マリーの生首がフランス革命歌を歌うという衝撃的な映像の何が最高にヤバいか解説します→解説見ると死してその遺体をおもちゃにされてる感ある
人間誰でも死ぬときゃ死にます。稀代の英雄の死を悼み、自らの生を嚙み締めましょう。内容は伝説風説を含むので、引用などは自己責任で。個人や団体を中傷誹謗する意図はございません。誤りの指摘やネタなどあれば返信やDMで/個人アカ→@SatanClaus_Anna(世界死ネタのみ希望の方はミュート推奨)
マリー・アントワネットの首がフランス革命歌「サ・イラ」を歌うという衝撃的な映像が流れてるので、久々にちょっとお話を。 革命期初期に流行した「サ・イラ」は、「ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく」という歌いだしで始まるのですが 後に続く歌詞によって2パターンがあります。 x.com/BrandonKHill/s…
2024-07-27 12:07:16パリ五輪の開幕セレモニー。フランス革命の映像から、ギロチンにかかったマリーアントワネットが歌い、湧き上がる炎の中、ゴジラによるヘビメタ演奏。そして真っ赤に染まるパリの街並み。これはめっちゃ攻めてる。何かとコンプラでがんじがらめになっている現代に、こういう表現ができるのが羨ましい。 pic.twitter.com/MyQ625Bbi3
2024-07-27 04:46:19一つ目は、「人々はこの日、何度も何度も繰り返す」(Le peuple en ce jour sans cesse répète)と、抽象的に革命をたたえる分かりやすい革命歌。 革命一周年祭の頃に労働歌として人気が高まり、半ば革命の公式ソングとなった歌です。基本「サ・イラ」と言えばこっち。 youtube.com/watch?v=KM1pJw…
2024-07-27 12:11:47そしてもう一つは「貴族を街灯に吊るせ」(Les aristocrates à la lanterne)とド直球の歌詞が続くバージョン。 一周年祭の後で無名の兵士が作り、爆発的に民衆の間で広まった替え歌で、「サン=キュロット版」とも呼ばれています。 革命の狂騒を象徴するような歌ですね。 youtube.com/watch?v=L9VoRm…
2024-07-27 12:17:20なにが最高にヤバいかって、マリーがよりにもよってこのサン=キュロット版を歌って「貴族を街灯に吊るせ!」って叫んでるわけですよ(まあフランスだから......) ちなみに『ベルサイユのばら』で子どもたちが歌ってるこれもサン=キュロット版「サ・イラ」ですね natalie.mu/comic/gallery/… pic.twitter.com/ulqyhy1MNO
2024-07-27 12:24:58ところで、この「街灯に吊るせ」という歌詞。実はフランス革命期初期における重要なスローガンなのです。 ここからは、フランス革命におけるギロチンより前の「死」の象徴、街灯(lanterne)についてのお話。 pic.twitter.com/f9P5zmAE0Q
2024-07-27 12:30:17王政末期、ジョセフ・フーロン・ド・ドゥエという政治家がおりました。 彼は財務総監ネッケルを失脚させ、飢饉時に穀物価格を操作して暴利を貪ったと言われ、民衆から極めて評判が悪い。 マリーの「パンが無ければケーキを」みたいに、ド・ドゥエは「飢えているなら干草を食わせろ」と言ったとか。 pic.twitter.com/mvZcC4q2Hb
2024-07-27 12:34:51さてこの男、バスティーユ襲撃事件を知って慌てふためき、自分の葬式を出して身を隠そうとしたものの、すぐに捕まってしまいます。 まだギロチンというものが一般に知られていない頃。興奮した民衆は、ド・ドゥエをパリ中心のグレーヴ広場の街灯で吊るし首にしたのです。x.com/ToOutliveToBe/…
2024-07-27 12:39:26【ジョセフ・フーロン・ド・ドゥエ】 フランスの政治家。革命前の飢饉の際に穀物を買い占めておいて「パンが無いなら干草を食え」と述べる。バスティーユ襲撃の際に民衆に捕まり街灯に吊るされたが、3度縄が切れたので斬首され、首は槍に刺され掲げられた。その口には干草が詰め込まれた。享年74
2023-03-11 13:27:23グレーヴ広場と言えばパリ市庁舎の目の前、パリど真ん中もど真ん中です。 次第にこのド・ドゥエが「吊るされ」た街灯は民衆の聖地と化し、民衆の怒りを買った者たちが次々とぶら下がっていく場所となりました。 ド・ドゥエの娘婿、バスティーユ衛兵、パンを売り渋った(売り切れてただけ)パン屋..... pic.twitter.com/4Mr07u9ldu
2024-07-27 12:44:59パリ市庁舎といえば、パリ商人頭(市長)ジャック・ド・フレッセルも街灯に吊るされています(最初のツイートの添付画像)。 犠牲者をグレーヴ広場に引き出してベルトで街灯に吊るし、また降ろして首を斬り、棒に突き刺してパリの市内を練り歩く、というのが前ギロチン時代の作法だったよう。 pic.twitter.com/PCO6ZmwJ9h
2024-07-27 12:50:23ここにカミーユ・デムーランという男が登場します。 どうも一般には「ギロチンに向かう車の中で震えるデムーランと毅然としたダントン」みたいな対比でばかり知られてるかわいそうなジロンド派指導者ですが もともと彼は革命の黎明期にパンフレットを書きまくり民衆を煽ったインフルエンサーでした。 pic.twitter.com/cT99sYIeqp
2024-07-27 12:59:22ド・ドゥエらを血祭りにあげた、いや街灯に上げたパリ民衆に触発されたデムーランは、 『パリ市民への街灯演説』 なる冊子を書き上げます。 "グレーヴ広場の街灯が"パリ市民の英雄的な「吊るし」行為を称えるというなかなかキマったもの。 gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt…
2024-07-27 13:06:35「勇敢なるパリっ子たちへ。私、街灯からあなたたちへは礼の言葉も見つからない。あなたたちは私を、並ぶものなく有名で魅力的な街灯の中の街灯にしてくれた。ディオゲネスらの頭上にあった街灯ですら私に敵うだろうか?あれらは一人の男を眺めていただけだが、私は20万人を見たのだ。」 「彼ら外国人は、彼らの英雄たちが数百年でなしたこと以上のことを、1本の街灯が2日間で成し遂げたことに彼らが驚嘆しているようだ。」 「売国奴たちや悪党どもは臆病な卑怯者で、自己中心主義と私欲のみで動いており、そのような動機から偉大なものを産むことはできないのだ。愛国主義、すなわち同胞を愛し、己に克った者こそ、 英雄的な行動をとれるのだ。」 (一部意訳あり)
2024-07-27 13:13:44彼らの熱狂ぶり、悪く言えば殺人が称賛される集団ヒステリーの雰囲気が感じ取れる文章です。 その一方で、インテリジャーナリストであったデムーランは、「街灯」の口から市民への苦情も述べさせています。 「多くの悪党が私(街灯)から逃れた!とはいえ私は拙速な正義を好むわけではない。あなたたちは知っている、私がフーロン(・ド・ドゥエ)やベルティエ(ド・ドゥエの娘婿)のつるし上げの際に不満をあらわにしたことを。私は鼻を二度折ったのだ(注. ド・ドゥエを民衆が吊るそうとした時、吊り縄が2度切れて結局絞首で殺せなかったので、最後は斬首し息の根を止めている)。私はこの二人のならず者の反逆を確信している。しかし、大工は仕事を急ぎすぎた。私はむしろ尋問して真実を吐かせてほしかったのだ。」
2024-07-27 13:16:23「真実」を追求したいというデムーラン。しかし民衆はそのまどろっこしい要望には耳を貸さず、とにかく気に入らない人物を捕まえては(たとえそれが同じ身分だったとしても)、即決で街灯に吊るしていきました。 キリスト教の名を使った魔女狩りに近い、「革命」の美名だけを借りた集団ヒステリーです pic.twitter.com/8Zjyg3nC0z
2024-07-27 13:20:33ド・ドゥエの死から3か月後、「街灯演説」から2か月後。 ギヨタン医師が、「苦痛の少ない死刑の研究」を提案します。 この新しい死の象徴「ギロチン」が、公の場で仕事をし始めるのは3年後の1792年。 無秩序な大量私刑に、管理された大量死刑が取って代わる時が来ました。 pic.twitter.com/xElxLqFa0U
2024-07-27 13:26:50デムーラン、ルイ16世、そしてマリー・アントワネットの命を奪ったギロチン。 際限なき処刑の嵐の象徴としてとらえられていますが、実のところ、暴力を政府が民衆から取り戻し、皆に見える形で「消すべき人を消す」管理体制を取り戻そうとした姿だと言えるかもしれません。 街灯に吊るす、よりは。 pic.twitter.com/7r71sOVP9q
2024-07-27 13:30:50暴動や破壊行為が続くフランスで、マリーがサン=キュロット版「サ・イラ」を歌い、全世界に「貴族を街灯に吊るせ」と発信している様も、何か現代を象徴するものがあるような気がしなくもないです。 と、何か言ったようで言っていないまとめをしまして、今回はここまで。 x.com/ToOutliveToBe/…
2024-07-27 13:35:31みんなの反応
おもろかった ←ここでマリー・アントワネットが歌ってるの →コレ だって pic.twitter.com/HMshNHSWFl x.com/ToOutliveToBe/…
2024-07-27 19:48:53