「アサシンクリード：シャドウズ」は特におかしくないのではないか

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

さて、「アサシンクリード：シャドウズ」について批判的な立場からまとめてくれた人がいるので、個別に検証していきますね。 連続ポストがそれぞれ長いので、順に読んでいってください。 x.com/Barutan810/sta…

ばるたん✂️アンリーシュド大尋問官 @Barutan810

なぜアサクリシャドウズが炎上＆発売中止署名が起きてるのか経緯をまとめてみました 結論から言うとUBIが「日本の歴史的事実に基づいている。専門家に相談した」としながらも、公開された内容が文化も時代設定もデタラメでデザイン盗用や誤解を招く発言等日本の歴史文化を軽視する言動をしているため

2024-07-04 19:55:35

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

まずこれ。原文は以下のようになっており、訳文が与える印象とはニュアンスが違います。 We’re showing real historical figures, such as Oda Nobunaga and a lot of events that happened during that time, so you’re not only playing in feudal Japan, but learning about this fantastic time period. 訳文だとまるで「本作」が何から何まで事実に忠実かのように感じますが、常識的に考えればそんなゲームを作るのが不可能なことは理解できるでしょう。原文を見ると、「織田信長などの実在の人物が描かれていること」と「その次代に起きた数多くの出来事が描かれていること」しか言っておらず、「全てが忠実である」という話ではありません。 それから「学ぶことができる」に関してですが、これは別に日本人に学ばせる前提ではなく、日本の歴史に全く触れてこなかった海外の人たちが前提です（これ、海外のゲームですよ）。「学習素材なら何もかも正確でなければいけない」と思う人もいるかも知れませんが、日本の一般向け歴史学習素材だって全てが事実に即しているわけではありません。そもそも史実というのは断片的にしか記録が残っていないため、大河ドラマや本格時代劇映画などでも、空想で穴埋めせずに作ることはできません。あなたが史実に忠実だと思っているものも、多分に空想が混じっているんです。 また、アサシンクリードは娯楽作品だと誰もが知っています。しかも、歴史を陰謀論で紐解くフィクション性の高いゲームであり、毎度おなじみのテロップにも「本作は歴史をテーマにしたフィクション」と明示されています。本作で描かれるものが100%正確であるなどとは誰も思っていません。 先に書いた通り本作のメインオーディエンスは日本以外の人たちなので、本作が言う「学習」は子供向けの「ドラえもん学習まんが」の「学習」のようなもので、日本史を全く知らない人がざっくりとキー要素を学ぶことができる、という種類のものだと考えましょう。日本の日本史マニアは歴史書を読んでください（もちろん、読み物としての歴史書には恐らく空想も混じっていますが）。

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１つ重要な指摘があったので追加。 開発者の談話でこのような発言があるという指摘がありました。 Assassin’s Creed is well known for its depiction of the history and accurate recreation of the world and it’s what players can expect with Assassin’s Creed Shadows. これは確かにアサクリが「歴史描写と正確な世界の再現」で知られているって言ってるんですが、これはもちろん「アサクリが何から何まで正確に作っている」という意味ではなく、「建物とか町並みとか社会制度とかを、資料引っ掻き回して極力正確になるように作ってきている」くらいの意味ですね。 そもそも過去作品は全て架空の人物を主人公に据えているわけで、「調べ上げて世界を作ったうえで、そこに虚構を入れている」なんて言うまでもないことです。インタビュアーも読者も全員そんなこと理解している前提での発言でしょう。

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これは何が問題なのか私には全く分かりません。「ゲームが何もかも忠実である」と主張しているとする説の補強でしょうか？ この引用されている発言から分かるのは「調べられることは可能な限り調べ、空想で埋めるにしても説得力のある空想になるように努力した」ということで、それはむしろ素晴らしい製作態度です。 先の項で「100%史実通りなど不可能で、日本の作品だって多分に空想で埋めている」と書きましたが、多くの日本作品も「過去の創作物における描写をなぞっているもの」が大半で、ここまで調べてやっているものはほとんどないはずです。本作で「日本における一般的な描写」と異なるものが出てきた場合、日本の一般描写が間違いでこちらがより正確である可能性すら十分にあります。

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これに関しては、「当時の日本ではほとんどの人が首を斬られて亡くなっていた」の文脈にもよりますが、私も違和感があります。ただ、「民間人に至るまでほとんどの日本人が首を斬られて死んでいた」と本気で発言するというのも強い違和感があるので、「現代と違って斬首刑や切腹の介錯で首を斬ることがよくあった」という趣旨で言ったのが、罪人などに話を限定した部分が切り取りから漏れてこうなったのかもしれません。 なお、「死を目の当たりするのは日常茶飯事でした」は、今の先進国と比較すれば遥かに死が身近だったわけで、特におかしな発言ではないでしょう。

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この２つはまとめて書きます。 まずこの2つ目のものはおそらく日本語では馴染みのない書き方であるせいだと思いますが、完全に読み間違っています。原文（発言の直接引用）はこうです。 One of the opportunities it gave us was to be humble about the culture of Japan, because it's not ours–we're a Canadian studio leading this game, so we know we're not of Japan, and we certainly don't want to tell Japanese audiences what their culture is all about これは「私たちはカナダのデベロッパであり日本人ではないので、日本人に『日本文化とは何ぞや』ということを偉そうに教えるような真似はしたくない」という趣旨です。訳文にも最初に書いてある通り、彼らは日本文化をリスペクトして謙虚になっているんです。 繰り返しますが、これは完全な読み間違いです。というか、日本語で訳文を読んでも普通に読めば正しい趣旨で理解できるので、日本語すら読めていないんです。さすがにこれは恥ずかしいですよ。 で、ここで1つ目の画像、弥助を主人公に据えた理由を読んでみましょう。 「私たちの侍」という書き方に関しては、「日本人の主人公では感情移入できないと言っている」と解釈して叩く人もいましたが、これは言葉を独り歩きさせすぎ、行間を読みすぎ、被害妄想強すぎです。すぐ後ろに「日本人ではない我々の目になれる人物」と書いており、これは西洋人である自分（開発者）たちと同じ「日本の外からの目」を持った人物という意味です。先に書いた通り、開発者は自分たちを日本文化にとってのアウトサイダーとして見なしているため、「日本人を主人公にしたくなかった」のではなく、「同じアウトサイダーを主人公にする方が日本文化へのアプローチとして適切だと考えた」のだと思われます。というか、もう1人の主人公である奈緒江は日本人なので、そもそも日本人主人公を避けていません。 他のインタビューで「外からの目を持った弥助と、中からの目を持った奈緒江のダブル主人公にすることで、日本文化に多角的に迫りたい」ということも言っており、これは個人的には納得の行くものでした。

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ここで指摘している「最初の史実発言」というのは「アサシンクリードは史実に基づいている」という最初の話でしょうが、上で書いた通り、そもそもそんな主張はされていないので矛盾もありません。 むしろ、「弥助についてわかっている史実はごくわずか」というのは事実に合致しており、他のインタビューから推察される「弥助スーパー侍伝説を事実と勘違いしている」との間に齟齬があります。もしかすると、スーパー侍伝説を信じていたのはチームメンバーのごく一部、あるいはごく早期だけで、「弥助は謎の人物」がチームのコンセンサスである可能性もあると思います。 なお、「謎の多い人物だと自由な物語を描ける」は本当にその通りで、実在人物でありながらフィクションを描くのにこれほど向いた主人公はそういません。 しかも、情報がほとんどないのは闇に紛れて活動するアサシン設定に合致し、出自もビジュアルもインパクトが有り、パワータイプなのが数少ない史実の中に含まれており、特に海外での人気が凄まじく、本当に何から何まで「武闘派のアサシンにピッタリ」なんですね。実は私も当初は「いや黒人だから選んだんでしょ？」と思っていましたが、このシンデレラフィットぶりは単に黒人である以上に説得力があり、今の私は「黒人だから弥助を選んだ」ではなく「弥助がパーフェクトすぎた」派です。

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ここまで挙げた通り、「UBIが日本を軽視している」自体が誤解あるいは悪意的解釈である可能性が高いです。本当に軽視してたらそもそも舞台に選ばないし、建物などを材質などから調べたりもしません。 また、海外では開発者に向けた個人攻撃なども行われたと聞いています。これは「憎悪行為」と言われても仕方がないでしょう。 そして、山田風太郎の創作である「くノ一」設定の奈緒江には言わない「史実と違う」を、記録は少ないが確かに実在はしていて、過去の創作でも何度も何度も侍として描かれてきた弥助にだけは執拗に言っておきながら、「黒人差別と受け取るな」はどう考えても無理があるでしょう。 また、あなたに黒人差別の意図がないことは、UBIへの攻撃に黒人差別の意図がないことを意味しません。あなたは世界の全てではなく、海外には今なお根強い黒人差別があります。黒人差別思想の輩は、当然こういう黒人主人公排斥キャンペーンには乗るでしょう。 あなたが差別主義者だとは言いませんが、知らず知らずに黒人差別主義者に機会を与え、あるいはその扇動に乗ってしまっている可能性も少しは考えたほうがいいです。また、差別は基本的にもっともらしい理屈をつけて行われるもので、「日本を軽視している」としてあなたを焚き付けている人は、もしかしたら単に黒人差別をしたいだけかもしれません。

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

コンセプトアートの不備や、使ってはいけないマテリアルの使用に関しては、当然ダメなものはダメです。 これは大きい会社なのに脇が甘いという印象が私にもありますが、先に書いた通り、「史実に忠実と思われている日本の映像作品など」も多分に創作や想像が入るわけで、「慣例的な描かれ方と違うこと」は正しくないことを意味しないことにも注意が必要です。特に作中の弥助は「規格外の巨体と怪力を持った、立脚する文化も何もかも他の侍とは違う、全く記録のない人物」なわけで、鎧甲冑で街中を歩こうが、変わった着こなしをしていようが、それは全くおかしくありません。 また、鳥居に関しては「そういう神社もある」、田植えの時期も「おかしいとは言えない」という指摘もされていますし、忍者の刀は「そもそもくノ一は創作である」など、批判したい一心で批判自体がおかしくなっている可能性もあることには注意が必要です。 なお、そういう重箱の隅をつつきだすと、事実や実際の場所を舞台にした作品が作れなくなります。日本人が日本を舞台に作った作品でも、同じ熱量で粗探しをすれば幾らでも粗が出てきますよ。あなたたちがやっているのは創作物を作りづらい環境を育てる行為です。 あと侍に平民がペコペコするのは普通でしょう。しかもなんか異様なクソデカ黒人侍ですよ。当たり前のことで傷つかないでくれガラスのハートか。

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

よくある凡ミス。だからいちいち普通のことで傷つかないでくれ。

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

UBI以外がやってることをUBIを責める棍棒にしないでください。 あと、弥助を侍としてずっと描いてきたのは日本人だし、本作が発表された時も弥助のことは侍として認識している日本人が多かったです。発表から少し経ってから「弥助が侍だった証拠はない」ということが指摘され始めましたが、それを事前に知っていた人はほんのわずかでしょう。 今「当たり前のこと」として「弥助が侍だった証拠はない」と言っているそこのあなたも、その事実を知ったのは今回の騒動を通じてではないですか？（仮に弥助という人物は知っていたとして） それと「侍ではなかった」と断定する人がチラホラいますが、それは「侍であった」と断言するのと同様に誤りです。「侍だったかどうか分からない」が正しい。

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ということで、とりあえず目についたやつはこんな感じ。私は元々「フィクションであるゲーム部分ではどう描いてもオッケー。でも資料集とかインタビューとかで『侍の弥助』を事実として提示するのは困る」という立場ですが、もしかしたら「侍の弥助」は資料がないって分かってるかもしれないなって、これまとめてるうちに思いました。 本件に関してはいろんな立場の人がいると思いますが、とりあえず立ち止まることは誰にでもできるはずなので、一旦冷静になりませんか？ なお、「あれはどうなんだ、これはどうなんだ」というSNS道場破りには応じません。反論は各自の単独ポストか引用でどうぞ。引用された場合もすごく気が向かない限りは反応しません。

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

これ今回のアサクリに限らずですけど、何かを叩くのがブーム化した時に、叩くとウケるからか、何もおかしくないことまで捻じ曲げて叩く人がわんさか湧いてくるのが通例なんですよね。 「こんなに叩かれてるからおかしいに違いない」っていう判断はせず、個別に「その批判は正当か」見ないとダメです。

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

「UBIのお偉いが人種差別主義者扱いしてきた」とかも、別にあなたの主張する真摯な批判がそう扱われたとは限らなくて（たぶん見てもいないです）、たとえばこういうのがそう言われてる、という発想にはならないですかね？ これでも人種差別的に見えない？ もっとひどいの探します？ pic.twitter.com/6J2qC38g0N

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まとめサムネ用 pic.twitter.com/jnGBtKXocD