後藤寿庵先生の「ユダヤがらみ」の話をしよう
- Gattsu_Seijin
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ルカ福音書に有名な「良きサマリア人のたとえ」というエピソードがある。律法学者がイエスに「永遠の命を得るために何をしたらいいでしょう」と聞く。イエスは「律法には何と書いてある?と聞き返す。
2010-08-27 01:42:21「心を尽くし精神を尽くし、力を尽くし思いを尽くして主たる神を愛すべし、また己のごとく隣人を愛すべし」と答えた学者にイエスは「あなたの答えは正しい。そのようにしなさい」と伝える。
2010-08-27 01:43:47ある人がエルサレムからエリコへ行く途中強盗に襲われ、半殺しにされる。そこに祭司が通りかかるが、彼を見ると道をさけて通り過ぎる。次にレビ人が通りかかるが、やはり傷ついた人を放置して通りかかる。
2010-08-27 01:46:54その後その場所をサマリア人が通りかかる。彼は旅人をあわれみ、治療を施して自分が乗ってきたロバに乗せて宿屋へ連れて行き介抱する。翌日サマリア人は十分なお金を宿の主人に渡して「この人を介抱してください。このお金で足りなければ帰りに払います」と言い置いていく。
2010-08-27 01:49:39この三人の内誰が旅人の隣人であるかとイエスは問う。律法学者は「そのひとに憐憫を施した人が隣人です」と答える。イエスは言う「あなたも行ってそのようにしなさい」
2010-08-27 01:51:14このエピソードは有名だが、ルカ福音書にしか記録されていない。ルカは物語作家として以上にレベルが高くて、読むと非信者であってものめり込んでしまうのだけど、まあその話はいい
2010-08-27 01:53:32律法学者はこのとき「サマリア人です」とは答えない。あくまで「あわれみを施した人」という言い方をする。当時のユダヤ人にとってサマリア人というのはその名を呼ぶのもはばかられる存在だった。なぜか
2010-08-27 01:54:55サマリアというのは、場所的にはヨルダン川西岸地域。もともとはイスラエル王国があった場所だ。ユダヤはダビデの時代に一つの王国になるが、ソロモン王のあと二つに分裂する。北のイスラエル王国と南のユダ王国だ
2010-08-27 01:59:11紀元前721年、サルゴン2世率いるアッシリアがイスラエルを侵略する。イスラエル王国首都サマリアは陥落し、指導者層は連れ去られ、アッシリア支配地域からの移民が入植する。アッシリアは民族を混交させて支配する方法をとった
2010-08-27 02:03:30アッシリアが新バビロニアに滅ぼされ、これでもとの王国が再建できるかと思いきや、今度はバビロニアの侵略でユダ王国の有力者が連れ去られることになる。
2010-08-27 02:08:33アッシリアとバビロニアの支配方法の違いが運命を分けた。アッシリアは支配地域の住民をどんどん混交させてアイデンティティを失わせたが、バビロニアは捕虜をまとめて住まわせたので、アイデンティティの喪失を免れることになる
2010-08-27 02:10:19このころには北の旧イスラエル王国地域は混血が進み、宗教的にも習合が起こってしまっていた。バビロニアで信仰を純化させたユダ王国の指導者層にとっては異教よりもやっかいな異端の連中が住む地になってしまった。
2010-08-27 02:13:17さて、実際のところ、北王国の故地に住む人々は混交したイスラエル人に他ならない。つまり、そこには10枝族がそのまま残っていたはずなのだ
2010-08-27 02:17:35