(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

やらせビジネス規制をしすぎると、ビジネス自体が終わる罠

蛇足。

これの。
Web2.0的な評価サイトは、多数の利用者が前提。多くの人が投稿してくれるから、多くの情報が集まる。その中には良い情報にも悪い情報も集まるだろうけど、量が質の問題を駆逐するであろうと。そして自然に何が良くて、何が悪い情報であるかが選別されるであろうと。
でもって、現状の問題は、多くの投稿を集めるために投稿のハードルを下げた結果、利益誘導の意図がある投稿が可能になっていること。何の意図もない投稿を容易にした結果、意図のある投稿まで容易になっている。
これが「やらせ」を可能にしているわけだよね。「サクラ」はアカウントを大量につくれるから仕込める。アカウントをつくりにくいなら仕込めない。
しかしながら、「やらせ」予防のためにアカウントをつくりにくくしたら、評価サイトの肝である評価が集まりにくくなる。意図のある投稿を防ぐと、意図のない投稿も弾いてしまう。ここが面倒なところ。
例えば国民にIDが付与されていて(国民総背番号制みたいな)、投稿の際にそのIDへの紐付けが必要だとする。これだとひとり1アカウントだから、意図的な投稿の乱造はできないので、「やらせ」は防げる。が、「ID入力するのはちょっと」という忌避理由が発生するので、投稿自体が減る可能性がある。
では、TwitterやFacebookとの紐付けは? オープンIDは? という考え方もあるけど、これはもっと意図のない投稿者を減らす可能性があって、そもそもそうしたアカウントを持っていない人間を弾くし、意図がある人間にとってはなんの障害にもならない可能性が高い。業者にとっては紐付けするサービスの中で、最もアカウント作成が容易なサービスを経由するというだけのこと。
アカウントをつくりにくくしたり、ログインをしにくくしたり、投稿するのに資格とか手続きを必要にしたりする。これは「やらせ」対策に効く薬だが、劇薬のため、何の意図もない一般的な利用者の方により強く効いてしまう。がん細胞を減らすための薬なのだけど、健康な細胞の方により効いてしまうとなったら、その薬は意味あるの? と。「健康のためなら死んでもいい」ってネタがあるけど、「やらせ撲滅のためなら投稿が減ってもいい」じゃ困るよね。
「やらせ」が存在するのは、「やらせ」依頼者と実行者に利益があるからで、「やらせ」をやることにハードルがあっても、ハードルを越える手間以上の利益があるなら、やらせビジネスはなくならないし、本気でやらせビジネスをなくそうとすると、根本的にビジネスが成り立たない。
となると運用でどうにかするしかないんだよなあ。入口で制限をかけられない以上、中に入って来てからが勝負。とりあえずみんなウェルカムで全員受け入れつつ、好ましからざるものを如何に目立たなくするかと。

ニコニコ動画のNG共有機能なんかはよくできているよねえ。
まあでもサイト運営側に信用があるなら、その「好ましからざるものを目立たなくする」基準、方法論は秘密にしておいたほうがいい。公開してしまうと、そのギリギリを狙われてしまうし、抜け道を突かれてしまう。
問題は信用のないサイトだなあ。選管に信用のない選挙のようなもので。このあたりは日頃の行いなわけだけれど。
なんとも世知辛い結論になったところで、おしまい。