「日本の若年女性で、HPVワクチンと、報告された接種後症状の間には関連がない：名古屋スタディの報告」抄訳

森　勇一 @ymori117

「日本の若年女性で、HPVワクチンと、報告された接種後症状の間には関連がない：名古屋スタディの報告」 sciencedirect.com/science/articl… 名古屋市が14～21歳女性に郵送アンケート。71177名中29846名が回答。接種後症状と報告され被害者連絡会も同意した24種類の症状全て、ワクチン接種群・非接種群に差なしと

森　勇一 @ymori117

上記論文は未改訂のため今後変更の可能性がある。ざっくりまとめるつもりが長文になってしまったので、忙しい方はこちらを： EARLの医学ノート 【文献】HPVワクチンとワクチン接種後の症状に関連性はない（名古屋研究） drmagician.exblog.jp/27113403/

森　勇一 @ymori117

「2009年の日本へのHPVワクチン導入後、名古屋市は接種を全額補助。しかし接種後症状の報告で2013年に厚労省は積極的勧奨を保留。2015年、子宮頸がんワクチン被害者連絡会愛知支部が名古屋市長に接種後症状の調査を依頼し受諾された。名古屋市と名古屋市立大学が大規模アンケート調査実施に同意。」

森　勇一 @ymori117

「対象は1994年4月から2001年4月生まれ（2010年に9～15歳）で2015年8月に名古屋市在住の女性。方法は無記名郵送アンケート。質問項目は接種後症状と報告されていた24症状で、調査研究者とワクチン被害者連絡会愛知支部とが相談して選択された。」

森　勇一 @ymori117

名古屋スタディのアンケート文面はこちら(PDFファイル直リンク) city.nagoya.jp/kenkofukushi/c… 論文(未改訂)の本文では「文献22」となっているが実際は「文献27」

森　勇一 @ymori117

「主要評価項目はHPVワクチン接種と24症状のうち1つ以上の関連。他の評価項目は、症状による病院受診、『いつもある』と回答された症状、生活活動度への影響、複数症状の発生。注射開始年度別、接種前症状を除外したサブグループ解析も行った。」

森　勇一 @ymori117

訳注：サブグループ分けは、まず2010年に1996年度生まれが接種を受け(コホート2)、翌2011年に年上の1994年・1995年度生まれ(コホート1)と、年下の1997年度生まれ(コホート3)が接種を受けているので、接種年齢が一律ではない。このため主要評価項目の検討には年齢調整が用いられている。

森　勇一 @ymori117

「71177通のアンケートを発送。217通は宛先不明で返送。30793通(43.4%)の回答。うち947通はHPVワクチン接種歴または年齢が未記載で除外。残りの29846通を解析。ワクチン接種率は1994～1997年度生まれは85%超、1998年度生まれから低下が始まり2000年度生まれは15%だった。」

森　勇一 @ymori117

「表2はHPVワクチン接種状況と報告された24症状の分布を示す。」 表2 (実数は原文を参照のこと) 月経不順：接種あり 26.5% 対 接種なし 25.6% 月経量の異常：7.9% 対 6.2% 関節やからだが痛む：7.3% 対 8.0% ひどく頭が痛い：10.4% 対 10.3% 身体がだるい：11.0% 対 11.5% すぐ疲れる：11.0% 対 11.0%

森　勇一 @ymori117

集中できない：6.9% 対 8.0% 視野の異常：1.9% 対 1.9% 光を異常にまぶしく感じる：4.4% 対 3.9% 視力が急に低下した：6.7% 対 8.8% めまいがする：11.1% 対 12.1% 足が冷たい：12.2% 対 12.7% なかなか眠れない：7.2% 対 7.7% 異常に長く寝てしまう：11.9% 対 11.7% 皮膚が荒れてきた：10.0% 対 11.8%

森　勇一 @ymori117

過呼吸：3.4% 対 3.7% 物覚えが悪くなった：3.0% 対 2.4% 簡単な計算ができなくなった：0.9% 対 0.9% 簡単な漢字が思い出せなくなった：2.0% 対 2.0% 身体が自分の意思に反して動く1.0% 対 0.6% 普通に歩けなくなった：0.3% 対 0.2% 杖や車いすが必要になった：0.2% 対 0.2%

森　勇一 @ymori117

突然力が抜ける：1.4% 対 1.1% 手や足に力が入らない：1.7% 対 1.4%

森　勇一 @ymori117

「年齢と回答者(本人か親か)が交絡因子になると仮説を立てたが、年齢のみが因子であった。このため、すべての解析を年齢調整で行うこととした。表3はHPVワクチン接種と報告された24症状の年齢調整オッズ比を示す(主要評価項目)」

森　勇一 @ymori117

表3 (95%信頼区間は原文を参照のこと) 月経不順：発生 0.92、受診 1.29(有意差)、持続 1.10 月経量の異常：1.10、1.43(有意差)、1.41(有意差) 関節やからだが痛む：0.87、1.25、0.71 ひどく頭が痛い：0.95、1.19(有意差)、1.08 身体がだるい：0.81、1.28、0.83 すぐ疲れる：0.88、1.20、0.97

森　勇一 @ymori117

集中できない：0.84、1.29、0.96 視野の異常：0.82、0.97、0.80 光を異常にまぶしく感じる：0.98、1.03、0.98 視力が急に低下した：0.78、0.90、1.03 めまいがする：0.84、1.12、0.96 足が冷たい：0.79、1.02、0.91 なかなか眠れない：0.71、0.87、0.75 異常に長く寝てしまう：0.91、1.12、1.12

森　勇一 @ymori117

皮膚が荒れてきた：0.78、0.88、0.87 過呼吸：0.77、0.82、0.31 物覚えが悪くなった：1.00、1.06、0.74 簡単な計算ができなくなった：0.70、1.83、0.35 簡単な漢字が思い出せなくなった：0.73、2.09、0.44 身体が自分の意思に反して動く：1.20、1.08、0.81 普通に歩けなくなった：0.94、1.21、0.42

森　勇一 @ymori117

杖や車いすが必要になった：0.55、0.57、0.36 突然力が抜ける：1.05、1.41、0.59 手や足に力が入らない：1.19、1.42、1.02

森　勇一 @ymori117

「24症状全てで、HPVワクチン接種はオッズ比増加と関連していなかった。月経不順・月経量の異常・頭痛の3症状で病院受診のオッズ比が有意に上昇していた。月経量の異常の症状持続も統計学的に有意であった。」

森　勇一 @ymori117

「24症状は、学校の成績、勉強以外の学校活動、就職・雇用のいずれとも統計学的に有意な関連がなかった。症状1つのオッズ比は 0.83、2より多い 0.81、3より多い 0.80、4より多い 0.79、5より多い 0.77、10より多い 0.76 と減ってゆき、HPVワクチン接種と複合的な症状との関連は否定的であった。」

森　勇一 @ymori117

「2010年と2011年は2価ワクチンが87.8%、2012年と2013年は4価ワクチンが80.0%。2価ワクチンは24症状すべてと有意な関連無し。4価ワクチンは『身体が自分の意思に反して動く』のみオッズ比が1.54と有意に上昇していたが、受診オッズ比は1.19、持続は0.52と有意ではなかった。」

森　勇一 @ymori117

「ワクチン接種開始年度別に解析を繰り返したが概ね同様の結果であった(データ提示無し)。年度が進むにつれオッズ比は上昇する傾向があった。2012年度開始群と2013年度開始群で有意なオッズ比上昇を認める症状があったが、それぞれ違うものであった。」

森　勇一 @ymori117

「表6はHPVワクチン接種前の症状を除外したサブグループ解析を示す。『手や足に力が入らない』が唯一の有意差を伴うオッズ比(1.44)であった。受診のオッズ比は24症状のうち5症状で有意に上昇していた。」

森　勇一 @ymori117

「最大のオッズ比は『簡単な漢字が思い出せなくなった』の6.15、次いで『簡単な計算ができなくなった』の4.59であった。」 表6 (95%信頼区間は原文を参照のこと) 月経不順：発生 0.98、受診 1.34(有意差)、持続 1.18(有意差) 月経量の異常：1.11、1.54(有意差)、1.54(有意差)

森　勇一 @ymori117

関節やからだが痛む：0.84、1.44、0.68 ひどく頭が痛い：0.98、1.41(有意差)、1.22 身体がだるい：0.82、1.60(有意差)、0.92 すぐ疲れる：0.91、1.64(有意差)、1.08 集中できない：0.85、1.71(有意差)、0.84 視野の異常：0.81、1.25、0.90 光を異常にまぶしく感じる：0.95、1.19、0.95

森　勇一 @ymori117

視力が急に低下した：0.85、1.07、1.13 めまいがする：0.86、1.33(有意差)、1.03 足が冷たい：0.80、1.34、0.96 なかなか眠れない：0.68、1.09、0.75 異常に長く寝てしまう：0.90、1.30、1.12 皮膚が荒れてきた：0.83、1.01、0.97 過呼吸：0.83、1.06、0.20 物覚えが悪くなった：0.94、1.69、0.71