新人賞応募に同人誌&非営利ウエブサイト掲載作品を認めてほしいというキャンペーンに私が賛成しかねる理由
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新人賞に同人誌発表作品や非営利ウエブサイトの公開作品の応募を認めてもらいたいという文学フリマ事務局の主張(change.org/p/%E6%96%87%E8…)なのだが、「出版社にとってのメリット」が十分に反映されていないと私は感じた。このままでは出版社も受け入れがたいと思う。
2014-09-11 03:32:23新人賞を主催する出版社が期待することは「(1)未知の」「(2)可塑性と」「(3)体力を備えた」書き手が出てくることだ。(続く)
2014-09-11 03:35:43「(1)未知の」には「出版社の編集者が自力では探し出せないような」と「よそが手をつけていない」という二つの意味が含まれる。文学フリマ事務局の主張はここに着目したもので「同人&ウエブ作家」という漁場にもきちんと網を入れて人材を探してはいかがでしょうか、ということだろう。(続く)
2014-09-11 03:37:26そうした主張には頷ける部分があるが、「よそが手をつけていない」作家であるという保証がないと、出版社は動きにくいはずである。また、そこまで手を広げずとも新人賞には受賞枠に対して100~2000倍もの応募数がある。その相手にするのが忙しいという事情もあるだろう。(続く)
2014-09-11 03:42:24そこで問題になってくるのが「(2)可塑性」だ。出版社が欲しいのはすでに出来上がってしまった才能ではなく、そこから長期にわたって執筆活動を行っていける人材のはずである。一口に新人賞と言うが、賞金以外にも数百万の経費(元手)がかかっている。それを回収させてもらわないと困る。(続く)
2014-09-11 03:44:56普通新人賞を受賞するとその出版社から3作品程度が刊行されるのが、そこが回収のチャンスである。そこでは赤字になっても、長期にわたってつきあえばいずれは恵みをもたらしてくれるだろう、という性善説的な期待を出版社はしている。だから書き手には「成長しようとする努力」が求められる。(続く)
2014-09-11 03:47:35「同人&ネット活動」の作品をそのまま応募しようとする書き手に対して出版社が危惧するのは「そこが頂点なのですか」ということだろう。自作を衆目に晒すことにすでに満足していて「記念応募」なのではないか、という疑いを持つ編集者も出るはずだ。(続く)
2014-09-11 03:50:01いかにその応募作が良くても、そこからさらに伸びるという保証がないと出版社は授賞させることを怖れるはずである。言い方は非常に悪いが、アルバイトを正規社員に登用するときに雇用者が迷うようなものだと思えば心情はわかりやすいのではないか。出版社をこの点で安心させられるか。(続く)
2014-09-11 03:52:17それに関連するのが「(3)体力」の問題である。書き続けるという行為には当然、瞬発力だけではなくて持久力が求められる。応募作という「点」だけではなくて、執筆活動という「線」で出版社は評価したがっているのだ。(続く)
2014-09-11 03:54:13「同人&ネット作品を認める」ことと「体力」は別の議論ではないか、という声も上がることだろうと思う。しかし出版社にこう言われたらどうだろうか。「この作品が素晴らしいのはわかりました。しかし、すでに少数とはいえど不特定多数の目に触れた作品です。デビューは他の作品にしませんか」(続く)
2014-09-11 03:57:16そのときに、他の作品に挑戦してくれる、もしくは応募用に保存しておいた別の作品を出してくる書き手を出版社は歓迎するはずだ。それは継続して執筆が可能であり、創作活動の引き出しが応募作以外にもあるということの証明になるからだ。逆に一作に固執されると「限界」を疑いたくなるだろう。(続く)
2014-09-11 03:59:50まとめると「従来の枠組に固執せずに人材を探したい」という考えを出版社も持っているが「そこが頂点であり」「他の作品が書けない」書き手は要らないとも思っている。「同人&ネットの既出作品」を認めるべきだという主張は、こういう出版社の意向をあまり考慮していないように見える。(続く)
2014-09-11 04:02:23キャンペーンの提唱者がそうした「企業の思惑」に対する説得材料をお持ちだとしても、あの文面では伝わらない(そもそも懐事情や企業風土の違う複数の新人賞に同じ呼びかけをしてもあまり意味はない)。キャンペーンで呼びかける際には、そこをもう少し工夫されてはいかがだろうか。(続く)
2014-09-11 04:05:19上記のように私が考えるのも最近文学フリマに足を運んでいないため、やや唐突な印象を受けたからかもしれない。もしシンポジウムなどでこうした点についての議論が尽くされていたのだとしたら、そこはご勘弁いただきたい。いずれにせよ、問題は出版社側のリスク回避だということに尽きる。(続く)
2014-09-11 04:07:00そもそも回収の保証がないのに出版社が新人賞を続けているのは、自社の利益のためではあるが、業界全般のためを思ってやっているのだ、ということも忘れないでもらいたい。たとえ赤字になったとしても、将来的に活躍する才能は発掘しなければならない。そういう熱意をどの出版社も持っている。(続く)
2014-09-11 04:09:08これは出版社側への提案なのだが、「ネット&同人」既出作品そのものを認めないという方針を、「明らかな改稿作品であれば」承認するというように変更し(すでにそういう新人賞は多数あるが)、明示されてはどうかと思う。「可塑性」「体力」の問題はそこである程度解決するのではないか。(続く)
2014-09-11 04:12:08ここでいう改稿とは単なる推敲、あるいは場面の入れ替えのような微調整ではなくて、作品の質を明らかに高めるような「改作」レベルの手直しである。それが可能な作者は自作を客観視する能力と、他の作品も書ける潜在能力を持っていると判断できるはずだ。それを謳うことには、私は積極的に賛成したい。
2014-09-11 04:14:55あ、あと同人活動ってそもそもプロになるため「だけ」にやっているんじゃないでしょう、という疑問もある。同人は同人で楽しみ、プロになるための努力は別にやる、ということでなんら矛盾はしないと思うのだが、プロになることばかり考えて同人活動をしても楽しくはないんじゃないのかな。
2014-09-11 04:20:45