見逃した方のために…NHK 追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺れる国際基準」文字起こし
- toshihiro36
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オープニングのVTRが流れます
ナレーション:福島第一原子力発電所の事故から9カ月、私は作家の室井佑月さんとともに千葉県の柏市を訪ねました。原発からおよそ200キロ、一部の場所で今も放射性物質が検出されています。
2011-12-29 08:56:09<ナレーション> 一児の母親でもある室井さんは、同じように不安を抱える人たちからの依頼を受けて、各地で放射線量を測る活動を続けてきました。
2011-12-29 09:00:03<ナレーション> 食品に含まれる放射性物質の量を調べる民間の施設です。国は障害100ミリシーベルトを上限に食品の安全基準を定めています。しかし人々の反応は・・・
2011-12-29 09:06:52母親の声「子どもに関しては、この数値でも心配だなと思っています」「みなさん今の(国の)基準を信じている方はいらっしゃらないと思います」
2011-12-29 09:09:19室井:だから、やっぱり根拠なんですよ。「ただちに影響がない」とか言われても根拠がないので、よけいいっそう不安なんですよ。
2011-12-29 09:11:38<ナレーション> 国が根拠としているのがICRP(国際放射線防護委員会)が定める基準です。100ミリシーベルト以下の低線量の被曝のリスクは極めて小さく、ほとんど影響がないとしています。本当にそうなのか?
2011-12-29 09:15:10<ナレーション> 低線量被曝の実態を調べるため、追跡チームは海外を取材しました。チェルノブイリ原発事故の影響を受けた北欧スウェーデン。放射線のレベルはあまり高くなかったこの地域でも、ガンが増えていました。食べ物を通して被害が広がったと見られています。
2011-12-29 09:19:42<ナレーション> さらに国際基準を作ったICRPの当事者たちにも取材。低線量のリスクはどう決められたのか。驚くべき事実が明らかになりました。
2011-12-29 09:23:09ICRP名誉委員:「低線量のリスクはどうせわからないのだから、半分に減らしたところで大した問題はない。」「科学的な根拠はなかった。我々の判断で決めたのだ」
2011-12-29 09:25:46ここから本編に入ります
<ナレーション> これまで、ほとんど影響がないとされてきた低線量被曝。それに疑問を投げかける事態が世界で起きています。スウェーデン北部ベステルボッテン県。古くから少数民族サーメの人々が暮らしてきました。
2011-12-29 09:32:10<ナレーション> 原因と見られているのは、25年前に起きたチェルノブイリ原発事故。放射性物質を含んだ死の灰は、1500キロ離れたサーメの町まで降り注ぎました。当時の放射線レベルは、年間およそ0.2ミリシーベルト。国際基準の5分の1程度の低いレベルでした。
2011-12-29 09:38:01<ナレーション> しかし今、ガンになる住民が増えています。事故の前と比べると、34%増加しました。事故直後スウェーデン政府は、食べ物に含まれる放射性物質の安全基準を設けました。人々がよく食べるトナカイの肉は1kgあたりの上限が300ベクレル。
2011-12-29 09:42:20<ナレーション> 現在の日本の暫定基準値(500ベクレル)より厳しい値です。サーメの人々は食べる肉の量も減らし、身体への影響を抑えようとしてきました。
2011-12-29 09:44:47<ナレーション> なぜガンが増えたのか。住民の調査を続けてきたマーティン・トンデル博士は汚染された食べ物を体内に取り込んむことでリスクが高まったのではないかと見ています。トンデル博士は汚染地域で暮らすすべての住民110万人のデータを解析。
2011-12-29 09:50:55