「光合成で消費されるCO2のOと、生産されるO2のOは同じものじゃない」の解説

フォロワーさんから出された疑問に,一連のツイートで詳しく解説してくださったものをまとめました。
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ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

さて、こないだなっこさん( @nacco_86400s )から出題された「光合成で消費されるCO2のOと、生産されるO2のOは同じものじゃない」ってのがよく分かんないってお話について、解説な感じで話をしてみたいと思います。だいぶ長い話なので真夜中にうpするのです。ごめんなさい。

2013-06-27 03:18:07
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

光合成の化学反応式は 6CO2+12H2O+光エネルギー→C6H12O6+6H2O+6O2 で表されます。これは全体の反応についてまとめた反応式なので、左式の酸素原子と右式の酸素原子の由来がわかりにくいですね。だもんで個別の反応について解説していきます。

2013-06-27 03:19:46
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

光合成は葉緑体で起きてるってのはご存知かと思うけど、図にするとこんな感じ。 http://t.co/Gc5GEDVaSX 大雑把に言って、チラコイド膜上で起きてる光化学反応と、液体状の部分(ストロマ)で起こる糖合成(≒デンプン合成)のカルビン・ベンソン回路に分けることができます。

2013-06-27 03:22:00
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

古い世代の人なら、明反応・暗反応って言った方が伝わりやすいかもねー

2013-06-27 03:22:34
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

まず、光化学反応について。光化学反応ってのは、物質が光を吸収して化学反応を起こす、その反応のこと。光合成の場合は、クロロフィルが光エネルギーを吸収して化学エネルギーに変換する反応のことね。

2013-06-27 03:22:58
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

クロロフィルがどうやって光を吸収してるかってのも面白い話なんだけど、今回は割愛。また別の機会にお話するかもしれませぬぅ。

2013-06-27 03:23:44
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

光化学反応は図にすると、こう。 http://t.co/kJofmF3c2e 光化学系IIと光化学系Iって2つの反応系を経て、光エネルギー(hν)が化学エネルギー(NADPH、ATP)に変換されます 。

2013-06-27 03:25:06
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

最初の反応系が光化学系「II」で、あとの反応系が光化学系「I」って順番逆なネーミングだけど、その話はえっとえっと色々と大人の事情です。

2013-06-27 03:25:26
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

話を戻して… 光化学系II(Iも)はタンパク質と色素とその他諸々から構成される巨大な複合体で、形はこんな感じ。 http://t.co/qZTkIpv3OM この中に光を吸収するクロロフィルがこんな感じで配置されてます。 http://t.co/UqBa5q3CCe

2013-06-27 03:27:55
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

光化学系IIに光が当たると、周囲のクロロフィルが光を捕集し、中心にあるスペシャルペア(P680)って呼ばれるクロロフィル2分子にエネルギーを渡します。 http://t.co/SLIhXUEsW2

2013-06-27 03:28:43
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

エネルギーを受け取ったP680は高エネルギーな励起状態に遷移し、電子を放出します。この電子はその後、光化学系IIの中でどんどん受け渡されていきます。 http://t.co/0WGvUXqYyM

2013-06-27 03:29:26
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

電子の伝達経路の話も面白いんだけど、ここも今回はカットで。 あ、スペシャルペアがP680って名前なのは680 nmの光に吸収極大を持ってる色素(pigment)だから。意外と単純なネーミングね。

2013-06-27 03:30:31
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

さてここでクロロフィルは電子を失った酸化型になってるわけだけど、この失った電子の分は、水を分解して電子をぶっこぬいて補充されるわけです。図にするとこんな感じ。 http://t.co/SN01m1vVeG こんとき水を分解するのがマンガンクラスターって呼ばれる構造体ね。

2013-06-27 03:33:22
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

余談だけど、この水を分解するマンガンクラスタの構造は随分長年謎のままだったんだけど、2011年にようやく岡山大の沈センセたちのグループによって解明されたのね。

2013-06-27 03:34:10
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

これでどうやって水が分解されてるかを解明できるようになるので、ホントにホントに大発見だったのよ。 http://t.co/5CUVFAhnuu

2013-06-27 03:34:22
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

さて、ここで水を分解したことで水素イオン(プロトン)と酸素ができます。疑問の一つ目「光合成で生産される酸素」ってのはこの反応で出てくる酸素です。 http://t.co/SN01m1vVeG

2013-06-27 03:35:25
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

生じたプロトンはまた後で使われるのでこの辺でプカプカと漂ってますが、酸素の方は猛毒なので、進化を通じて排出用にわざわざ特別に作られた専用の経路を通ってとっとと細胞外へ排出されます。つまり光合成反応において酸素は有害な廃棄物に過ぎませぬ。http://t.co/SN01m1vVeG

2013-06-27 03:36:00
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

さて、電子の流れのほうを追っていくと、キノンに渡された電子はチトクロムb6f複合体を経由して光化学系Iに渡されます。ここでもまたクロロフィルの励起に伴って、系Iの中を移動していき、最終的にNADPHが作られます。http://t.co/kJofmF3c2e

2013-06-27 03:37:09
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

一連の電子の流れをエネルギー準位で図示するとこんな感じ。 http://t.co/F7n1PCkYxh どう見ても「N」字型なのに、Zスキームって名前がついてます。きっと「N」より「Z」の方がカッコイイからね。

2013-06-27 03:38:41
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

さてさて、光化学反応は膜上の反応なので、このまま反応が進むと膜の片側にどんどんプロトンが溜まって膜の内外で濃度勾配ができてしまいます。http://t.co/kJofmF3c2e

2013-06-27 03:39:20
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

このプロトンの濃度勾配を利用して、ATP合成酵素が駆動され、化学エネルギーであり生物共通のエネルギーでもあるATPが合成されます(光リン酸化って言います) http://t.co/vXW1qsc864 この動画は呼吸でのATPaseですが光合成でも基本的にはやってることは同じね。

2013-06-27 03:40:10
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

ここまでが膜上で起きる光化学反応ね。ここでできた還元力(NADPH)とエネルギー(ATP)を使って、葉緑体のストロマ(液体成分部分)中でカルビン=ベンソン回路が回ります。図にするとこんな感じね。 http://t.co/lHK3puFpLk

2013-06-27 03:41:53
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

循環的な化学反応なんだけど、このサイクル反応中でCO2が取り込まれる反応があります。疑問の2個目「光合成で消費されるCO2」ってのはここで出てきます。http://t.co/lHK3puFpLk

2013-06-27 03:42:29
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

ってな感じで、一連の流れを見てもらえば、「光合成で消費されるCO2のOと、生産されるO2のOは同じものじゃない」ってことになるのです。

2013-06-27 03:43:11
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

ところどころ大胆に端折ったものすごい大雑把な説明だけど、こんな感じでよろしいかしら?長々とTL占領してすみませんです(>_<") ってことで、おわりー( ・∇・)ノシ

2013-06-27 03:43:57
まとめたひと
SeaStar , 海星 @UmiHoshi

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