アンダー・ザ・ブラック・サン #5
(前回までのあらすじ:俺はエメツ・ニンジャ憑依者、ザ・ヴァーティゴ。ネンリキ・ジツや武器で戦う非常に強力なニンジャだ。古代のジツが込められた超自然鎖で拘束され、ザイバツ・ニンジャのスパルトイにいたぶられたが、しょせん青二才よ。台車が破壊され、俺も拘束を破って抜け出し、やっつけた)
2014-07-06 16:58:20(俺は、数日間にも渡るような長い解放感を味わった。まるで日付変更線すらもまたぐかのような。だが、それはメタファーだ。俺の身体と精神は今やこの岡山県の奥地、ドラゴン・ドージョー発祥の地に順応しているのだから。どくしゃ……ろくしゃ?のくしゃのみなさん?そっちはいまなんじ?01001)
2014-07-06 17:01:43(010110数日間にもわたる時間の圧縮感覚など、俺ぐらいの存在になると、そう珍しくもない。どっかの皇子は磔にされた状態で打開策を探しに夢の中で数千年数万年の時間旅行をしたんだからな。それに比べればまだまだ。さあ、始めようじゃないか。)
2014-07-06 17:03:40(スパルトイ野郎は死んだか?まだだな。だが、少しの間は起き上がれまい。いい気味だ。まずはユカノ=サンを助けねば。なぜというに、俺は助けたい人間を助けるのだからな。どうせ、俺の助けなど、大河に投げ込む石一つ、蝶の羽ばたき一つに過ぎんのだ……さあ!飛べよスリケン!◆◆◆◆)
2014-07-06 17:07:30「ザ・ヴァーティゴ」ユカノは自らの口からもその名を発音し、その立ち姿から記憶の残滓を手繰ろうとした。キョート城、最後の戦いの折、飛び来たった超自然のニンジャ存在がニンジャスレイヤーやユカノ達とロード・オブ・ザイバツ達のイクサに割って入り、シルバーキーを残して去った。その姿……。1
2014-07-06 17:14:01あの時、このニンジャの影は分解しつつある01ノイズのおぼろなかたちにすぎなかったが、彼女のニンジャ第六感は記憶のリンケージを見失いはしなかった。「ドーモ。ドラゴン・ユカノです」彼女はアイサツした。「ベオウルフです」「グリフォンです」「……アー。ブレイズ」2
2014-07-06 17:24:08俺はいわば恩人かもしれない……だが、そのことを鼻にかけることもないナイスガイでもある。そこは強調しておきたい。そして君、エート、あのときはイグナイト=サン、いやいや、シルバーキー=サンというべきか?その両方だな。俺のことを知っているだろう?なんとなくでもわかるだろう。
2014-07-06 17:25:49ザ・ヴァーティゴはブレイズを指差した。ブレイズは苛立たしげに首を傾げた。「あン?アタシは知らねえぞ……頭痛い」頭を掻いた。「胡乱なニンジャめが」ベオウルフはユカノ達とも、ザ・ヴァーティゴとも渡り合えるよう、ニンジャ大剣を注意深く構えた。グリフォンは身を沈めた。跳躍の予備動作だ。3
2014-07-06 17:28:42覚えてない?君は寝てた?まあ、シルバーキー=サンの方に聞いてみりゃイイよ。今は名前違うんだっけ?エー……まあ思い出すさ。あの後大変だったろう。多少小耳に挟んではいるんだ。今は多分ドラゴン・レイ・ラインだとか、キョート城だとかの諸要素がキツネ・ウエスギ卿を誘導役にして俺をここに……
2014-07-06 17:33:50「イヤーッ!」ベオウルフは横薙ぎの斬撃を繰り出した。ハヤイ!「イヤーッ!」ブレイズは負傷したユカノを咄嗟に押し、自らも横へ転がってこれを回避した。斬撃を飛び越すようにグリフォンが跳躍した。高い!高高度から流麗にその身を捻りながら、ザ・ヴァーティゴに襲いかかる!4
2014-07-06 17:39:04「イヤーッ!」ザ・ヴァーティゴはこれに跳躍で応えた。二者は空中で互いに五度の打撃応酬を行った。そののち逆方向に跳び離れた。「イヤーッ!」グリフォンは滑らかな空中回転の中から、羽根めいたスリケンを風のように繰り出した。「イヤーッ!」ザ・ヴァーティゴは片手を前に突き出す。 5
2014-07-06 17:46:47羽根スリケンは空中で静止した。グリフォンは眉根を寄せた。一瞬後、彼自身の放ったスリケンが、返し矢めいて襲いかかった!「これは!」「ネンリキ・ジツだ、お友達」ザ・ヴァーティゴはグリフォンを指さし、ノイズがかった声で言った。「ヌウウーッ!」グリフォンは二連続回し蹴りで弾き飛ばす! 6
2014-07-06 17:50:56「イヤーッ!」既にザ・ヴァーティゴは落下するグリフォンめがけ再跳躍、強烈な飛び蹴りを見舞っていた。「グワーッ!」グリフォンは身体をくの字に折り曲げ、枯山水の中で数度の斬撃を躱すユカノとブレイズの上を通過。滑らかな制動の後、ドラゴン彫像に足の爪を食い込ませて停止した。 「できる」7
2014-07-06 17:57:04「あいつ、味方なのか?」ブレイズがザ・ヴァーティゴを横目に見た。「願わくは」とユカノ。「イヤーッ!」ベオウルフのニンジャ大剣が襲いかかる!「イヤーッ!」ブレイズは前へ飛び出した。地面すれすれに屈んだ彼女の背を、巨大質量がかすめる。ユカノはマストダイ・ブレイドを構える! 8
2014-07-06 18:03:31「イヤーッ!」ユカノはマストダイ・ブレイドの刀身に肘先を添わせ、もう一方の手で支えて、この恐るべき破壊的斬撃を受けた。ナムサン!タタミ一枚ほども後ろへ押されつつも、ユカノはこれを受け切った。「スゥー……ハァーッ!」深く呼吸!彼女の負傷は決して軽くはない。次は耐えられるか? 9
2014-07-06 18:08:47「敵か味方か?その質問には、シンプルには答えづらい」ザ・ヴァーティゴは言った。彼は自身のこめかみを指で叩いた。「君のニューロンに、もう一人居るだろ。そいつは俺をよく知ってるはずさ。忘れちまっていたとしても、わかるはず……」「イヤーッ!」「イヤーッ!」 10
2014-07-06 18:11:14ザ・ヴァーティゴはスパルトイのトビゲリ・アンブッシュをいなし、次の瞬間には足元の地面に叩きつけ、踏みしめていた。「小僧。さっきみたいにやってみろよ。俺を蹴ってみろよ。できるならな」「グワーッ!クソ野郎ーッ!」「イヤーッ!」その足を再び振り上げ、カイシャクを狙う!11
2014-07-06 18:15:03一方ベオウルフとユカノは刃を挟んで競り合いを開始する。ベオウルフは意外なまでの敵の奮闘に舌を巻き、神話級ニンジャに対する畏怖めいた感情を新たにした。ユカノの額には玉の汗が浮かんだ。刃をくぐったブレイズが、ベオウルフの懐に飛び込んだ。「イヤーッ!」さながら炎の風である! 12
2014-07-06 18:23:43「イヤーッ!」俺はスパルトイのカイシャクをあきらめ、再び飛び来たったグリフォンの滑空両手ヴァジュラ攻撃をガードした。ハヤイ!しかも厄介な武器を使う奴だ。侮れんぞ……その瞬間、スパルトイはウインドミル足払いを繰り出してきた。俺はこれを避けられず、転倒!これは俺のウカツではない。
2014-07-06 18:29:12「イヤーッ!」ブレイズはベオウルフの腹部を燃える拳で狙いにいく。「ヌウウーッ!」ベオウルフはユカノと競り合いながら、腹筋を鋼めいてアイソメトリック硬化させ、これを受ける。「イヤッ!イヤーッ!」ブレイズはさらに二段!三段!拳を叩き込む!ベオウルフは耐える!「痒いわ!」 13
2014-07-06 18:33:40一方、ザ・ヴァーティゴはスパルトイをカイシャクし損なった。ドラゴン彫像を蹴って驚くべき加速を生み出したグリフォンが、両手に構えたヴァジュラで滑空攻撃を繰り出したのだ。ザ・ヴァーティゴは超自然的なまでの反応速度でこれを察知し、ガードした。それほどまでに速い急襲だった。 14
2014-07-06 18:36:00難病(全身性エリテマトーデスと抗リン脂質抗体症候群)を発症してしまい、現在活動休止中です。(2016 年春~) ニンジャヘッズ(ニンジャスレイヤー中毒者)です。 人々の日々の生活クオリティを向上させるために、サイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」の普及活動を行っています。