へしきり様としょっきり様

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

ちょっと未来の話でさ、美術館から盗難された刀が巡り巡って誰かの家に来てさ、そこからホラーが起こりまくる訳　若い男が夜な夜な廊下を歩きまわってるの血まみれの刀ぶら下げて　それがどうやら「へし切長谷部」という刀だと分かってな、こりゃ大変だと思って、ゆかりの地にお参りとかするのよ

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

ああ、2205年よりさらに先だといいな　それで、これはあの遡行事変で縁の深かった刀にとりなしてもらおうって思って色々探す訳　そしたら実は燭台切光忠は焼跡で火事場泥棒にあってちゃっかり現存していてな、無銘だから個人宅の蔵でちゃっかり昼寝しているんだよ

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

無銘だからってのは　無銘だからまさか燭台切光忠とも分からずって意味　それでさ、あーこいつ仲良かったんだからとりなしてもらおう穏やかそうだし助かったって思って事情を説明したら、それまで「うんうん」って聞いていてくれた表情ががらっと変わってそりゃーもう冷酷な顔つきに

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

「長谷部くんは優しいな。そんなことをされて、当主一人で許すつもりだったのかい？」って言うのさ　「僕は許さないよ」って言って一族郎党全員が刀の怨霊にロックオンされる　残念、君たちの冒険はここで終わってしまった　燭台切に助けを求めたのが間違いでしたね

ごうと @hskr_is_dead

「あんたそりゃ、へし切様だね。へし切様に気に入られたんじゃろう。かわいそうだが、わしにできることはなにもない」

ごうと @hskr_is_dead

怒らせてるのに「気に入られた」って表現を使うのがポイント

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

繰り返すけどひとたび祟り始めたら燭台切の方がヤバい　粘着質だからきっと　長谷部は本人だけで許してくれる　「俺一人の命で済むなら！」みたいな立派な死に方をすると好感度があがって、その後子孫を守ってくれさえする

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

いいな　座敷童的な感じであのひらひらが武家屋敷に住んでるの　昔先祖が大変な非礼をやらかして危うくぶっ殺されるところだったんだけど、その時の対応が良くって守ってくれるようになった　子供にしか見えなくて、門のところか縁側か庭にいるのよ

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

@hskr_is_dead お母さんが縁側に金平糖の入ったお皿を置くんですよ　子供がつまみ食いすると、「こら」って言ってどこからともなく現れるんですよ　そういうへし切様です

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

縁側で金平糖一緒にかじりながら学校でいじめられた話をするとな、「斬ればいいだろうそんなもの」って　ダメだよって言ったら「じゃあ殴れ」「僕弱いもん」「鍛えればいい。人も刀も、鍛えたものは強い」

無 @mauve_xx

へしきりさまから逃げてる途中で何かの下に入ると一度のぞき込んでからじっくりこう…圧して……斬られるのかなって…ｳｯてしてます……

無 @mauve_xx

子供が観音開きの衣装箪笥の中に隠れ、目を瞑って膝を抱えていた。箪笥の中ほどから横向きに細く光が入ってくるのを不思議に思い、顔を上げると水に濡れたような美しい刀が、箪笥をゆっくり両断しながら自分の胴へと吸い込まれるように滑ってくる。刀の切り口から外の光が差しこんできていた。

無 @mauve_xx

『へし切りさまの居られる間では、隠れるようなことをしてはいけない』言い伝えが本当だった事に子供は真っ青になり、思わず「へしきりさま、ごめんなさい！」と叫ぶと滑らかに進んでいた刃先が止まった。「なんだ子供か」と言う男の声と共に、フッと目の前で刃が消えた。

無 @mauve_xx

「覗き込んでくる」方のへしきり様は、何かをした後でながーい廊下を引き返してると、ぎしぎし床をならしてゆっくり追いかけてくるパターン。周りに障子も襖もない廊下をずっと行くと、変なところに都合よく隠れる場所がある。そこに辿り着くと隠れるか対峙するかを必然として迫られます。

無 @mauve_xx

「子供か」の方のへしきり様は何かそういうものを祀ってるお家で保管されてて、その家のひとたちは刀の保管場所のことを『へしきり様の間』って言ってる。そんなに物々しい感じではなくて物置と折半みたいな部屋なんだけど、あの部屋では神様が見ておられるから振る舞いに気を付けなさいと言われてる。

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

「この館に火を放ったのは誰だ！」「この館に火を放ったのは誰だ！！」「出てこい、出てこい、隠れようが無駄だ、このへし切長谷部が八つ裂きにしてくれる！」

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

「よくも！　よくもこの家で！　この俺の目の前で！　火を放とうとなど思ったものだな！　出てこい！　その体の隅々まで、この切れ味を刻みこんでくれる！」って言ってガチギレしているへし切様　火にはちょっと思うところのあるへし切様

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

燭台切くんはどうあがいても口述されていくうちに「しょっきり様」になるから可哀想

アカ移動中のミナト @minato_ryo1

しょっきり様が現れる時には家の電気がふっ…ふっ…ってゆっくり消えていくの　火の始末はちゃんとしないと　ちゃんとしないとねええ

イヌイ🐶 @inui0611

しょっきり様に憑かれるとすぐわかる どんなに明るい歩道を歩いてても、憑かれた人間が踏み出すたびに後ろの電灯がフッ…フッ…って消えてくし、行こうとする通りの電灯が蝋燭の灯りみたいに風もないのにユラユラするから おおこわい

無 @mauve_xx

勝手にかんかんだらと混同して、しょっきりさまの目を見た者の村は亡びるんだろうなとかもおもってる……もうしわけない…

無 @mauve_xx

しょっきりさまが通ると金属のものがゴトンゴトン斬れるのかな