ソックスハンター外伝 号泣の木曾靴下
白い靴下旅団とは何なのか。その問いに答えるのは簡単だ。 靴 下 し か 愛 せ な い 変 態 の 集 ま り だ。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:35:37赤城の活動が、即ち夜間の見回りが再開されたことに、提督は舌打ちをする。鎮守府においては洗濯物を集積し、いっぺんに洗う方式であるため、収集にはもってこいであった。誰の靴下でも手に入れ放題だった。だが、今は不寝番が立っている。靴下しか愛せない変態にそなえて。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:38:44提督は、制帽を目深に被り直す。こくり、こくりと頭を上下させているのは、軽巡洋艦娘の木曾だ。昼間、屈辱感を顔一面に出した赤城に洗濯物の集積所の不寝番に立て、と言われて、さんざん揉めていたことを思い出す。いわく、俺をそんなバカなことに立たせるな!だそうだ。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:40:59く、と提督、ソックスアドミラルは笑う。 そう、そのバカなことに血道を上げるやつだっている。靴下がなければ生きていけない人類も、いるのだ。 10海里以内に近づかないでほしい、人類が。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:42:03提督は、おもむろに赤城の靴下、サイハイニーソックスを懐から取り出し、鼻に押し当て、肺まで届かん、という勢いで吸った。 くらあ、という感覚。意識が飛びそうな、絶妙な香り。むろん、常人には悪臭である。たまらないにおいだ。染みついた汗の発酵臭。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:45:48そう、常人にはいかな赤城の靴下とはいえ、ただの悪臭だ。 だが、この男。提督はソックスアドミラルと呼ばれる、靴下しか愛せない変態なのだ。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:46:56「く、くくく」 笑う。力が身体中からわいてくる。 「見ているんだろう!青葉!赤城に命じられて!」 懐から取り出した電の靴下を投擲。破裂音が、飛翔する靴下からしている。マッハコーンまで生じていた。変態の投げる靴下は音速を、超える。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:49:43「ああーっ!カメラが!」 「バカ青葉!」 古鷹と青葉が、立ち上がる。そして、凍り付いた。 「風紀委員も質が落ちた。監視を悟らせるとは」 赤城の靴下を口元に押し当てる。お゛う゛ぇ゛というおよそ女性が出してはいけない感じの呻きとともに、二人はぶっ倒れた。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:51:53「さて。そろそろ……」 「おい、提督。俺を起こして何がしたいんだ?」 おや、と顔を向けると、顔をしかめた木曾が立っている。まさか本当に来るとは、という表情。艤装を身につけておらず、靴は普通のスニーカーで、靴下は白いハーフパンツとは違い、黒い。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:54:09「決まっている。お前の靴下を奪いに来た」 ぐる、と回転して、ソックスアドミラルは腕を広げた妙なキメポーズをとる。陸軍なら即刻憲兵を呼べる変態のキメポーズという時点で、なにかが間違っていた。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:56:38「え……」 だが、木曾の反応は、提督の、ソックスアドミラルの想定とは違っていた。ここで風紀委員ならば、不倶戴天の敵であるソックスハンターを見て、チャンスを逃さない。即座に死ね!ソックス!と返してくる。 「え……提督、その……俺、そういうのは……」 #ソックスアドミラル
2014-02-26 01:58:46「えっ」 さしもの歴戦の靴下狩人、ソックスアドミラルこと、通報確実なクソ変態提督も、毒気を抜かれた。 「さすがに靴下とかちょっと……」 「えっ、ああ、うん」 あらやだ、この子素人さんだわ。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 02:00:15「と、とりあえず!お前の靴下をいただいていく!」 ソックスアドミラルは飛びかかる。だが。 「お、おい!うひゃっ」 ソックスアドミラルは、仰向けに倒れた木曾を見て、戸惑う。顔が本気で怯えていた。 「……あれ?」 あ、これあかんやつや。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 02:03:12「おい、どけよ」 「ふ、フフフ私は靴下を奪いに来たのだ!」 あ、やばい。なんか泣きそうな顔してる。ていうか泣いてる。 「やめろよ……信じて怒った俺が馬鹿みたいじゃんかよ……」 しゃくりあげ、眼帯を上げて涙を拳で拭う木曾を見て、さしもの変態も考えた。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 02:05:23「……すまん」 「え……?」 木曾は顔を上げる。 「とりあえず、集積所の靴下の代わりに、お前の靴下をくれ」 変態は変態でした。ざんねん! #ソックスアドミラル
2014-02-26 02:06:22木曾は耳まで真っ赤になりながら、スニーカーを脱いで、提督の顔面に投げつける。 「ほらよ!これが欲しいんだろ!馬鹿野郎!」 「お、おう」 靴下を受け取り、涙声の木曾を見て、提督は言った。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 02:07:47いや、厳密には言おうとした。 すまん、俺は靴下しか愛せない変態なんだ。と。 さすがにそこは変態も空気読んだ。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 02:08:26とりあえず、ついでに昏倒してる風紀委員二人の靴下も腹立ち紛れに奪った。変態は変態だった。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 02:09:08-余談 二か月後 「死ね!ソックス!」 「フハハハハハ!木曾よ!そんな精度で当たるものか!」 変態は元気に変態をしてました。 #ソックスアドミラル
2014-02-26 02:10:47割合だめなミリ系の人。小説は書いてたが、スペースのパスを忘れてアップできない。skypeIDはmibkaiです。まんま。 アイコンは頂き物で御座います。名前出していいのかわかんない('A`)