その昔、「ギフト」というドラマがあった。今も人気だが、当時はさらに大人気だった木村拓哉さん主演の作品で、記憶を失った男が、「運び屋」の仕事を通して、少しずつ人間性を取り戻していくという作品。
2016-05-21 17:05:47演出、音楽、ストーリー、キャスト、どれも素晴らしく、「キムタクは日本のジェームス・ディーンになった」と絶賛されるほど。しかし、放送終了後の後に、未成年による構内殺人事件が起こる。その犯人の少年が、作中で主人公が持っているのと同じバタフライナイフを凶器にした。
2016-05-21 17:07:24少年が「ギフト」を見てバタフライナイフを購入したと証言したことから、さらに騒動は拡大し、「ギフト」は青少年に悪影響を与えるものとされ、再放送は打ち切られ、現在に至るまでDVD化はされず、語られることはなくなった、俗にいう「封印作品」になってしまった。
2016-05-21 17:09:06その後、バタフライナイフへのバッシングは続き、販売や所持は制限され、フィクションでの使用もタブーとなった。ギフト以外のバタフライナイフが登場するドラマでも、再放送は控えられ、そもそもその回だけ放送がされない。もしくはボカシ処理が入れられるようになった。
2016-05-21 17:10:46マンガでも同様で、「ジオブリーダーズ」という作品では、登場人物の一人がバタフライナイフを使うのだが、突如使用されなくなる。まぁこちらの場合「なんで持ってないんだ!?」「わたしだってわからないです!」と、ネタにしたところが伊藤明弘先生のシニカルが光ったと事なんだけどw
2016-05-21 17:11:55ともかく、その当時の「キレる十七歳」なんて時代の諸悪の根源にされたナイフは、 持っているだけで狂人」という風潮になった中で、ある男が「私の趣味はナイフのコレクションです」と堂々といった。しかもテレビで。
2016-05-21 17:13:29司会者や出演者は「危なくないですか?」「危険だよ」「怖い」という中、男は平然と「なんでですか?」と問い返す、「人を刺すことができるじゃないか」という言葉に「でも、リンゴの皮を剥いて、あなたに食べさせてあげることもできますよ?」と返した。
2016-05-21 17:15:32男は続ける。「西洋ではね、学校に入学する時、万年筆をプレゼントするんです。これでしっかり勉強するんだよと。そして、卒業した時、ナイフを贈るんです。なぜだと思います?」「ナイフは、人を傷つけもするが、生活を支える道具なんです」「お前はもうそれを理解したなという証なんです」
2016-05-21 17:17:48「皆さんはね、ナイフが危険だ危険だと言って、取り上げることだけ考える。でもそれじゃダメなんです。人を殺しかねない危険なものなんて、そこら辺にいくらでもある。包丁だって、車だって、そこらの石の塊だって、人を殺せるんです」
2016-05-21 17:19:42「大切なのはナイフを取り上げることじゃない。まず万年筆を与えることなんです。ちゃんと、正しいことを悪いことを教えることなんです。それを怠っていれば、何度でも同じことは起きますよ?」
2016-05-21 17:20:36この当時、センセーショナルな少年犯罪が多発し、様々なものが「原因」として槍玉に上がった。アニメだったりゲームだったりマンガだったりホラー映画だったりと・・・しかし、それぞれの犯人たちには、それぞれの事情があった。ナイフで人を殺したが、ナイフは「結果」であって「原因」ではない。
2016-05-21 17:24:30事実、校内殺人を起こした少年も、家庭問題や部活動の問題、教師との相性、そもそも本人事態の精神的状態など、複雑なものが絡まって、その果てにナイフを求めた。ナイフで人を殺さなくても、他の方法で人を殺したかもしれない。そもそもなぜナイフを求めたか、そのことに誰も向きあおうとしなかった。
2016-05-21 17:26:40ナイフを規制しても、包丁は100円ショップでも売られている。そもそも一昔前は「肥後守」は小学生の必須アイテムだった。小刀を支給されての授業もあった。なぜそれで起こらず、今回は起こったか、そのことを、ちゃんと誰も考えようとせず、バタフライナイフの規制だけでなにかしたつもりになった。
2016-05-21 17:28:58そのことを、その男は見事なまでに的確に、現代人と現代社会が正視することを逃げている現状を指摘し、それを見ていた私は、その男の人の智性に、感心さえしたのだけど・・・
2016-05-21 17:30:34その人、舛添要一なんだよね・・・昨日の記者会見を見て、二十年でなんとも・・・格好の悪い姿を晒すようになっちゃったなぁと、結構落胆した。
2016-05-21 17:31:29