もし阿部顕嵐がジャニーズとしてデビューしていたら

 

これはあの頃のジャニーズJr.を通った人なら、誰しも一度は考えたことではなかろうか。想像し得る平成ジャニーズ顔の理想形、とにもかくにも顔がいい。ジャニーズは顔がすべてだし、ジャニオタは結局山田涼介佐藤勝利阿部顕嵐の顔が好きなのだから(過言)
もし阿部顕嵐が、ジャニーズ事務所のアイドルとしてデビューしていたら、今頃どうなっていんだろう。キラキラジャニーズ恋愛映画の主演をしてティーンを沸かせたかと思えば、実力派のドラマで注目されたりしたのかな。バラエティーで天然なところを面白おかしく料理してもらって、お茶の間ファンを獲得したのかな。やっぱり顔がハチャメチャいいから、歌番組に出るたびに「あの金髪の人誰!?」とか言われたんだろうな。それこそ平野紫耀みたいになって、平野紫耀か阿部顕嵐かみたいな時代もあったかもしれない。まあ平野紫耀はとっくにジャニーズじゃないし、ジャニーズ事務所も存在しないんだけど。

阿部顕嵐が、2025年5月31日をもって7ORDERを卒業することになった。
正直いつかこうなるとわかってはいて、その"いつか"が想定より少し早かったなぁという感覚だ。今年の5月から俳優活動に専念し、グループに籍を置いてはいても開店休業状態で、実質脱退しているようなものだった。たまのファンミやインライに出演していたのは、寧ろよく調整していた方だと思う。
もちろん寂しいし落ち込んではいるけど、でも彼の決断を肯定したい気持ちが大きい。

Sexy Zone/timeleszのオタクをしている私にとって、2024年はメンバーの脱退や"残された側"の在り方について、常に考え続けた1年だった。事務所の方針やメンバーの活動休止、卒業等により5人で活動する期間が極端に少なかったSexy Zoneは、だからこそ5人であることにこだわっていた。オーディションの発起人である菊池風磨が密かに新メンバー加入を考え始めたのは、中島健人の脱退ではなくマリウス葉の卒業が契機だったし、佐藤勝利も「オーディションがなければ解散していた」とハッキリ語っている。きっとオタクが考えるよりずっと、"5人"が彼らのすべてだった。
阿部顕嵐にとってもそうだったんだろう。真実が明るみになることはないけれど、何らかの理由でLove-tuneの活動が難しくなって、7人全員で退所することになり、何の後ろ楯もなくゼロから7ORDERを始めた。グループ名に数字やイニシャルを入れてはいけないなんて、事務所の諸先輩方を見ていれば火を見るより明らかなのに、"7ORDER"という名前を付けたのは、他ならぬ阿部顕嵐だ。
「僕の中では7人が全てという事実は変わらず、自分をぶれさせることはできませんでした」という言葉は過不足なくありのままで、それでも6人の7ORDERを模索したこの1年半は阿部顕嵐の愛であり情だと、私は思う。
突然脱退や卒業を言い渡され、実はあのときが最後だった、と楽しかった思い出が塗り潰されたり、「せめてさよならを言わせてくれよ」と嘆くこともままある中で、半年の猶予期間と6人との別れの場を用意するつもりなのは、優しさ以外の何物でもないだろう。
私はオタクよりも誰よりも彼が7人に拘っていたことを心から嬉しく感じるし、その嬉しい気持ちの分だけ悲しくて、切ない。

私の中にあるジャニオタの自我は"グループ"という概念に並々ならぬ執着心を持っていて、それゆえにグループを離れる選択をした人に、どうしても許容できない感情が心の片隅にあり、どこか冷めた目で見てしまう。それは阿部顕嵐に対しても変わらなかった。
ただその考えは、舞台blue egoistを通して見事に覆えされる。ジャニーズの血があまりにも濃く流れていたブルエゴという作品に魅せられたとか、やっぱり顔がいいだとか、理由はいくらでも並べ立てられるけど、いちばんは覚悟と信念を見せつけられたからだ。
結局何がやりたかったの? それは本当にグループではできないことだった? なんて言いたくなる人が少なくない世界で、やろうとしていること、やりたいことが合致して一貫している人は本当にかっこいい。
自身のファンが"アイドル阿部顕嵐"を好きだと自覚した上で、俳優活動に専念するときに言っていたことは虚栄でも詭弁でもなく、本気で俳優として売れるために人生を懸けている。あの阿部顕嵐がダサいことをしてくれるなよ、なんて安全地帯から文句を言うだけの気楽なオタクに、ダサいどころか死ぬほどかっこいい姿を提示されてしまっては、彼の生き様を肯定する以外の選択はない。少なくとも、timeleszのやろうとしていること、やっていることを心底愛して楽しんでいる私には。

オタクというのはいつまでも意味のないタラレバを考えてしまう生き物だから、これからも言い続けるんだろう。ジャニーズ事務所がジャニーズ事務所じゃなくなって、セクボは宮近海人以外退所して、セクボどころかSexy Zoneもこの世になくて、それでも「もし阿部顕嵐がジャニーズとしてデビューしていたら」って。そんな想像した未来なんて目じゃないくらいビッグに売れたら、痺れるくらいかっこいいね。


この気持ちを2024年に置いて行く。2025年が素敵な年であることを祈って。