極限の氷雪地帯にて、ドロドロの社会と自己に向き合う哲学的なペンギンを遊ぶ未訳TRPG『Valley of Eternity』プレイレポ

一石楠耳 @isikusu

ペンギンになるTRPG『Valley of Eternity』を遊んで来たので、プレイレポを少しします。場所は南極大陸、我らは自我ある悩めるペンギンたち。厳しい自然の中で脂肪を燃やし、体温尽きるまで自らの存在意義を問うのだ pic.twitter.com/yS4jM8SXp3

チーカマ @ouou_suyasuya

世の中にはペンギンになれるtrpgがあるんですか！！？？？？？？？えらいこっちゃ 最高だ rt

一石楠耳 @isikusu

厳しい自然の南極大陸。シャチやアザラシやらが脅威として存在するこの極地のせいか、ペンギンの一部は『悟りの心』を得ます。『悟りの心』に目覚めたペンギンは通常のペンギンと一線を画し英雄と呼ばれるようになり、何もないはずの死地、極地中の極地に心奪われる、そこへ向けて旅をします

一石楠耳 @isikusu

死と己に突如向き合うようになった彼ら、姿こそ通常のペンギンと変わりませんが、その心はまるで哲学者のよう。しかもそれだけではなく、『悟りの心』を得たペンギンは様々な力も得ることが出来ます。戸惑いの言葉を吐き捨てて周囲を混乱させたり、風に乗って空を飛んだり、念動力で雪玉飛ばしたり

一石楠耳 @isikusu

「おい待て。明らかにペンギンがどうとかいうレベルではないぞ」 「普通に空飛んでるし」 「アザラシ召喚して乗れる能力もあるぞ！」 「そもそも普通に武器を持ってる。どうやって持つんだ」 GMより、「擬人化ペンギンみたいなものなので道具も持てる」と説明が。なるほど。なんだこのペンギン

一石楠耳 @isikusu

なお、『悟りの心』ではなく『氷河の心』に目覚めてしまったペンギンもおり、これはアンチペンギンと呼ばれます。英雄のペンギンとは全く違う力が使えるようになる。つららを生み出して武器とすることも出来る。強い！更に言うと、模様の白と黒が逆になる。かっこいい！

一石楠耳 @isikusu

こうした自我に目覚めたペンギンたちは6種類いて、それぞれに序列がある。一番上がコウテイペンギン。とにかくでかくて偉いし、暇を持て余しているせいで余計なことばかり考えるので鬱病気質で、『悟りの心』や『氷河の心』に目覚めやすい。心理的なことや哲学的なことが大好き

一石楠耳 @isikusu

次がオウサマペンギン。コウテイの次のポジションで実質の権力者、権力争いをキング同士で繰り広げている。三番手がコウテイとキングの私生児、出自に思い悩み続ける首のないペンギン、ヘッドレスことバロンペンギン。そろそろ皆様お気づきでしょうが、ペンギンにしては何かときな臭いのがこのゲームだ

一石楠耳 @isikusu

「鬱病気質のコウテイペンギン……」 「キングは種族内でナンバー2争いを続けている……」 「バロンの不憫さは何」 言いたいことはまだまだあるのだけど、種族はまだある。勢力争いから逃れて海を楽しもうとする享楽なロイヤル、体は小さいが戦闘意欲が高いアデリー、搾取される側の最下層イワトビ

一石楠耳 @isikusu

悩める幾多のペンギン種族から、集いし我らプレイヤーが選んだのが、これ。上から偉い順に並んでいるのでわかりやすいだろう。一番偉いのが我輩、コウテイペンギンである。頭が高いぞ。まあ庶民どもは我輩のように体が大きくないので、我輩より頭が高くなることはないのだがな。はっはっは。よい pic.twitter.com/jG7viIlNiq

MEATGAZER @trappybunny

今日のペンギンたち！ pic.twitter.com/gkEqZwus0G

一石楠耳 @isikusu

コウテイペンギンは名をポルピュリオーン。とにかくでかくて、「これはつまり吾輩の心象世界が具象化したものであり」とかいちいち言う。卵を一個大事に抱えていて、「旅する我らもつまりは卵の殻に囚われし存在に過ぎず、この殻が割れた時にどうのこうの」とかずっと言ってる

一石楠耳 @isikusu

オウサマペンギンは名をアマクサ。権力争いの好きなオウサマの中でも特に胡散臭い、謎の宗教家。言いくるめると念動力が主力。 ヘッドレスことバロンペンギンは、名をペルセウス。忌み嫌われても強く生きるたくましいペンギンだ。自分のような子が生まれないことを祈っているしアザラシ召喚ができる

一石楠耳 @isikusu

なお、ヘッドレスの人はこのレポでヘッドレスをやってた人です 侵入者を撃退するたび生前の記憶を取り戻すスケルトンを遊ぶ未訳TRPG『The Skeletons』プレイレポ - Togetterまとめ togetter.com/li/1097212 @togetter_jpさんから

一石楠耳 @isikusu

「おいペンギンの中に明らかにおかしいやつがいるぞ」 「なぜヘッドレスがいる」 「スケルトンの時にヘッドレスだったから続投するべきでは……？」 「首なし専門プレイヤーになりつつある……？」 まさかスケルトンをやってもペンギンをやっても首がなくなるとは誰も思わなかった。GM以外

一石楠耳 @isikusu

ロイヤルペンギンの名は、ヒュパティア。かつて拷問でカキの殻剥きで身を削がれたことがあるという、体にも心にも傷を抱えた、斜に構えるメスペンギン。 アデリーペンギンはメンバー唯一のアンチペンギン、名はAngry Skull。ルサンチマンを抱えてゲバ棒を振りかざす、小さな恐怖だ

MEATGAZER @trappybunny

今日はペンギンになるTRPG『Valley of Eternity』で遊びます！ 私はルサンチマンを抱え同族すら信じられないまま生きてきた中、氷河の声を聞いて旅の果てにペンギンを超える存在となったアンチペンギンのアデリーペンギン、名をAngrySkull（ゲバ棒を振り回す） pic.twitter.com/4zj7Lx8IDo

MEATGAZER @trappybunny

他のペンギンたち。 「ヘッドレスバロン（ありまさん画）をペンギンと言い張るの勇気がいる」 「どうかしてると思われるよねこれ」 pic.twitter.com/vXpILma2Im

一石楠耳 @isikusu

重たくも、一癖も二癖もある設定のPCたちですが、改めてもう一度言おう。これはペンギンを遊ぶTRPGである！全員集合したイラストも描いてもらったぞやったあ。絵的にはかわいいな。しかしそこには地位や権力争いやルサンチマンが渦巻いているのであった。人間PCでもここまでドロドロしないよ！ pic.twitter.com/wl7p5l7F9z

一石楠耳 @isikusu

言ってしまえばこれは、人間PCだとリアルに泥臭くなりすぎることを、ペンギンのガワを借りてやっているんだと思われます。なので、シナリオも相当テーマが重かった。もうドロッドロですよ。そこには社会の厳しさとそれぞれの事情、自然の摂理や生命の存続の意義などが、ぎゅうっと詰め込まれていた

一石楠耳 @isikusu

ところでペンギンの名前が妙に仰々しいのは、「ギリシャの哲学者みたいな名前をつけてください」という要請がGMからあったからです。アンチペンギンだけは英語でメタルっぽい感じのやつ推奨ということで、こういう名前になった。俺はギリシャ神話の巨人から名前を取ってポルピュリオーンにしました

一石楠耳 @isikusu

何の気なしに付けたこの名前、偶然にもシナリオに「ヘーラー」という名前のメスペンギンがNPCで出てきたものだから、「ヘヘヘ、ヘーラー！！！」と叫んでコウテイは正気を失った。ポルピュリオーンはゼウスの奸計によってヘーラーへの欲情で心を満たされて倒された巨人らしくてですね……

一石楠耳 @isikusu

ましてやシナリオが、ペンギンの卵とその育て方についてのお話だったため、「コウテイペンギンのオスは一個の卵を守り続けて孵化させる」というペンギン知識でつけた設定の、卵を一個持って来ているというのがシナリオでたまたま作用してしまい、皇帝ポルピュリオーンは心象世界がどうのこうのと宣った

一石楠耳 @isikusu

小さなアンチペンギンAngry Skullに「ははは。よいぞ」と偉そうに構えたり、ヘッドレスの良い奴ペルセウスに「ははは。よいぞ」と偉そうに構えたり、宗教家アマクサに「ははは。よいぞ」と好きにさせたり、斜に構えた正論を放つヒュパティアを「あの立場いいな」と眺めたり。楽しかったなー

一石楠耳 @isikusu

ペンギンだからっていう理由で出来ることや話せることもあり、なかなか稀有なTRPG体験でした。ところでこのゲーム、何かする時に消費されるポイントは脂肪だ。HPの代わりは体温で、体温が減ると死ぬぞ。極地だからな！！そんな『Valley of Eternity』とてもよかったです