The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

ファミリーの集結・散会・再集結! ワイルド・スピード ICE BREAK

 例によってお久しぶりでございます。まあこの間新作はほとんど観ず、ルーク・エヴァンスカート・ラッセルヴィン・ディーゼルの3人のうち誰かがで出てる作品しか観ていない、観る気がしない状態だったので仕方がないですね。ちょっとここ最近真面目な映画を見る気力が減退してて、ただただ楽しい映画にうつつを抜かしていたのです。
 というわけで、ルーク・エヴァンスカート・ラッセルヴィン・ディーゼルの3人が3人共出演している「ワイルド・スピード ICE BREAK」を観賞。

物語

 キューバでハネムーンを過ごすドムとレティ。そこへ謎の美女が現れ、ドムを自分の部下へ誘う。一方、ホブスは電磁パルス砲(EMP)がドイツの反体制派に奪われたため、それを取り返す任務を与えられ、ドムたちをを招集する。作戦は成功し、簡単に任務を終えたと思った矢先、ドムが突然裏切りEMPを略奪、ホブスも現地警察に捕まってしまう。
 刑務所に収監されるホブスにミスター・ノーバディが現れ取引を持ちかけられるがホブスはこれを拒否。地力で出ることを誓う。ホブスの独房の前にはかつての敵デッカード・ショウがいた。ホブスの独房の扉が開き、混乱に生じてショウが脱獄、ホブスもこれを追うが全てはノーバディの仕組んだことだった。
 ドムを裏切らせたのは国際的ハッカーであるサイファー。かつてデッカードの弟オーウェンにナイトシェードの奪取を命じて、そして見捨てた女でもある。ノーバディはドムのファミリーとホブス、そして自分の部下であるリトル・ノーバディを加えさらに宿敵であったはずのデッカードも加えたチームでドムとサイファーを追う。ゴッドアイを使いドムの居場所を探るとそこは今いる基地。直後、ドムとサイファーが襲撃を加えゴッドアイを略奪。果たしてサイファーの目的は?そしてなぜドムはファミリーを裏切って彼女に従っているのか?

 前作の記事はこちら。

 前作の時点ではシリーズをほぼ見ていない状態で挑み、結果として凄え楽しかった!という感じだったのだけど、今回はちゃんとシリーズ全部見てから行きましたよ。で、過去にTVでやっていた時にながら見、していた事もあって、見ていたもの、見ていなかったものあったのだけど、結果として全部面白かったです。一応、最初の3作と後半の4作ぐらいの感じで分けられて、劇場公開時にもエンドクレジットの後の次作への含み映像はあったそうなので、もう4作目の「ワイルド・スピードMAX」から「SKY MISSION」までは連作と言っていいのだろう。
 前作の感想で、「SKY MISSION」でシリーズ最後、みたいなことを書いていたけれど、これが何か映画の記事を読んだのか、それとも作品の終わり方を持って勝手に自分でそう判断したのか、ちょっと思い出せないのだけど、元々シリーズは続く予定で、でも主演のポール・ウォーカーの不慮の死亡事故で、制作するかどうか一時停止状態だった、というのが真相らしい。結果としてポール・ウォーカーの意思を存続させる、ということもあってシリーズは続行。この「ICE BREAK」と始めとして新たに9、10作目を制作し、全10作で完結させる予定らしい。本作もこれまでの集大成であるとともに、続編への含みを残します。
 で、これまでシリーズを見てきた人には常識なんだろうけど、にわかファンとして、一応シリーズの時系列を整理しておきたい。というのも前作「SKY MISSION」はシリーズ初見の僕が観ても、特に困ること無く見れたが、逆に本作はある程度シリーズを俯瞰しておかないと理解が難しいところがあるからだ(もちろん観てなくても楽しめるとは思うけど物語、キャラクターの設定的に理解不足が起きると思う)。
 シリーズは順番に1から8まであるが(間に短編もあるようだが未見)、1→2→4→5→6→3→7→8(本作)という形で4〜6でファミリーとして活躍したハンが6で恋人(ガル・ガドット=ワンダーウーマン!)を失った後、東京に行き、そこでの物語がシリーズ外伝的な扱いの「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」。そして3本編中で事故死するが実はこれが事故ではなく弟の敵を討とうとするデッカード・ショウの仕業であったことが6のエンディング、7の冒頭などで明かされる。ちなみにハン(サン・カン)、シリーズ中で一番格好いいキャラクターだと思う。3のラストで主人公ショーンにドムが会うがこのシーンの続きも7の中に挿入されている。
 ドウェイン・ジョンソン(ロック様)の演じる外交保安部のホブスが出てくるのは5作目「MEGA MAX」で、今回重要な役割を果たすエレナもここで登場。前作ではカート・ラッセルミスター・ノーバディと凄腕ハッカーラムジーも加わり今回に続く。なおポール・ウォーカーのブライアンとその妻でドムの妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)は劇中では引退したということで名前は出てくるけれど、決してその平穏を壊してはいけない、ということで仕事には呼ばれない。劇中では亡くなってはいないけれど、演出的にはポールに捧げるような感じ感傷的な感じになっているし、シリーズが続くなら出てこないのは不自然なので死亡したことにしないときつそうではある。

 さて、本作は邦題が「ICE BREAK」となっていて(原題は「The Fate of the Furious」と「Fast & Furious 8」の二種類あるようだが、本編で出てきたのは「Fast & Furious 8」の方)、これは後半のシベリアの氷原を舞台にしたシーンからとられている。ただ作品自体は常夏のキューバから始まり、ベルリン、ニューヨーク、と世界を股に掛ける物語である。ただその全てに自動車が深く関わっているのが本シリーズの特徴。今回も氷の上をスーパーカーが走ったりする非現実的なヴィジョンの他にも様々な自動車が活躍します。
 主人公ドムはヴィン・ディーゼル。今年は「トリプルX:再起動」の他に「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー:リミックス」もあり、本作含めいずれも血のつながりだけではない絆によって結ばれた擬似家族「ファミリー」もの、ってあたりヴィン・ディーゼルの天性のキャラクター性を感じさせる。本作では更に、わけあってファミリーを裏切ることで、リディック(「リディック」シリーズ)のような冷徹な凄腕の姿も垣間見せることでヴィン・ディーゼルの集大成ともなっているような気もする。公の法よりも自分ルールを優先し、しかしそれを厳格に守る、という意味でも、ザンダー、リディック、ドム(そしてグルート)は共通するものがあるしね。
 本作でドムがファミリー裏切る理由は、もうひとつのファミリー、エレナとその息子のため。この辺、シリーズを見ていないと分かりづらくて、エレナは「MEGA MAX」で初登場し、その時はホブスの部下だったが、ドムと付き合うようになる。ところが「MAX」で死んだと思われたドムの恋人レティが生きていたことが判明する(EURO MISSION)と自ら身を引く。「SKY MISSION」では再びホブズの部下として活躍したが、この時にはドムの子供を出産していたことに。そして今回息子と共にサイファーに拉致され、ドムを操るための人質とされる。ちなみに初登場時は武井咲の声でした。
 ロック様ことドウェイン・ジョンソン演じるホブスもシリーズを重ねるごとに主役に近い活躍を見せるようになっていくが、今回はそのセリフ回しから、過去に出演したどの作品よりも一番WWEのリングあるいはバックステージでのロック様に近い印象。最初の娘のサッカーチームのコーチの時から捕まってのデッカードとのやりとりとかほぼロック様って感じだった。ロック様はサモア系とアフリカ系のハーフだが、ホブスは娘のサッカーチームに試合前にハカをやらせているところをみるとマオリ系という設定なのかな。ちなみに左腕のサモア伝統の刺青はもちろん、右腕の眉を上げたブラマ・ブル(聖なる牡牛)の刺青もそのまま消すことなく(作品によっては当然消されることも多い)活躍。製作中にはヴィン・ディーゼルとの不仲も語られたりしたし、実際はどうなのか分からないが、少なくとも劇中そんな素振りは感じられず。あれかな、ドムが裏切ってホブスに冷たい視線を浴びせるシーンがあったりするのでその辺の役の関係性が誤解を生んだのかな、と良いように解釈したい。
 美人ハッカーラムジーをめぐる恋のライバルでもあるローマンとテズのやりとりも毎回楽しい。ローマンは毎回、「あれ?こいつムードメイカー以上の役にたってる?」って思ったりもするんだけど彼がいるといないとで作品の雰囲気もずいぶん変わるよね。ん?やっぱりムードメイカーか?とはいえ今回は囮になったり氷のしたの水に沈んだり活躍します。
 退場するメンバーも居る一方で毎回新しくファミリーに加わるキャラクターも。前回はハッカーラムジーが加わり、ファミリーという感じではないが謎の人物ミスター・ノーバディが登場した。今回はなんとデッカードがそこに加わる。一応ハンを殺した張本人なので、ドムたちにとっては不倶戴天の敵であるはずだが、弟のオーウェン・ショウと違って組織を組んで戦った感じでもないためか、どこかカラッとした関係ではあった。今回は復活したオーウェンの他に二人の母親も登場し、擬似ではない本当のファミリーとしての絆も見せる。ルーク・エヴァンスオーウェンはクライマックスで登場し、デッカードとともにサイファーの移動基地でもある飛行機を制圧するが、そこでの登場のみ。さすがに「EURO MISSION」観るとデッカードと違って犯罪組織の長としてレティ他に酷いことしているからちょっと顔をだすのは辛いかな。
 そして二人の母親がヘレン・ミレンで、もう出てくるだけでこの母親にして息子あり、という説得力。どうやら裏社会(登場したのはNYだがイギリスの裏社会?)の実力者でもあるようで犯罪一家の肝っ玉母ちゃんである。スピンオフとしてこの家族の物語も観たい!もうなんとなく二人の父親も妄想してしまう。候補は二人いて、一人はアンソニー・ホプキンスでこの場合、英国政府の大物。もう一人はブライアン・コックス。こっちの場合はともに別の犯罪組織のボスで今も昔も敵だったっリ味方だったり、みたいな。
 
 カート・ラッセルが出てる映画に外れなし!というわけで本作にも出ているカート・ラッセルミスター・ノーバディ。彼自身は前作で少しあったアクションも今回は無く、代わりに加わるのが彼の部下であるリトル・ノーバディ。このリトル・ノーバディってのはローマン(タイリース・ギブスン)がバカにした言い方が定着役名になったもので正式な本名は不明だが、やる気も能力もあるがまだまだ青二才である、ッて感じ。ポール・ウォーカーが退場して、ファミリーにほぼ白人がいない状態で若い白人担当といったところだろうか。ローマンと口喧嘩シーンが多いのもポール=ブライアンの代理ぽくもある。演じているのはスコット・イーストウッドで名前で分かる通りクリント・イーストウッドの息子。ちょっとした表情は父親によく似た精悍さだが、どこかお坊ちゃんっぽい甘さが見えるのも2世ならではか。クリント・イーストウッドの息子をカート・ラッセルが鍛えているってのも愉快な構図で映画という虚構を越えた面白さ。アクションもしっかりこなした上、ローマンとの漫才ではコメディ演技も魅せてくれたのでシリーズ次作でも活躍するだろうし、他の映画でも今回のリトル・ノーバディ役が活きるだろう。
 今回の敵はシャーリーズ・セロンサイファー。一応5以降の敵の黒幕だったということになっている。彼女自身はアクションはしないが、本作でも生き残り次作でもまた出てくるろうことが示唆される。「ワイルド・スピード」といえば自動車、そしてシャーリーズ・セロンといえば「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」。ウォータンクを運転していたフュリオサである。なので今回は黒幕にとどまって彼女が運転する、アクションするシーンが無かったのは残念。その辺は次への楽しみとしていこう。

 アクションとしてはもうシリーズ最初の頃のカーアクション、という趣とは完全に別物で潜水艦に追われたり、NYではゾンビカー(運転手のいない、あるいは運転手の意思と関係なく自動車がサイファーのハッキングで勝手に文字通り「自動車」となり役目を果たす)とかほぼSFなんだけどあんまり作品の雰囲気と離れていないというか、一応このシリーズSFではなく現代アクションに分類されるけど、マイケル・ベイ版の「トランスフォーマー」とか「TMNT」とかあるいはスティーブン・ソマーズの「G.I.ジョー」とかとクロスオーバーさせても違和感がない感じはしますな。
 他にも冒頭キューバでやりあった相手が密かにドムの手助けしたり、6、7では出てこなかったテゴとリコがちょっとだけ出てきたり、キャスト的にも集大成。最初のほうでも書いたけれど、今回はシリーズを見てから観たほうが良いと思う。ミシェル・ロドリゲスが冒頭でドムとの子供を欲しがるが、ラストでは新たにドムの子供をレティに紹介し、新たなファミリー(その席にはホブス親子やミスター&リトル・ノーバディ、デッカードもいる)と食事をするいつものラストシーン。息子に付けられたファーストネームは「ブライアン」(エレナが付けたミドルネームはマルコス)。

 今回はエンドクレジット後などに直接続編に続くオマケ映像はなし。ただ9,10作目の製作はもうアナウンスされているようだし、先述した通り、黒幕サイファーは逃げおおせた。「X3 TOKYO DRIFT」の主人公ショーン(ルーカス・ブラック)なんかもファミリーに加わるはず。より一層のパワーアップした活躍をきたいしたい。
FAST & FURIOUS 8: THE ALBUM

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