
tsudaさんによる「東日本大震災と新旧メディアの役割 〜日独における地震報道に関する比較の視座」実況
3月11日に発生した東日本大震災は、地震・津波被害の甚大さに加え、原子力発電所事故も併発し、未曾有の大震災である。短期的には地震津波警報が市民の安全に直接の影響を与え、また安否確認にテレビや電話などの既存メディアに加え、携帯電話やインターネットを利用した災害伝言板など新たなツールが使用される局面もあった。その後、募金の呼びかけや放射能情報がツイッターやフェイスブックで大きなうねりとなって人々を動かすなど、情報伝達は新しい局面を見せた。さらに、海外と日本では報道ぶりの違いがあった。本シンポジウムは、各種メディアが災害時に果たした役割、また現在果たしている役割を検証し、海外と日本での報道の差異を概観した上で、今後、情報の送り手と受け手にはどのような課題があるかを日欧の実務家、専門家が議論し今後の展望を探るものである。
プログラム(予定)
- セッション1:基調講演、メディアの役割と日独における現状
- セッション2:情報伝達とコミュニケーションのための各種メディアの役割
- セッション3:日本、ドイツ、および各国での災害報道の国際比較
まとめ・ディスカッション:メディアの役割と責任
パネリスト
- 今井義典 (立命館大学客員教授、元NHK副会長)
- 津田大介 (メディアジャーナリスト)
- 沢村亙 (朝日新聞社ヨーロッパ総局長)
- 三好範英 (読売新聞ベルリン支局)
- イルメラ・日地谷=キルシュネライト(ベルリン自由大学、日本研究者)
- Prof. Dr. Alexander GÖRKE(ベルリン自由大学)
- Matthias NAß (Die Zeit) ほか

日独シンポジウム 「東日本大震災と新旧メディアの役割 ~日独における地震報道に関する比較の視座」 http://bit.ly/kGi9el に参加しています。今はドイツメディアの人が日独メディアの比較をプレゼン中。
2011-07-07 16:30:13
ドイツのメディアから見ると、日本のメディアは「情報報道」中心、ドイツのメディアは「調査報道」中心という違いがあるそう。ドイツメディアは報道を行う際、「政治的な文脈が欠かせない」という。日本は「国に仕えるメディア」。ドイツは「警告を発するもの」という認識なのだとか。
2011-07-07 16:33:09
原発問題についても日独で大きな違いがある。シュピーゲルは70年代から継続的に反原発特集を組んできた。福島第一原発の事故についてはシュピーゲルだけでなく、普段この問題についてはあまり報道しないBildも大きく報道したという。
2011-07-07 16:36:01
今までの話はDr. Alexander GÖRKE(ベルリン自由大学)のお話。このあと今井義典(立命館大学客員教授、元NHK副会長)さんの話。
2011-07-07 16:41:19
「福島の問題は政府発表だけでなく、上空まで行って問題が起きてないか確認する。こういうことがジャーナリズムの仕事ではないか」とゲルケ先生。 http://twitpic.com/5memre
2011-07-07 16:44:02
今井「NHKには全国で54の放送局があり非常時に対応できるようにしている。3月11日14時46分に地震が起きたときNHKは国会中継を流していたが14時48分には災害特番を開始。15時にはヘリコプターを飛ばし、15時56分宮城県名取市の津波の映像を撮影した。災害特番は1週間続けた」
2011-07-07 16:50:34
ドイツのメディア人は震災報道が酷かった自戒の念も持っているそうでこのシンポも実態を知るため日本から人を招いたとのことです。RT @tomojiro: ドイツ語でドイツの報道を読んでいた者からすると「いい加減にしてほしい」と思うくらい美化していますね。ドイツの報道が図抜けて酷かった
2011-07-07 16:55:16
今井「NHKには全国で14台のヘリコプターがあり、いつでも飛べるようにしている。今回の地震では1万人の職員のうち東北には500人いた。そこに500人のジャーナリストや技術者を応援に出し、12のヘリと50台の衛星中継車を出した」
2011-07-07 16:58:07
ドイツのメディアの中には、日本の「情報報道」の姿勢を見習った方がいいのでは、という議論もあるそう。結局は情報報道と調査報道のバランスの問題なんだろうね。
2011-07-07 16:59:17
今井「メルトダウンの問題。日本政府は外国政府に対しては非公式な場でメルトダウンのことを伝え、海外メディアがその情報を基にメルトダウンの報道を行っていた。しかし政府は5月12日まで私たちマスメディアに伝えてくれなかった。ここに難しい問題がある」
2011-07-07 17:05:02
今井「我々は一部の専門家の予想などに基づき、十分な確認をしない状況で危険を煽るような報道はできなかった。そのため、メルトダウンの可能性を報道できなかった。このことはご理解いただきたい」
2011-07-07 17:06:02
シュミット「日本の報道はfactベースに集中していた。ドイツの報道は原発関連会社や政府に対する責任問題追求や怒りの報道が多かったように思う。NHKはなぜそういう報道をしなかったのか」
2011-07-07 17:19:46
今井「確かにNHKではそうした感情の発露はほとんどなかった。私はスリーマイルの事故の時現場にいた。その経験でいうと、自分の感情をコントロールして人々に動揺を与えないようにして伝えることが大事。難しい精神状態にいる視聴者のことを慮りながら情報を伝えることに重点を置いていた」
2011-07-07 17:21:29
ゲルケ「今井さんの話だが、そこに日独の大きな違いがある。事実を伝えることは重要だが、実証された事実がない場合もある。東電が自分にとって都合の悪い情報を出さないだろうということを推察するのがジャーナリスト。ドイツの場合はそういうケースは専門家に頼る」
2011-07-07 17:22:37
ゲルケ「確かに専門家にも多様な意見があることで、ポイントがわからなくなるということもある。学者が1つのことに物を言っても、いろいろな見方があるから。福島でもそうだった。しかし、多様な報道のため、専門家によっていろいろな違いを見せるということがドイツでは重要とされている」
2011-07-07 17:24:16
ゲルケ「どこに本当の報道、ニュースがあるのか、ということが日本の報道からはわからなかった。日本の報道が政府にきちんと向かっていけばそのようなことにならなかったのではないか」
2011-07-07 17:25:39
会場質問「NHKは事実報道に力を入れると強調されたが、日本政府が事実が隠していたから、事実報道ができなかったというのはいろいろな意味で問題があるんじゃないか。NHKは確かに事実は隠さなかったが政府の情報隠しを把握できなかった。なぜ把握に努めなかったのか。検閲されてるのと同じでは」
2011-07-07 17:29:45
今井「NHKの放送には検閲はない。自分たちが自分たちで決めた基準で情報を出している。判断な付かない極端な意見が多数出てきたときに、それを並べて出すことも難しい場面がある。把握できなかったことの責任問題については、我々にもいくつか問題があったと認識している」
2011-07-07 17:31:19
今井「なぜ把握できなかったか。現場は非常に混乱していた。東電、政府、保安院、福島など、同じような会見が同時間帯に数時間にわたって行われた。政府の情報公開について責任問題が言われているが、IAEAからも指摘を受けている。政府の情報公開の姿勢については改善を望みたい」
2011-07-07 17:33:18
ゲルケ「事実はジャーナリズムが作り上げてしまうもの。ジャーナリズムはfactを伝えるだけではなく、物の見方を作るという考え方もある。今回の福島原発事故についてはfactだけでなく、物の見方を提供すべきだったのでは」
2011-07-07 17:34:56