プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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セブンイレブンと日本郵便が「日本最大のブラック企業」扱いされる時代-では海外はどうなのか?

 セブンイレブンと郵便局(日本郵便)。
 この「日本を代表する企業」とも言える2社が、まさか「日本を代表するようなブラック企業」と世間に認識されるようになるなんて、20世紀末の時点で想像した人は少ないだろう。
 ここ数年この2社は、(少なくとも労務面では)日本で最も評判を落とした企業の2大巨頭と言っても過言ではあるまい。

 セブンイレブンの悪評は、一言で言えば「協力店(のオーナー)への圧政」ぶりに由来する。
 日本郵便の悪評は、一言で言えば「自爆(自腹)営業に象徴される、あからさまなノルマ制」に由来する。

 もちろんオーナーへの圧政やノルマ制はこの2社に限った問題ではないはずだが、この2社が突出して目立つのである。
 あまりにもしばしば、ネットニュースでこの2社に関する記事をよく見かけるのである。
 こういう言い方は何だが、セブンイレブン以外の大手コンビニチェーンは、これのおかげでずいぶん「漁夫の利」を得ていると思う。
 本当にそうなのかは別として、「悪の帝国」みたいな印象になってしまったセブンイレブンより、相対的にホワイトに見えるのだ。
 いまやセブンイレブンは(売っている商品そのものは好評なのに)、その経営形態は「オーナーからの搾取システム」みたいな捉え方を世間からされている。
(あなたも、そういうイメージを持っているのでは?)

 日本郵便はと言えば、入社したら「自爆営業で自分で何枚も年賀状を買わされる」というイメージができてしまっている。
 これが2社に甚大な悪影響をもたらすのは言うまでもなく、情報に敏感な(情報収集に熱心な)学生ほど、そんな会社は受けようとはしないだろう。
 逆に言うとそれでもこの2社を受けに来る学生は、いささか情報感度の低い者ばかり――
 これも本当にそうなのかは別として、世間からそんな見方をされ始めることこそ大ダメージに該当する。

 いや、問題はこの2社にとどまる話ではない。
 もしかしたら今の若い人は、そんなことは当然の如く心得ていて――つまり、搾取システムや自爆営業が行われているのはありふれたことだと思っていて――、
 それこそ「やりたくもないのに、仕方なく」どこかの会社へ就職している、というのが実情ではあるまいか。
 そうだとしたら、近年の日本人労働者の労働意欲は世界最低水準だとかいう数多くの調査結果も、あまりにも当然の結果である。
 
 思うに、今こそ日本は海外から学ぶべきなのかもしれない。
 海外の会社だってノルマはあるはずだし、自爆営業が全くないとも思えない。
 しかし日本ほど、そういうことが問題になりニュースになっているという印象はない。
 
 そうだとすると、なぜそういう国々は日本人より仕事に熱心で、かつ経済発展していられるというのだろうか。
 それともそういうのはやはり幻想で、海外にも(我々の耳に届かないだけで)セブンイレブンも日本郵便も足元にも及ばないほどブラックな職場が、たくさんあるのだろうか。
 「海外の労働情勢の調査・研究」というのは、日本にとってとても重要かつ緊急に必要なミッションではないか、と思う次第である。