三越伊勢丹が初売りを異例の1月3日に後ろ倒し 労働環境改善と顧客サービス向上を図る

英断という声も。
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 三越伊勢丹グループの新宿・銀座・浦和の3店舗で、1月2日迄休業日にすることが発表された。業界では、稼ぎ時といわれる「初売り」を3日にずらすのは異例の決定ともいえる。

 この件に関しては、今年9月に三越伊勢丹グループから公式の発表があったが、主に同グループに出店している洋菓子店「銀座ウエスト」がこの度、公式アカウントでツイートし、再度話題になったかたちだ。同アカウントは、「売上げより我々社員の労働環境の改善を重視した英断だ」とも述べている。※ツイートでは、3店舗となっているが、公式発表では8店舗となっている。

 以前から、取引先も販売員の労働環境や人材の安定確保の観点から営業時間短縮や店舗休業日を求める動きがあり、「平成24年より虎屋の黒川社長はじめ食品業界有志の皆様が一貫して百貨店業界に働き掛けてきた努力の賜物なのです」とも投稿している。

 百貨店最大手の三越伊勢丹グループが1月2日迄休業を決めた背景には、「1995年以降の約10年間で百貨店の営業時間、営業日が拡大し、従業員の労働環境が厳しくなったことで百貨店の強みである販売サービスの低下を招いた」と説明している。同社は2009年度から営業時間の短縮を、2001年度から元旦以外の休業日を導入し、その結果、営業時間に販売員が厚く配置され、より質の高い手厚いサービスを提供することが可能になった。営業時間の拡大よりも、販売サービスの強化が顧客満足につながったのだ。

 これに対し、Twitterユーザーからは、「素敵な会社ですね」「(従業員も)元旦くらいはゆっくり過ごそう」という賛同の声が多く寄せられた。この業界異例の休業により、今後この働き掛けの拡大や動向が大いに注目されることだろう。