建設業の作業員不足の原因は、単純に「賃金が低い」ってだけじゃない。 現在の建設工事に求められる品質と安全性を確保しようとすると、人員も技術も知識も経験も凄くたくさん必要になる。その為にはお金がかかるはずなんだが、そのお金を誰も適正に払ってこなかった。
2014-10-16 10:52:01その理由は末端ではたらく側にもある。建設業は複数の工事をそれぞれ担当する会社(下請業者)が、それらを統括する元請会社(ゼネコン)の元に集まって、協力してひとつの建物を作り上げていく。ゼネコンの仕事の中でも大きなもののひとつが、数多くの下請業者に適切な指示を出してまとめる事だ。
2014-10-16 10:54:52そして、下請業者はゼネコンと契約して「求められる仕事」に対して「対価たる金銭」を受け取る。 この「求められる仕事」には、【仕事の品質】【仕事中の安全確保の協力】【軽微な変更への対応】が含まれる。
2014-10-16 11:06:41これは当然ですね。「言われた仕事はやったよー。でも間違ってるかも知れないけどねー」では対価は払えません。だから、例えば図面と違う形のコンクリートを作ってしまって、その原因が明らかに下請業者にある場合は、その部分の手直し工事の金額を、その業者が弁償しなけりゃならない。
2014-10-16 11:09:22場合によっては赤字がでます。 それを防ぐために、下請とゼネコンは綿密な打合せをするし、ゼネコンの現場監督は現場をチェックするし、業者も必死で出来を見る。
2014-10-16 11:11:02だけども。いまの建築物(特に住宅系)ってのは、とにかく高度になりすぎました。 耐震、断熱、防火、防犯、気密性、快適性に加え、メンテナンスフリーまで求められています。そしてそれが当たり前、だと購入者層は思っています。 ところが違うんですね。
2014-10-16 11:13:20勿論、このような建物を作ることは技術的に可能です。でも、その為には莫大な金額と、多くの人員が必要です。 これをそのまま購入者への販売価格に反映すると、相当上位の富裕者層でも無い限り、家を建てることなんで絶対にできなくなります。
2014-10-16 11:18:37いや、それなりの価格でやってるじゃん、とお思いでしょう。 なぜそれが可能か。 それは「現場で働く人達の能力が凄まじく高い」からです。 ゼネコンの現場監督は、最低でも10年バリバリに働いて、ようやく一人前になれるかどうかです。作業員でも同じでしょう。
2014-10-16 11:20:49もちろん、学生バイトが飛び込みで出来るような類の作業は別として。 ただ土を運ぶだけの作業でも、10年やってる人と初心者では一日に運ぶ分量が5倍ほども違います。腕力とか体力の話じゃありません、コツと現場の把握と経験が、結果にモロに出るのです。
2014-10-16 11:25:09そのような経験を積んだ作業員、場合によっては50年も同じ仕事をしてきたベテラン、優秀な技術者たちが、少しずつ時間をかけて「今の高品質」を当たり前にしてきたのです。 支 払 わ れ る 人 件 費 は 変 わ ら ぬ ま ま に 。
2014-10-16 11:27:46そして、中には未熟な工員もいます。最初は誰でも初心者なのだから当然でしょう。その為に、間違いを犯したり、品質的に不足した物を作ってしまった場合どうなるのか。 結論、お金を払ってもらえません。
2014-10-16 11:31:12技術料として、最初から高い人件費を確保していれば、下請業者は未熟な工員を現場に送るリスクを、「未熟な者の給料を低くしておく」ことで回避できます。でも、最初から技術料が含まれて居ない金額しか設定してないのですから、ミスは直接赤字になります。取り返せません。
2014-10-16 11:33:27このような状況が続くとどうなるか。 簡単です、それこそ職人の世界そのものですが、未熟な人間は御飯が食えません。すると新しくこの業界で働こうとする人は居なくなります。熟練工は年とともに引退します。技術継承ができません。未熟な工員ばかりが残って、現場でミスをします。
2014-10-16 11:35:09ミスした分の弁済が重なり、業者はやっていけなくなります。 「もうやってらんねぇや」ってなり、作業員が少なくなります。 一側面からの見方ですが、大体こんな流れで人がいなくなっています。 金払わない方も悪かったが、それ以前に「技術料」とか「経験値」をお金に換算しなかった下請も問題。
2014-10-16 11:37:05先ほど書いた文面、あくまでも一側面からの見方です。ゼネコンも悪い点、行政も悪い点、業者も、作業員も、デベロッパーも、そして何よりも、われわれ購買者層にも、それぞれに悪い点があっての今です。
2014-10-16 12:20:32一連の@bujutsu_kenさんの建設業界の構造的問題とちょっと関係ある話だけど、仕事が無いから公共工事減らしてガンガン建設会社潰したら、まともな技術者がいなくなって道路等インフラ維持に支障をきたした国があって。日本も熟練職人さんが高齢になって後継者いない。同じ轍を踏みかねない
2014-10-16 12:35:42@inuchochin 若くて優れた職人もいるんですけどね。そいつら、「俺たちが現場作業の単価を上げてやるんだ」って熱く語る、意識高い系DQNですが。でも、そういう数少ない優秀なのにだけ頼ると、結局何も変わらないのですよね。
2014-10-16 12:43:30どうも「人が直接手を下す」類の作業を程度の低いものと見る価値観が強いなあ、と思う。パソコンでソフトを作り上げるのも、プログラマは虫けら。建物を作るのも、大工は虫けら。そんな国でモノづくりしてたら、そりゃ心が病むか荒むかするよなあ。
2014-10-16 12:51:48高性能の建物を、その割には安価で購入できる理由のひとつに「工事の効率化」がある。 出来合いの製品を現地で組みたりして、出来るだけ人の手で行う作業を減らして、人件費を削減する。 人手を減らして安くあげる。 どの業界でも推奨してるコレ何て言うか知ってるかい? 「 手 抜 き 」だよ。
2014-10-16 15:22:00手抜き≒効率化 と考えると、手を抜くことは悪いことじゃないように思える。 実際、それでも何も変わらなければ手抜き上等なんだけどね。 これで一番変わるのが「作る側の意識」だからタチ悪いよね。 絶対どっかしらモノが悪くなるもの。
2014-10-16 15:24:09現場において10年選手の職人と新人で、5倍から十倍の仕事効率と言ったのですが、誤解を与えてしまいました。申しわけありません。 ちゃんと書きます。
2014-10-17 13:12:33まず土を運ぶだけの仕事でも、と言いました。 ここが少々間違っていましたね。 正確には、現場において「土を運び終わる」という結果を出すために、どのように動くかという事なのです。
2014-10-17 13:18:48単純に肉体労働をするべきなのか、重機を入れてがさっと作業するべきか。本来は重機を入れたいけど、現場状況的に無理だから別案を出すとか、工程自体を変更してしまうとか。
2014-10-17 13:20:09