先週末からの私の「データベース消費」関連のツイートに、多くのリツイートやいいねをいただきありがとうございました。 「データベース消費」は東浩紀氏の用語ですが、オタクのキャラクター消費の実態と乖離しても、東氏個人の思索に貢献すればそれでよいのです。否定するつもりはありません。 続く
2019-03-26 07:33:35私が問題視しているのは、東氏個人の思索の道具でしかない「データベース消費」という概念を、「実在するオタクの消費行動」として理解し、それを前提にした社会学者の主張です。 腐女子と男オタクの違いとしてフェミニズムの文脈にこじつける社会学者の議論は新たな偏見を生み出すから問題なのです。
2019-03-26 07:48:50問題なのは、東京大学教授である社会学者の北田暁大(2017)の「社会にとって趣味とは何か(河出書房新社)」の北田論文、「動物たちの楽園と妄想の共同体 オタク文化受容様式とジェンダー」です。副題が示すのは「腐女子=相関図消費・男オタク=データベース消費」なのでしょう。 続く
2019-03-26 08:27:48北田(2017)は、東園子(2015)の「恋愛強制社会で否定された女性同士の親密な共同体を、腐女子はBL同人誌を媒介につくりだす」という主張を継承しており、タイトルの「妄想の共同体」は腐女子を意味します。「動物たちの楽園」は「脊髄反射的に萌え要素に反応する」男オタクを意味するようです。 続く
2019-03-26 08:36:19「異性愛社会で女性同士の親密な関係性は禁じられている」という東園子の主張に対し、女子大や女子高の人間関係は偽りの関係なのかと疑問に思います。 また北田暁大(2017)は論文タイトルから、男オタクを「動物」扱いしており、北田の腐女子と男オタクに対するスタンスの違いは明確ですね。 続く
2019-03-26 08:45:05「社会にとって趣味とは何か」の北田暁大(2017)の論文にはいくつもの疑問があります。この後時間を見つけて、北田論文の疑問についてツイートしたいと思います。 私が問題視しているのは北田(2017)の論文だけであり、北田氏の他の論文や北田氏個人に関して全く興味がないことをお断りしておきます。
2019-03-26 08:51:07北田暁大(2017)は、2010年の趣味全般に関する調査で使用した質問項目から「オタク尺度」を構成している。この尺度でオタクと認定するのは、「マンガ、アニメ、ゲームを趣味とし、マンガやアニメを媒介とした友人がいて、ラノベ好きな者」である。 8項目中、4項目が友人関係の質問である。 続く
2019-03-26 11:47:37マンガやアニメ関係の友人がいるから、オタクになるのだろうか。マンガ、アニメ、ゲームに熱中するからオタクになるのであり、その過程で友人ができるのである。 北田暁大(2017)は、オタクになった結果である従属変数でオタク認定しており、独立変数と従属変数の関係を理解していない。 続く
2019-03-26 11:57:24北田(2017)のオタク尺度では、どんなにマンガやアニメに熱中しても、その趣味関連の友人がいない者はオタク認定されないし、ゲームに熱中しゲーム関連の友人がいるゲームオタクもオタク認定されない。 逆にオタク趣味にあまり熱中しなくても、オタクの友人がいればオタク認定される。 続く
2019-03-26 12:03:32北田(2017)のオタク尺度は、明らかなオタクをオタク認定せず、オタク度の低い者をオタク認定してしまう精度の低い尺度である。 また、北田は2010年の調査で使用した「オタク自認」の質問をオタク尺度に採用していない。北田の尺度は結果から逆算した恣意的なものなのである。 続く
2019-03-26 12:22:29北田暁大(2017)は、オタク自認項目を入れると自分の主張に都合がよい結果が出ないから採用しなかった(意訳)と弁解している。 人は自分を良く見せるために、質問に正直に答えないことがあるが、自分を良く見せるために「自分はオタクだ」と答える可能性は低い。 続く
2019-03-26 12:34:20つまり、北田暁大(2017)が「社会にとって趣味とはなにか」の論文で示している調査結果は、自分の結論から逆算したものだと解釈せざるを得ない。 その結論が、「腐女子は相関図消費のフェミニストであり、男オタクはデータベース消費のアンチフェミニスト」なのである。 続く
2019-03-26 12:45:04北田暁大(2017)は、山岡(2016)の研究を「トートロジー」と批判している。詳細は、「腐女子の心理学2」第一章を参照されたい。 北田の独立変数であるオタク尺度の半数は、マンガ・アニメ関連の友人関係の質問であるが、趣味関連の友人関係の質問を従属変数とし重要な結果として議論している。 続く
2019-03-26 12:56:38北田(2017)は、従属変数「違う趣味の友人よりも同じ趣味の友人が大切」での交互作用を重要視している。独立変数と従属変数で同系等の質問をすれば、何らかの有意な結果が認められて当然である。 トートロジー批判は自身に向けるべきだろう。 続く
2019-03-26 14:14:49ひとまずまとめようと思います。 北田暁大(2017)の「動物たちの楽園と妄想の共同体」は、男オタクと腐女子のジェンダー意識の比較をメインテーマとしている。オタク認定のために北田が作成したオタク尺度は、オタクの判別精度が低く、信頼性も妥当性も極めて低い。 続く
2019-03-27 02:42:28北田(2017)のオタク尺度も調査項目も、過去の調査データの再利用であり、オタクや腐女子研究のために作成されたものではない。オタク自認の質問を除外するなど、オタク尺度の項目は結果から逆算された恣意的なものである。妥当性の低いオタク尺度で認定したオタクに関する議論に妥当性はない。
2019-03-27 02:53:09「社会にとって趣味とは何か(河出書房新社)」の北田暁大(2017)の論文「動物たちの楽園と妄想の共同体」の「腐女子認定」の問題点を指摘します。 北田が作成したオタク尺度と「マンガの二次創作に興味がある」に肯定的に回答した女子を、北田は腐女子認定している。 続く
2019-03-27 03:05:48「漫画の二次創作に興味を持つ女オタク=腐女子」という北田(2017)の操作的定義は、「二次創作=エロ変換、女オタクのエロ変換=BL」という「社会学的想像力」の産物だろう。東園子(2015)のBL同人誌の研究から、北田は「二次創作=エロ変換」と思い込んだようである。 続く
2019-03-27 03:25:30北田(2017)の腐女子の操作的定義が正しいのであれば、コミケに行く女性は全員腐女子になってしまう。「腐女子の心理学2」第1章にも書いたが、「マンガの二次創作に興味を持つ女オタク(山岡の尺度で認定)」のうちBL嗜好を持つ腐女子は5割強でしかない。北田の腐女子認定も妥当性がない。 続く
2019-03-27 03:39:12北田(2017)のオタク認定の道具であるオタク尺度が妥当ではないし、「二次操作気に興味を持つ女オタク=腐女子」という操作的定義も妥当ではない。 使いまわしの質問で何とかなるほど、オタク・腐女子研究は甘いものではないのである。 続く
2019-03-27 03:51:29この段階で、北田暁大(2017)の論文はオタク・腐女子研究として妥当ではないと判断し、心理学の査読論文だったら掲載拒否決定である。 しかし、「二次創作=エロ変換」という社会学的想像力が北田論文の最大の問題点、「有意差の隠蔽と誤差の強調」を生み出すことになる。
2019-03-27 03:59:54北田暁大(2017)は、オタク尺度からオタク、中間、非オタク、「マンガの二次創作への興味ある・なし」、それに男女の3×2×2=12群の比較を行っている。 はたして、二次創作に興味を持つ非オタクは存在するのだろうか。 続く
2019-03-27 09:33:32