間
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75 和館南側の庭
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76 同上
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77 和館1F廊下の戸の装飾
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78 和館1F南廊下
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79 同上から見た洋館南側外観
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80 洋館1F帳場裏の部屋に造られた埋め込みの金庫
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81 帳場裏の部屋から土間への通路
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82 土間、勝手口南側の使用人部屋へ上がる急な階段
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83 勝手口の戸
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84 玄関から南側へ出る出入口
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85 敷地内から見上げた洋館南西部
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86 
和館南側の庭 昭和48年の改修時に、かつての味噌醸造蔵があった場所に造られた池泉回遊式庭園。
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87 茶室 こちらも昭和48年の改修の際、京都の職人を呼び、味噌醸造蔵の一部を利用して作られたといわれます。
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88 庭から見上げた洋館 上部に見える窓は、3F大広間の窓
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89 玄関上の外観 「TANAKA」の文字が刻まれています。 レンガを見ると、レンガの長辺(長さが長い面)だけの列と短辺(長さが短い面)だけの列が上下に繰り返されていることが分かります。このような積み方を「イギリス式」と呼ぶそうです。次の写真90の外側のレンガ壁も同様ですね。(一部リズムを変えるようにアレンジを入れている個所もあります!)
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90 旧田中家北西側のレンガ塀にある出入口(ここから直接、応接室に入ることができます)
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91 駐車場・駐輪場の案内図です。小さいですが、数台駐車可能なスペースが近くにあります。
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92 味噌醸造を行っていたころの田中家の様子を描いたスケッチです。
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93 洋館2Fの常設展パネルから
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94 同上
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95 同上
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96 同上 設計・監督を務めた櫻井忍夫(さくらいしのぶ)は、イギリス人建築家で名高いジョサイア・コンドル(三菱一号館、ニコライ堂、岩崎邸などてがけ、浮世絵師・河鍋暁斎に弟子入りした事でも有名)の孫弟子にあたるといいます。
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97 同上
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98 同上
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※旧田中家オフィシャルサイト

大変魅力的な和洋折衷の歴史的建物でした。
今回は、5月の「端午の節供」五月人形展示公開時の訪問でしたので、各部屋に田中家ゆかりの人形を中心に展示がありました。住宅だけを見るのなら、企画展が無いときに訪問するのが良いかと思います。
入館料210円、月曜休館、午前9:30~午後4:30開館、最寄り駅川口元郷駅徒歩8分、JR川口駅、赤羽駅よりバスあり


99
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100 「端午の節供」展で展示されていた五月人形
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コメント

Re: No title

バケツさん!こんばんは!

う~ん!さすがビジュアル派ですね。目の付け所が違います(笑)

最初は、何の事?かと思ったのですが、「旧田中」の文字ですねぇ~。

ガハハハッ、確かに□が一杯並んでおりました(^▽^;)

材木商だっただけに、ふんだんに木材を使用したようですよ。でもレンガも使いたかったのね~キット!

No title

こんにちは。
「旧田中」漢字文化のない人が見たら
縦線と□だけ。
なにこれ? え? 文字なの?
って言うんだろうな(笑)
内装は木造、外装はレンガ・タイルなんですね。
そう考えるとすごい建物だな~なんて。

Re: No title

大原かずのりさん!こんにちは!

今でも十分にインパクトのある建物ですが、当時は相当目立ったでしょうね(*^^*)

この旧田中家住宅の特徴は、洋館と和館が併設されていることのようです。というのも、元々材木商で成功していた田中家ですので、設計者もレンガ造りの洋館だけにせず、木材を生かした和館と調和させるべく工夫をしたと考えられます。

別の見方をすれば、全てレンガ造りにして広大な洋館にしてしまったら、また別の風景になっていたのかと(;^ω^)
使用したレンガも、すべて近くで専用に製造させていたというのですからこだわりも違います。

天井周りの漆喰鏝絵と思われる装飾は見ごたえあります(^▽^;)
ぜひ大勢の方に見に来てもらいたい建物です!



No title

これは凄い立派で、しかもモダンな雰囲気漂う家で!しかも3階建ては、当時は相当目立ったでしょうね。

当時はやはり、洋風の家は先進的で憧れの存在だったんでしょうね。我が家も古民家ですが、うちの場合は昭和初期に四間取りの1間に絨毯を引き、椅子を導入して臨時洋風の間を作ったそうです。もちろん旧田中家とは比較になりませんが^^;

天井の装飾は白漆喰の鏝絵ですかね。これは見事!^^
いつまでも大切に保存したい家ですね。

Re: 川口の意外な側面

BUSYBEE-GAEI さん!こんにちは!

やはりこのような建物ができるのは、一定の財力が無いと無理な訳です。

主の田中家ですが、2代目はすでに材木や肥料で蓄えた財を生かし地主となり、4代目は、村長や県議会議員などもやり、材木商や味噌醸造で一気に財を蓄えた方のようです。いわゆる商才に長けた家系なのでしょうか。ちなみに,5代目も川口市長になっています。

都内に残る、屋敷や洋館も、ほぼ大名屋敷を引き継いだ華族の住まいだし、明治から大正になると、実業家・財閥たちの別荘や住居と姿を変えたり、新たに建てられたりするようになって、この時代を象徴する生きた歴史建造物ということなのでしょう。

そういう意味でも、未だに世襲議員が当たり前のように残っていたり、一定の資産・財産を持つ方が国や地方の政治の主導権を握って離さないという社会は、未だ成熟していない「化石」や「古物」の社会のような気がしてなりません(^▽^;)

川口の意外な側面

川口にも豪商の立派な建築が残っているのですね。これは美しいです。
川口といえばキューポラ。でも、味噌屋さんとかいろいろな産業がひしめきあっていたのですね。
ガラスがとても気になりましたが、建造物も設えも、史実を探る資料も、見所いっぱい。

Re: No title

たいやきさん!!こんにちは!

川口市の文化財センター分館という形態で教育委員会の管轄になっているようです。

確かに、木造レンガ造りという特異的な建物ですし、デザイン性も高く味噌醸造との関係も深いので保存する意義があったわけですが、敷地内に「茶室」や「日本間」という「イベントルーム」も併設されているため、市民への還元も期待されるようです。

実際数年前に、私も和館1Fの日本間での講座に参加した覚えがあります。(*^^*)!!

Re: No title

keny72 さん!こんにちは!

地元でもあまり知られていないのかも知れませんね。川口の味噌醸造の歴史を考えるうえでも、とても興味深い建築物だと思います。

ぜひご訪問いただき、記事にしてもらえたら幸いです。(*^^*)!!

No title

旧田中家住宅がいつのころからか公開されるようになったということは知っていましたが、川口市が取得したからだったんですね。
重要文化財の建物の保護は本当に大変だと、別の建物の所有者に伺ったことがあります。
全くお金が出ないんだとか。
ここは本当に幸せな形になったのではないかと思います。
埼玉県を代表する近代建築の一つですね。

No title

こんばんは。
川口市にこんな素敵な旧宅があるとは知りませんでした。是非行ってみたいです!情報ありがとうございます(^^)

Re: No title

ytaka007さん!こんばんは!

川口駅からは少し離れていますのでバスや埼玉高速鉄道などを利用した方が便利ですね。

川口と味噌醸造は、なかなか繋がらないと思います。しかし、現在でも川口駅東口の新井商店(昔は味噌・酒店)さんは、最近「川口御成道味噌」という昔ながらの川口の麦味噌を復活させて販売しています(こちらのクラフトビールも有名です!)。

川口市は明治時代に麦の産地として知られ、東京から至近にあることも有って、川口で造られた味噌を東京へ水運で運び栄えたそうです。醤油の野田と似たような立地条件があったようですね。

写真41にあるように、川口市の南平(なんぺい)地区を中心に10余りの味噌醸造元が存在していました。現在は、すっかり衰退してしまっているわけですが、新井商店さんのようなチャレンジも始まっていて楽しみですね。(*^^*)

https://arainet.jp/miso/ (新井商店オフィシャルサイト)

No title

こんばんは、とりさん

旧田中家かなりなものです。
車でないと、の地理ですが、見せますよ。
旧田中家は、関東にもう一つあった記憶があるんですが。
味噌で上田の名称は説明を見ると長野県の上田とは全く関係ないわけでして。
ただ、川口の味噌は意外です。
駅近く東側のビルにも物産の紹介に確か味噌の展示があったと思うんですが?
川口産アルコール類もローカル的でいいですよね。
川口はキューポラだけではない、多彩な街です。
多くの写真で勉強させてもらいました。

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Author:torikera
季節の野草や身近な自然の写真のご紹介、トレイルランやポタリング、マウンテンバイクの記事、掘り出しモンCDアルバムなど音楽の話題、美味しい日本酒や蕎麦について、最近は庚申塔・石仏・富士塚・力石など石や塚などにも興味津々!とりとめのない記事ばかりですがよろしくお願いします。

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