「2020年をめどに、ロボットで家庭の中の色々なタスクを実行するためのアプリを開発できる環境を他社にも提供したい」(Preferred Networks 代表取締役副社長の岡野原大輔氏)。AIベンチャーのPreferred Networks(PFN)は「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16~19日、幕張メッセ)の会場で、部屋に散らばった様々なものを片付けるロボットのデモを披露(同社の発表資料)。併せて開いた記者向けの質疑応答で、家庭向けのロボット事業に参入する意向を表明した。
同社が狙うのは、片付けに限らず、宅配便の受け取りや料理の下ごしらえなど、家庭の様々な雑用をこなすロボットの実現である。ソフトウエア開発基盤を他社にも提供するのは、多様な作業に対応するには多くの企業が協力する必要があると見るためだ。「家庭には非常に多くのタスクがあり、とても1社では実現できない」(岡野原氏)。
ロボットのハードウエアは、今回のデモで利用したトヨタ自動車製の生活支援ロボット「HSR(Human Support Robot)」に限らないという。「現在はオープンな立場で各社と話し合っている。我々もソフトウエアなどを実現する立場から、ハードウエアの開発に関わっていきたい」(岡野原氏)として、今後の提携などに含みを残した。
同社はこれまで自動運転車などの交通システム、産業用ロボットなどの製造業、がんの早期発見などバイオヘルスケアの3つの分野を重点事業領域として、主にB2B事業向けに深層学習の応用を進めてきた。
ただし、「(Consumer、消費者)向け事業をやらないと言っていたわけではない。B(ビジネス)向けの事業では、工場など決められた環境を前提にできるので、比較的早く実用化できる。家庭向けは、機能がかなり完成した状態でないと難しいので時間がかかる」(岡野原氏)とした。家庭用を含めたロボットが普及する時期については、CEATECの基調講演に登壇した同社代表取締役社長CEOの西川徹氏が「5年後とかそういった時間のスケールで、ありとあらゆるところにロボットが存在する世界を実現していきたい」と語った(関連記事)。