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企業・組織によって異なるカタチ。事例と共通点から見る CCoE の活動と在り方 ~AWSブログ編~

本記事は  AWSアワード記念!夏のアドベントカレンダー  8日目の記事です。
🎆🏆  7日目  â–¶â–¶ æœ¬è¨˜äº‹ â–¶â–¶  9日目  ðŸ†ðŸŽ†

出典:https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/how-to-get-started-your-own-ccoe/

はじめに

こんにちは。秋田県出身の丹(たん)です。
2024年のAWS Summit Tokyoにて、3つのプログラムで選出されました。

  • 2024 Japan AWS Ambassadors(Associate Ambassador)
  • 2024 Japan AWS Top Engineers(Secuirty)
  • 2024 Japan All Certifications Engineers

2024年からTier制になったため、1年目の AWS Ambassador として「Associate Ambassador」からスタートです。
Top Engineersには復帰しまして、2022年には「Service」カテゴリでしたが、今回は「Security」カテゴリで認定されました。
また、今まで11個のAWS認定を持っていましたが、2024年で初めてAWS認定全冠となりました。認定資格更新と新たな認定試験が待っています・・こちらも継続更新を頑張りたいと思います。

さて、NRIネットコムのブログイベント「AWSアワード記念!夏のアドベントカレンダー」8日目になりますが、JAWS-UGイベント参加を中心としたコミュニティの話にしようか、AWSマルチアカウント管理の話をしようか、AWS Identity and Management Access(IAM)の話をしようか、何を書こうか考えていたところでAWS公式の CCOE | Amazon Web Services ブログを見つけました。
その他の話は別の機会に改めて書くとして、今回は業務の中で CCoE について整理する機会がありましたので、その要点を紹介したいと思います。
内容の詳細についてはAWS公式ブログを参照いただくとして、ここでは一部を抜粋しながら要点に絞って紹介することで、CCoE の活動と在り方について考えるきっかけと観点をつかんでいただけると幸いです。

今から始める CCoE、3 つの環境条件と 3 つの心構えとは

昨今、クラウドがビジネスにもたらす経済的価値を追求し、会社や組織全体としてこれを享受するための施策を立案/推進するチームとして、クラウド活用推進組織(CCoE:Cloud Centre of Excellence)を立ち上げる企業が珍しいものではなくなりました。

CCoE は各企業・組織によって異なりそれぞれの組織に最適なカタチへと変化しながら、活動と在り方を模索していきます。 まずは、CCoE がなぜ必要になるのか、うまく機能するための環境条件、そしてどんな心構えを持って臨むのが効果的なのかが紹介されています。

クラウドがビジネスにもたらす経済的価値を追い求める道のり~クラウドジャーニー~

AWS Executive Insightsの中で、クラウドへの移行によるビジネス価値を定量化することをサポートするためにAWSによって開発されたCloud Value Frameworkが紹介されています。
クラウドを活用することで各企業・組織が獲得しうる経済的価値を発見/定義できたとします。しかし、AWS の利用を開始すればただちにこれらの価値を享受できるわけではありません。

経済的価値を追い求めクラウド最適化に向けた「クラウドジャーニー」を歩んでいきますが、よく遭遇するハードルがあります。

価値を追い求める道のり〜クラウドジャーニー〜

セキュリティリスクを集約して判断してガバナンスを機能させるということや、アプリケーションや業務アーキテクチャを変革してモダンな開発を行うこと等技術的な観点だけではなく、トレーニングも含めたクラウド人材の働く環境をよくすることもハードルの一つとなります。

クラウド活用推進組織(CCoE)

これらのハードルを突破するために、各開発チームだけでは難しい場合が多く、クラウドにおいて貴重な専門知識と経験を一箇所に集めて専門家集団(Centre of Excellence)とし、リスクや課題を集約して槍のように一点突破しようというのが「クラウド活用推進組織(CCoE:Cloud Centre of Excellence)」の構想です。

クラウド活用推進組織(CCoE)

つまりは、既存チームとの兼任でも良いので専門知識と経験を一箇所に集めて、リスクや課題を集約して課題解決に向かうよう伴走する CCoE という専門家集団を組成します。
その CCoE は現場を支えるために必要な環境整備を行うことになりますが、このような仕事は事業や業務構造に依存し、多岐にわたる範囲で必要となります。
一度に範囲を広げようとするのではなく、まずは支援を必要とする小さなプロジェクトから開始して、徐々にリソースを拡充し、タスクの深さと範囲を調整していきます。場合によっては既存のチームに役割を委譲することも有効です。

クラウド活用推進組織(CCoE)が機能する3つの環境条件とチームメンバーの心構え

CCoE がうまく機能するための3つの環境条件があります。

1.会社/組織としてクラウド活用の意思を持つ:

クラウド活用を推進することにより実現するビジネス成果について、重要性と期待を明確に述べているか。
経営戦略と整合しており、意思決定層/トップマネジメントが存在するか。

2.クラウド活用において、組織横断かつ構造上の課題を有する:

例えば、セキュリティとコンプライアンスを維持するためのリスク統制機構が整備されていない、閉域網接続、従業員や顧客の認証と認可、ログ集約、監査機能など共通サービスが整備されていない等の課題を有する。
それらの課題を解決することによって得られるメリットを意思決定層/トップマネジメントが理解していて支援できるか。

3.クラウド活用スキルの不足やリソースの偏りがある:

「クラウド活用スキル」は、クラウドの使い方などの技術的スキルに限定されない。
そういった要因もあり、専門的知識と経験を持ったリソース(人的資本)が、特定のプロダクトや部門にのみ存在している、またはいずこにも存在しない。

また、Amazon Web Services(AWS)ブログでは CCoE を構成するためのメンバーに重要な3つの「心構え」についても説いています。

CCoE のリーダーやメンバーは、どんな心構えを持って臨むべきか?

出典:今から始める CCoE、3 つの環境条件と 3 つの心構えとは | Amazon Web Services ブログ

CCoE 活動検討のはじめの一歩

クラウド活用を推進するにあたっての活動も多岐にわたります。関係者の期待値も立場によってさまざまであるため、活動全体を俯瞰した上で、経営層や関係部門と共通認識を持って CCoE の活動内容を検討することが重要なポイントとなります。

クラウド活用推進活動全体における CCoE の活動

AWSがクラウド導入の一連の基盤となるケイパビリティやベストプラクティスをまとめた「AWSクラウド導入フレームワーク(AWS CAF)」があります。 クラウド活用推進のために必要な活動を6つの観点でカテゴライズされています。

AWSクラウド導入フレームワーク(AWS CAF)

3つの環境条件でも前述した通り、クラウドを活用してビジネス成果を加速させるためには、共通基盤構築や設計ガイドライン作成といった技術的な観点だけではなく、人材育成やガバナンスの整備といった非技術的な観点での活動も重要になってきます。

自社の課題を起点に CCoE の活動を考える

ブログ内でもいくつか紹介されていますが、CCoE 活動における先行事例は魅力的で、そのまま自社に取り入れたくなるかもしれません。しかし、そのまま自社に取り入れても上手く機能するとは限りません。会社によって取り組むべき課題が異なり、かつ多様であるため、CCoE の形態も必然的に多様になります。
自社の課題を起点に CCoE として取り組んでいくべき活動を検討しましょう。

CCoE は環境に応じて変化する

時間の経過とともに、組織もプロセスも成熟し CCoE を取り巻く環境が変化していくため、クラウド利用の状況に合わせてより効率的に運営できるように変化させていくことが重要です。
プロジェクトや既存組織に CCoE の権限を委譲しながら、CCoE 自体は更に先を見据えたタスクに集中できるようにシフトしていくことが必要です。

会社やチームの環境に合わせて変化する CCoE

出典: CCoE 活動検討のはじめの一歩 | Amazon Web Services ブログ

2023 年の事例から見る CCoE の活動と在り方

最新の事例から、CCoEの存在意義や目的は一定である一方で、各企業・組織が自身の経営戦略や方針に即した最適な CCoE の在り方を模索しています。
CCoE を組成し運営する上での基本的なテーマやタスクは共通していますが、それをカタチにするためのアプローチは様々です。

そこで、クラウド活用推進に必要な観点として、前述の「AWSクラウド導入フレームワーク(AWS CAF)」が挙げられます。

クラウド活用推進に必要な観点

事例から見えてくる、CCoEの在り方とは?

CCoEはテーマとタスクを、「統制」「PJ支援」「共通機能」「人材育成」「情報発信」の5つのカテゴリに分類して、それぞれ推進していきます。
これらのテーマとタスクの中から目標や解決したい課題に応じてアクションを実行していきますが、各企業・組織が最適なカタチを模索しながら、より最適な在り方を目指します。このような姿勢が2023年の事例から見られます。

クラウド活用推進におけるテーマとタスク(網羅版)

出典:2023 年の事例から見る CCoE の活動と在り方 (前編) | Amazon Web Services ブログ
出典:2023年の事例から見るCCoEの活動と在り方 (後編) | Amazon Web Services ブログ

おわりに

今回、AWSブログを紹介する形で筆を進めましたが、ご存じの通りAWSから多くの知見が公開されています。全てを把握するのは難しく、まだ出会うことができていない資料やブログが多くあります。ブログがあるのは知っているけれど、自身の理解まで落とし込めていないものもあるのではないでしょうか。そのようなAWSが発信している情報をAmbassadorとして1つでも多く共有していきたいと思います。

クラウド活用推進組織(CCoE:Cloud Centre of Excellence)の活動と在り方について、AWS公式ブログをもとに改めて要点を絞って見てみました。
2022年、2023年の事例から各企業・組織に最適なカタチを模索しながら、より最良な CCoE の在り方を目指していることが分かりました。AWS公式ブログの方にも各社の事例が掲載されていますので、何かヒントを得られるかもしれません。
各企業・組織の事例は参考となる一方で、他社で上手くいっている活動をそのまま自社に取り入れても上手く機能するとは限りません。会社によってビジネスも組織も異なるわけですから、自社の状況を踏まえて有効性を検討した上で、必要に応じてカスタマイズしなければいけません。自社の課題を起点に CCoE の活動を検討することが重要です。
また、組織横断で課題の洗い出しが必要となるため、多くの課題が出てきます。それらの課題に優先度と達成期限を設けて計画的に対応していくことも重要です。状況に応じて特定のタスク優先度が上がる場合もあるため、優先度を見直しながらの対応が必要となります。

NRIネットコムも CCoE を組成しながら、自社のノウハウをもとに様々なお客様の CCoE 組成を支援してきました。今回はAWS公式のブログをもとに CCoE について書いてみましたが、次回は公開できる範囲(公開されている範囲)で NRIネットコムの CCoE 活動についても書くことができればと考えながら筆を置きたいと思います。

「AWSアワード記念!夏のアドベントカレンダー」志水さんに続きます!!

参考ブログ一覧

今から始める CCoE、3 つの環境条件と 3 つの心構えとは | Amazon Web Services ブログ

CCoE 活動検討のはじめの一歩 | Amazon Web Services ブログ

2023 年の事例から見る CCoE の活動と在り方 (前編) | Amazon Web Services ブログ

2023年の事例から見るCCoEの活動と在り方 (後編) | Amazon Web Services ブログ

執筆者:丹勇人

X:htan02303749
LinkedIn:Hayato Tan

2024 Japan AWS Ambassador(Associate Ambassador)
2024 Japan AWS Top Engineer(Security)
AWS Organizations推しの AWS Community Builder(Security)since 2023
2022 APN AWS Top Engineer(Service)
・AWSアカウント管理サービス(技術サポート/請求代行)
・AWS組織アカウント管理支援
・AWS構築運用作業支援
等、AWSに関わる業務を行っています。
最近は、AWSアカウント管理サービスの営業を中心に行っています。

コーポレートサイト:https://www.nri-net.com/

ソリューションサイト:https://cloud.nri-net.com/