天然ガス不足のドイツ、太陽光発電の設置が急増
ドイツ・ドルトムント(CNN Business) 天然ガス危機でエネルギー価格が記録的な水準となっている欧州で、人々は自宅や会社へのソーラーパネル設置に奔走している。
ドイツソーラー協会がCNN Businessに提供したデータによると、今年1〜6月にドイツでは太陽光発電システムの設置が前年同期比22%増となった。ここには住宅の屋根に設置する小規模なものから大規模な太陽光発電所まで、住宅用と商業用が含まれる。
再生可能エネルギー産業の企業にとって大きな販売ラッシュとなり、これによりサプライチェーン(供給網)に負荷がかかっている。
欧州最大の経済国であるドイツではエネルギー価格の高騰、優遇措置の導入、太陽光発電技術の浸透により、太陽光発電に対する需要はすでに高まっていた。しかしこのところ消費者はかつてなく高い光熱費と高温に直面し、来たる冬に暖房を利用し続けられるかどうかという不安も再燃している。
半年前のウクライナ侵攻以来、ロシアはドイツをはじめ欧州連合(EU)諸国へのガス供給量を大幅に減らしている。ロシアは先週、今月末にパイプライン「ノルドストリーム1」を予定外のメンテナンスで一時停止すると発表し、天然ガスのスポット価格は過去最高を更新した。
多くの家庭にとって最大の不安は、ロシアが今冬、天然ガスの供給を完全停止することだ。ドイツ政府はすでに危機管理計画を打ち出しており、そうなれば企業向けに配給制が導入される可能性もある。
ドイツソーラー協会のマネジングディレクター、ダーヴィト・ウェデポール氏は「ウクライナでの戦争がすぐ近くで起きているため、需要は大きくなる一方だ。人々はかなり気にしている」と述べた。
ドイツ当局はエネルギー危機に対応するため、消費者に節電を呼びかけている。一部の自治体ではすでに照明やシャワー、暖房といった基本的な需要を抑制している。