本論
消耗戦としての対砲兵戦でロシア軍が多用しているのが釣り出し戦術。 観測UAVを敵の迎撃砲兵隊が居そうな範囲に先んじて仕向け、尚且つ対砲兵射撃部隊が攻撃準備を完了して置く。 その上で移動力のある囮部隊が突撃又は先制砲撃を行い、迎撃に出た防御側砲兵隊を最速で検知及び対砲兵射撃管制する。 pic.twitter.com/VuVYfBuNZG
2024-05-11 22:07:45従来との違いが、中距離長時間飛行UAVによる『長時間滞空ISR戦術』が組み合わさっていること。UAV飛行及び高解像度カメラの範囲が露軍呼称「砲撃での狙撃」の遠隔キルゾーンとなる。 音響の対砲兵レーダーはある程度の精度があるが完全でなく、UAVとの組み合わせで真に精密かつ即時の探知を達成する。
2024-05-11 22:13:46精密攻撃能力だけでは意味がない。なぜなら現代軍の目標はすぐ移動し隠れるから。 長時間滞空の観測機が事前待機しており、レーダーが早期検知をして伝えられた凡その位置で即座に発見し「追尾」して精密砲撃部隊を管制(リアルタイム修正)する。対砲兵戦は大きく全く変わった。
2024-05-11 22:17:48移動が常識的になったとは言ったが、囮部隊もそうだが防御側の砲兵隊も含め、それは必ずしも長距離移動での離脱を撃ったらすぐすることを意味しない。移動すると砂ぼこりや動く物体が遠隔から見つかりやすいためだ。 入念な隠蔽があれば移動しない事例もあり、即応を求められる迎撃砲兵隊は特に多い。 pic.twitter.com/GQNSdcbV8i
2024-05-11 22:22:56撃ったら即座に全速で移動できる自動車化した迫撃砲と並び、前線で陣地に隠せて人力ですぐに移動できる小型迫撃砲が露軍では再評価された。UAVに目視発見されていなければ、レーダー探知されただけなら僅かな移動で着弾点から避けられるからだ。 ウ軍自走砲の砲撃後の数百mだけ移動して隠れる陣地の例 pic.twitter.com/QN2QVnWTDA
2024-05-11 22:33:13射撃後即時離脱または射撃後即時隠れる迎撃砲兵隊への対抗策として長時間滞空ISR及び釣り出し戦術は有効だった。 この戦術を露軍で加速させたのがランセットの登場だった。「追尾観測」に『追尾攻撃』が加わったのだ。これは遠隔キルゾーン(露軍呼称:火力ドーム設置)を拡大させより精度を高くした。 pic.twitter.com/uTgsCBw9SE
2024-05-11 22:38:46追尾攻撃を行えるランセットの使用数は増大し続けており(LostArmor確認数添付) 5月は確実に過去最高を更新する。 同種で廉価版のСкальпеляは3月量産開始し数千機納入予定。装填爆薬を替えられるメリットはあるが電子戦に弱く恐らく浅い縦深で使われる。ランセットはより奥で可能(対砲兵・対レーダー戦) pic.twitter.com/kpbkuJ4yxB
2024-05-11 23:07:39狙撃砲撃、というのはこの戦争での重大な変化の一つで、露軍士官向け参考書『一般戦術』2024年版で2022年からの追加箇所の1つ。 精密射撃性能だけではなく、砲兵隊は配置密度が減少したのにUAVのリアルタイム管制のおかげで「命中率が増大するエリア」を得られた。図に記すとこのような表現になる。 x.com/noitarepootra/…
2024-05-11 23:25:32射程の長い銃だけ与えられても効果が薄く、スコープが加わって真に脅威になる。各種兵器は『目』を手に入れるのが重要。 ロ軍関係者の間では兵器より「偵察の進化」をこの戦争での最重要変化だと述べる者が多い。衛星、高倍率カメラ、長時間滞空UAV、遠隔操作カメラ等が透明化した戦場を現出している。
2024-05-11 23:33:43要約
1 観測UAV(ドローン)と砲兵隊を準備する
2 観測UAVと囮部隊を展開して索敵&先制攻撃
3 囮部隊への攻撃を観測UAVで察知して砲兵隊がカウンター攻撃
4 砲兵隊は攻撃後小移動 2に戻る
観測UAVの積極活用からのカウンター速度精度の劇的向上が従来との違い
観測UAVにランセットを使用することで観測UAV自体にも攻撃能力がある
後述されるがアメリカも同様のより洗練された戦術を使用可能だがコスパ、物量ではロシアの方が上
感想
@noitarepootra まぁこれ以上は考えられないくらい合理的な戦術なんだけど、先制攻撃して反撃食らう囮部隊の被害……。
2024-05-11 22:13:35@noitarepootra これはウ側も百も承知であろうから、釣り出したつもり装輪式ですぐ逃げてしまい、逆に釣り出されて終わりかも。
2024-05-11 22:34:14思い当たる人たち
Reconnaissance by fire
かなりReconnaissance by fireに近い印象が x.com/noitarepootra/…
2024-05-11 22:40:30@grachan_smile それがLong-Endurance ISRによって変化したと言う話ですね。 ちなみに長時間滞空ISR戦術の精度面では米軍が先駆者で既に対ISIL戦で極めており露軍の遥かに上です。ただ大規模通常戦では量の方が優先されています。 ランセットによる追尾攻撃を加えられたのは安さも理由です。
2024-05-11 22:45:13@noitarepootra このクラスのUASによるISRはOPFOR戦術としてウクライナ紛争以前から認知されていたようですが、それがほぼそのまま現実になった感じがあります。 対砲兵射撃を砲兵の間接射撃に頼らず、UASによる追尾攻撃で行えるのは大きいですね。むしろ対砲兵戦の主流はそちらになるのかもと。。
2024-05-11 23:22:40@grachan_smile これされるとウクライナ側砲兵は迂闊に撃てないなぁ、ランセット自爆ドローンが撃つ端から襲ってくるし。
2024-05-11 22:47:29@teramotoMa39026 Targetingをさせない(≒観測UAVを撃破する)ことができれば良いのでしょうが、その難しさが根本問題のように見えますね
2024-05-11 23:16:46諸兵科連合に近い
かなり洗練されてる… 威力偵察的な要素とかを上手く組み合わせている…対砲兵戦で諸兵科連合に近いことをやっているし、こういうことができる程度に指揮統制を確立しているし柔軟性もあるってことかなぁ x.com/noitarepootra/…
2024-05-11 22:18:36