設計の現場で使える便利な言葉「ゼルダの石」。

説明しにくい事柄に対して、ベストマッチする言葉があると便利ですが、今日はその中のひとつ「ゼルダの石」を紹介します。

「ゼルダの石」の使い方。

ゼルダの石は、以下のように使います。


これは「ゼルダの石」だから不要ですね。
さて、どういう意味でしょうか?

「ゼルダの石」とは、あっても無くても危害をなさないもの、また、そのような表現。

ゼルダの石とは、任天堂の宮本茂さんのインタビューで、僕が共感を得た内容から作られた故事成語です。
出典がウェブのどこかに転がっているはずですが、見つけられなかったので、僕の記憶と言葉で説明します。
あるとき、ゼルダのフィールドを作成していたスタッフが、何気なく石を配置しました。ゼルダの石は持ち挙げることができます。石の下からはアイテムが出てきたり、その石は投げてぶつけることが出来ます。
しかし、次の日、これを見つけた宮本さんが「誰がこんなところに石を置いたんや!」とお怒りになりました。
怒ったその理由はこうです。
「開発者にとっては無意味なものでも、プレイヤーからすればその意味を探そうとする。だから無意味なものを適当に配置するのは良くない」と。
これはゼルダをプレイしたことがある人には良く分かります。
ゼルダは謎解きです。なので、そこに何かあれば、それを使って何か出来ると考えます。しかし、何も出来なければ、何もできないと考えてしまいます。何も出来ないということが意識付いてしまえば、何もできないという先入観が芽生えて、本当に何かできるときに気付かない可能性が出てきます。
ゼルダはパズルでもあります。フィールドから得られる要素・アイテムは、パズルのピースのように相互的に機能します。もしかすると、そこに石がひとつあるだけで、開発者が予想もしていなかったことが起こるかもしれません。その場合に起こることは大抵バグでしょう。

計画性、目的、意味、それらが伴っていないもの →「ゼルダの石」

こういった話から、例えばウェブサイトで利用者にとって意味をなさないもの、ともすれば誤解を招く結果となってしまうものを「これは (適当に配置した) ゼルダの石 (のよう) になってしまうので不要ですね」という風に表現するようになりました。
また、設計上、意味が明確ではないものは取り除いた方が良いという教訓・原則としても機能します。
どうですか、便利な言葉じゃないですか?
共通認識が得られていれば、非常に使いやすい言葉ですので、ぜひ社内で流行らせましょう。