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あの夏から、4年。こめられた想いは? じん(自然の敵P) / “失想ワアド” #vocanote

f:id:tanpopo111:20171230164249p:plain  あなたは想いを口にすると消えてしまうと思いますか。それとも想いは口にすると強くなると思いますか。

 私は想いは口にする――何かしらの形で表現すると強くなると考えています。何かしらアウトプットすることで大切な想いは、残すことができると思います。

 さて、今回レビューする作品は自分の想いを上手く言えない自分の話です。じん(自然の敵P)さんのカゲロウプロジェクト新曲です。また、メカクシ団団長キドこと「木戸つぼみ」のイメージソングでもあります。


じん(自然の敵P) - 失想ワアド / JIN(SHIZEN NO TEKI P) - Never Lost Word

 曲のタイトルは、「失想ワアド」です。最初このタイトルを見たとき、悲しい曲なのかなーと思いました。想いを失う言葉だと捉えたからです。

 でも、聴いてみたところ違いました。失想ワアドは、想いを失わないように言葉を残そうという意味でした。

 また、この曲はキド(木戸つぼみ)さんが仲間の出会いによって、自分の想いを表現できるようになる曲でした。

 歌詞を順番に見ていきましょう。

“鏡の中から「おはよう、朝だね」

いつも通り 表情は最悪

ぎこちない笑顔も 寝癖も 仕草も

何もかも 嫌になるなぁ”

 鏡の中の自分をみて、自分のことが全部嫌いで嫌になっているキドさん。

“伝えたいことなら 人並みにあるけど

何一つも 言葉に 変わらない”

 伝えたいことはあるはずなのに、形にできないキドさん。

“俯き加減に 今日も口籠る”

 そんなキドさんに心無い言葉が刺さります。

“「挨拶もできないんだね かわいそう」”

 挨拶すらもできない、自分のダメさに、このままいなくなってしまえばいいのにと自分を責めてしまうのでした。

 一番でのキドさんは、挨拶さえもできない普通なことができないことに苦しんでいました。

“庭のハナミズキは綺麗で

ただ羨ましくて 見ていた”

 庭に自分らしく咲いてる花を眩しく感じながら、ああなれたらいいのにと思うのでした。

 心の中には、伝えたい想いのつぼみが確かにあるのに、上手く花開くことができない。そんな自分が嫌で嫌でしょうがないキドさんでした。

 二番を見ていきましょう。

“凛と咲いた声で 笑える人がいて

花のような言葉を 交わす”

 自分の想いを自由に楽しそうに話す言葉を花のようだと感じるキドさん。

“鏡の中から 途端に責める声

「・・・私にはできないんだよ ごめんね」”

 話したいと思うもう一人の自分が、キドさんを責め立てます。それに対して、静かに謝ることしかできないキドさん。

 楽しそうに話す様子は、眩しくてキドさんは羨ましくてただ見ているだけでした。その風景の邪魔にならないようにするためには、自分もその輪に入りたいという想いを消して、その場から消えてしまえばいい。

 でも、誰かと花のような言葉を交わしたいという想いは、失くせませんでした。

“溢れ出した 自分自身は

ひどく惨めで 汚くって

誰にも知られないようにって

部屋の隅で 泣いている”

 溢れ出した想いは思ったよりも惨めで、汚いものでした。でも、その想いを失くさなくて大丈夫といってもらえる仲間に出会えました。

“「失くさなくても 大丈夫」って

不意に声が 耳に届いた

魔法みたいな 響きに

なぜだか 言葉が見つからない”

 魔法みたいな言葉にとっさに言葉が浮かばないほど、想いが泣き声になって溢れ出します。今まで想いを押し込めてきたことにやっと気づいて、バカだよなーなんて思いながら。

 キドさんは自分の想いを受け止めてくれる仲間に出会い、変わっていきます。

“たどり着いたのは「未来」で

そう、色めくような世界で

大人になっていく私は

変わり続けていく

変わらない想いを

大事に 抱いていく

不思議なほどに この世界は

「思い出す」のが 難しくて

忘れたくない 言葉を

失くさないように 伝えて行く”

 キドさんは想いを伝えることができるようになっても、変わらない想いを大事に抱きながら生きていきます。忘れたくない言葉をなくさないように、伝えて行きます。

“いつか誰かと この世界で

笑い合えたら ちょうど良いなぁ

そんなことを 考える

未来に 理由が見つかりそう”

 自分のことが嫌いで消えてしまえばいいのにと思っていたキドさんは、誰かとの楽しい未来を想像できるようになりました。

“寝癖、直して 外に出よう 

今日もまた 一輪、映える

鏡の中 咲いた花に

「おはよう」を 返したら”

 自分のことも好きになれた、挨拶もできるようになったキドさん。 自分のことが嫌いで、挨拶もできなかったころに眺めていたハナミズキのようにつぼみから綺麗に花開くことができたのではないでしょうか。

 ちなみに動画に出てくる花は、ハナミズキで花言葉は「私の想いを受けて下さい」です。キドさんは小さいころなかなか想いを口に出せず、でも誰かに受け止めてほしいと思っていたのかもしれませんね。

 キドさんは普通のこと、自分の想いを口に出すことができない少女でした。でも、自分の想いを口に出すことってなかなか難しいことだと思います。特に思春期には。

 自分のことがどうしても嫌いでいいようのない気持ちを抱えたり、自分のことを上手く表現できなくてもやもやしたり。そんな時期を経て皆大人になっていくんだと思います。

 本作「失想ワアド」は、上手く言えない自分の話です。(動画投稿文コメントより)

 上手く言えない経験をしたことがある人には響くのではないでしょうか。

 また、作者のじん(自然の敵P)さんのこれからも作品を通して想いを伝えたい、残したいという気持ちを感じました。 

 今回歌っているのが、初音ミクだったのも初心に帰る気持ちが込められてるのかなーと思いました。

 カゲロウプロジェクトエンディングテーマ曲「サマータイムレコーズ」が投稿されてから、4年。あの夏は、終わってしまったと思っていました。

 本作「失想ワアド」は、あの夏の先にある春のような曲だなと思いました。じん(自然の敵P)さんのTwitterによると、カゲロウプロジェクトの新曲がこれからも投稿されるようです。

 またあの夏が巡ってくると思うと、懐かしい友達にまた会えるようで嬉しいです。

 さて、あの夏から、4年。こめられた想いは?と題しまして、「失想ワアド」のレビューを書きました。今日この瞬間久々に聴いたじん(自然の敵P)さんの曲の感想を、素直に書き連ねてきました。いかがでしたか。

 まさかカゲロウプロジェクトの新曲を2017年に聴けるととは思いませんでした。今年は久々にVOCALOID曲を投稿するPさんが多かった印象があります。初音ミク10周年らしい一年でした。

 来年の2018年はどんな作品に出会えるのか、今から楽しみです。

 おまけ♪

 この曲を聴いて、「想ってみた」を思い出しました。想ってみたとは、一言でいうとある作品に想いを巡らせることです。

 あなたはAという曲が好きだとします。ただ好き、それだけでもかまいません。でも、もう一歩踏み出して好きを考えてみましょう。具体的にどこが好きなのか、なぜ好きなのか考えてみましょう。

 好きをアウトプットする前段階。これが「想ってみた」です。その自分の好きをレビューや絵、聴くときのベストシチュエーソンを考えてみる――アウトプットするとより好きを深められるかも知れません。

 まずはTwitterで好きな曲をつぶやくのが気軽にできてオススメです。

 当ブログは、この「想ってみた」の延長で書きしたためていますし、Twitterでも同じスタンスで曲ツイートはしています。

 「想ってみた」のコンセプトは、“好きなものをもっと好きになろう”です。これは私自身のコンセプトでもあります。今年はまさかのDJデビューしましたが、これからも好きなものをもっと好きになるように来年も活動していけたらいいなと思います。

 長くなりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

tanpopo111.hatenadiary.com