- akinosora_
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戯作者(小説家)です。 代表作『おもちゃ絵芳藤』(文藝春秋)、『廉太郎ノオト』(中央公論新社)など。近刊『憧れ写楽』(文藝春秋)、『二月二十六日のサクリファイス』(PHP研究所)など。 実態は病的なスピッツファン。操觚の会会員。発言はすべて個人的見解です。
呟いておくか。文明とはなにか。古代異世界ものを書きたいという人は参考に(無論反面教師という意味で)していただければ。
2015-08-13 21:51:55『文明』っていうと『世界に誇るべき文化』みたいなニュアンスでの使用例(フランス文明 日本文明など)があるのであれですが、今回テーマに置くのは古代文明のことです。
2015-08-13 21:55:36文明っていろんな定義がありますが、実は『都市単位での分業』が一つの指標になるだろう、というのが考古学者たちの考えです。文字はどうした、とか、大河はどうした、というのはとりあえず置いておきます。
2015-08-13 21:58:40人類はどうやらその誕生当時から群れだったようですが、やがて定住が始まりムラができます。そして、そのムラからのアガリを集める都市が誕生します。が、この段階ではまだ文明とは言いづらいのです。
2015-08-13 22:03:59やがて、都市がいくつも乱立するようになると、都市間での交易や朝貢関係が成立します。すると、やがて都市の間で分業がなされるようになります。例えば宗教都市なんていうのがまさにそれ。
2015-08-13 22:07:05都市がそれぞれの得意分野を生かして独自に役割を負うようになっていくんです。軍都とか聖都とか商都とか政都とか。こうなると文明となったといえるでしょう。
2015-08-13 22:09:49高度に分業が進んだ社会においてはどうしても必要なものがあります。たとえば物流が活発化しなければこうはならないため、ものを運搬するための運搬路が必要です。また、人口を確保するためには肥沃な大地が必要です。
2015-08-13 22:13:52また、運搬を遅滞なく行うためには運搬物を記録するメディアや計算能力が求められます。かくして、こうした地域では文字や数字という概念が誕生します。
2015-08-13 22:16:40そして、こうした運搬や分業の前提となるのは各都市を従えるだけの強烈な権力です。そう、ムラー都市ー国家 という序列の誕生です。
2015-08-13 22:20:35たとえば、日本においては前段で述べた文明化は弥生時代末期には完成していますが、日本のクニの誕生には黄河文明からの影響を無視できません。
2015-08-13 22:24:44なので、日本の社会は黄河文明の周辺文化と見るのが自然で、日本の古代を文明として理解することは一般的ではありません。
2015-08-13 22:27:14実は最近メソアメリカ文明という文明が取りざたされているのですが、これは10世紀以降まで続いています。しかし、南北アメリカ大陸という広範な地域において独自に文明化を果たしているからこその称呼です。
2015-08-13 22:33:24つまり、古代文明とは ①都市レベルでの分業化がなされている ②自然発生的に(他文明の影響を受けずに)成立した の2条件を満たしている場合と考えればいいでしょう。
2015-08-13 22:36:22んで、なぜ古代異世界ものの参考に…、と断ったのかというと、『大河が必要』とか、『文字が誕生する』といった従来の要件が魔法などのファンタジーガジェットの代入によって消滅する可能性があるからです。
2015-08-13 22:55:51たとえば、転移魔法があれば運搬技術はそこまで発達していなくてもいいはずです。また、文字以外のデータ転送能力が存在すれば文字が発達していなくても文明化可能です。
2015-08-13 23:00:11縄文文明論でよく例に挙げられる三内丸山遺跡は原始的な農耕をやっている形跡もありますし縄文時代の遺跡としてはあまりに規格外なのですが…
2015-08-14 00:24:16まだ、段階としては(好意的に見積もっても)ムラが大型化しているという状態で、都市が誕生して都市たちが密接に関係しているという状況は検出できていません。
2015-08-14 00:27:10