2024年振り返りと良かった音楽

 おばんです。2023年の夏に博士号を取得してから今の今まで何をやっていたのかはわからないがどたばたしていた。2023年の話から始めてしまうが、そこから博士論文を切り出して投稿論文にし、少ないながらも存在する公募戦線が始まる。2024年になり、そこで投げていた2本の論文はめでたく受理され、どちらも奨励賞をもらえることになり、私は論文バウンティハンターとして小銭を稼ぐぞと一瞬息巻いていた。公募では一般的には非常勤歴などの職歴がついていることが望ましいが、ところでよく知られているように非常勤を始めるためには非常勤歴を必要とするなんていう初見殺しの慣習も存在し、最初の非常勤はもっぱら人づての紹介ということになる。2024年の前期には知人から紹介してもらえる予定だったが、大元からその非常勤職は非常勤歴が必要で…ということで初見殺しに遭遇し、滑り出しに盛大に失敗した。あまり外に出歩くこともないし、人に会うこともないが、会ったら非常勤を探しているということを伝えまわっていたら、後期には無事に一つありつけることとなった。今年の前期には新たに2コマあり、授業準備をまだしておらず、今から震えている。公募のほうは一度面接に呼ばれることもあったものの、双方のずれを確認したにとどまり、当然落ちることとなった。こんな状況でもこの状況に慣れきってしまっているせいか、吞気にしていることもあり、それは郊外といえども都内実家暮らしという点に尽きるだろう。しかし、はやく金のある暮らしをしてみたいともずっと思っている。

 博士論文では、ウィリアム・コノリーというアメリカの政治理論家が論じる絡み合ったヒューマニズムを書いた。コノリーのことはもう飽きたし、さりとて、新しいこととして何をやろうかなと考えていたところ、せっかく今までやっていたことすべてを投げ捨てるのはもったいないということで、新しい物質主義について国内でほぼやっている人いないし、継続的にやろうと思い、調べ続けている。この潮流では、理論そのものだけを精緻化させ続けるというより、現実の問題や出来事、対象を取り上げて、それを理論にフィードバックさせるという方法がメインで、それは極めて多種多様ではあるものの、リュス・イリガライがエレメントと呼んだようなもの、例えば、土、大気、水、植物なんてものを特徴的な要素として挙げることができる。このなかでも、水、特に海は一番面白そうかなと思い、調べている。この研究は、新しい物質主義におけるフェミニズムや環境人文学と関連して、HydrofeminismやBlue Humanitiesと呼ばれる新興のジャンルとなっており、一年ほどかけてなんとなく網羅し、先日、前所属先のゼミでまとめ報告をすることができた。あとはリサーチクエスチョンを仕立て上げ、国内にこの関連で投稿できるジャーナルが存在しないため、国外に投稿出来たら一番良い。今年はあとは博論単著化がスムーズにいくように、そして新しい授業を終えられるように努めるのみである。

 さて、良かった音楽を列挙していく。先日、ディスクユニオンのラテンブラジルベストが掲載されているのを見たが、それを参照していただいたほうが早く、年末ベストにオリジナリティなんて必要はないのかもしれないが、特にびっくりするものを入れられているとは思えない。シングル、アルバム関係なく、良かったものを挙げていく。

 

・Adam Ratner/Stars in Mind

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 Adam Ratnerは今年アルバムをリリースしていたが、そちらはあまり響くことはなく、こちらは良かった。ざっくりMPBの音というものは存在すると思うのだが、これってどう作っているのかいつも不思議に思う。

 

・Bruno Berle/No Reino Dos Afetos 2

No Reino Dos Afetos 2

No Reino Dos Afetos 2

  • Bruno Berle
  • MPB
  • Â¥1681

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 こちらは多くの人が挙げているものであり、私が特筆すべきことはないが、心地よい。

 

・Carolina Donati/Me Fui De La Fiesta

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 前回のアルバムも好きで、と確認したらそれは3年前だったことに驚いた。

 

・Dora Morelenbaum

Pique

Pique

  • DORA MORELENBAUM
  • MPB
  • Â¥1681

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 こちらももう特筆すべきこともないでしょう。Bala Desejoのメンバーであり、2021年のシングルの良さから待っていたアルバム。

 

・Fin del Mundo/Hicimos Crecer un Bosque

Hicimos Crecer un Bosque

Hicimos Crecer un Bosque

  • Fin del Mundo
  • ロック
  • Â¥1681

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 最初のEPがとても良く、それから気にし続けているが、今作も良い。

 

・Gabriel Bruce/Lugar Longe de Tudo

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 ほとんどAntonio Loureiroとの共作といってよい。

 

・dry as dust/Existence

Existence - Single

Existence - Single

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 2024年にリマスター作品が配信されたものなので特別枠といえるが、手に入れられなかったものを聞けてよかった。dry as dustはなんだか好きで半年に一度くらい聞き返す期間がある。

 

・julie/my anti-aircraft friend

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 そう、私は男女ツインボーカルに弱い。

 

・Lau Ro/Cabana

Cabana

Cabana

  • Lau Ro
  • MPB
  • Â¥1681

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 こちらも多くの人が挙げており、説明不要。

 

・Magali Datzira/La salut i la bellesa

La salut i la bellesa

La salut i la bellesa

  • Magalí Datzira
  • ヴォーカル・ジャズ
  • Â¥1528

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 ビートが気持ちよく、非常にリラックスして聞いていられる。

 

・Mint Field/Aprender a Sr: Extended

Aprender a Ser: Extended

Aprender a Ser: Extended

  • Mint Field
  • インディー・ロック
  • Â¥1069

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 残暑とも思えない暑さのなかよく聞いていた。

 

・MONDEN MASAAKI/Pure

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 最初聞いた時はあまりピンとこなかったものの、バーガーのライブを見てから聞き返したらとてもしっくりきた。「俺は独りで違うゲームをしてる。 純粋で、孤高で、無敵で居られるか。ってゲーム。」という謳い文句が素晴らしい。

 

・Paira/EP01

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 打ち込みドラムンベースをぎりぎり押さえつけてる感じで阿呆でかっこいい。

 

・Peel Dream Magazine/Rose Main Reading Room

Rose Main Reading Room

Rose Main Reading Room

  • Peel Dream Magazine
  • ポップ
  • Â¥1833

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 ほとんどステレオラブといってよいのだが、ステレオラブが好きなのでつい。

 

・PLUMA/Nao Leve a Mal

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 非常に楽に聞いていられ、それでいてダンサブルなのだが、時折ずらしてくるドラムが心地よい。

 

・Saturno Express/idwbwu

idwbwu - Single

idwbwu - Single

  • Saturno Express, Breno Ferrari & Mariah Rodrigues
  • インディ・ポップ
  • Â¥306

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 まだシングルしかリリースしておらず、アルバムリリースがいつになるかはわからないが、楽しみにしている。Breno FerrariとMariah Rodoriguesは他にも参加しているが、どちらも好きなアーティストとなった。

 

・shower curtain/Words From a Wishing Well

Words From a Wishing Well

Words From a Wishing Well

  • shower curtain
  • ロック
  • Â¥1528

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 シューゲイザーとまではいかないけども、コーラスと歪みでがんがんいくみたいなやつに結局弱い。

 

・Sitio Rosa/Sitio Rosa

Sítio Rosa

Sítio Rosa

  • Sítio Rosa, ジェニフェル・ソウザ & Bernardo Bauer
  • MPB
  • Â¥1681

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 これも特に言うことはないが、ジェニフェル・ソウザが好き。

 

・tubby tabby/うつりかわり

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 悪い言い方になってしまうが、すごく凝った楽曲ではないものの、懐古的に良いと思ってしまう系のやつ。

 

・Umisaya/a seaside mixtape

a seaside mixtape

a seaside mixtape

  • Umisaya
  • ロック
  • Â¥1833

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 英語の会話のinterludeのようなものが入るのは若干鼻につくなと思ってしまうが、それを補って余りあるほどの、勢いがある。

 

・youra & Mandong/The lion that became cheese

The lion that became cheese - Single

The lion that became cheese - Single

  • youra & Mandong
  • R&B/ソウル
  • Â¥306

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 youraは去年リリースしていたアルバムがとにかく良く、今年はシングルのみとなったがこちらも良い。ピープルの波多野氏がラジオで紹介をしていた。

 

・СОЮЗ/II

II (Remastered)

II (Remastered)

  • СОЮЗ
  • ジャズ
  • Â¥1528

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 リマスター版なので特別枠ではあるが、このアーティストを知っていたもののこれはここまで聞いていなかったこともあり、リマスターをきっかけに聞いて、良さを再確認。

 

・양반들/Hymn from the Dragon Lake

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 夏に聞いていてものすごく気持ちよかった記憶。

 

・新しい部屋/野良の花壇

野良の花壇

野良の花壇

  • 新しい部屋
  • J-Pop
  • Â¥1375

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 なんて言ったらいいかわからないけど、身体に馴染み、繰り返し聞いてしまっていた。

 

・黒岩あすか/怪物

Kaibutsu

Kaibutsu

  • 黒岩あすか
  • J-Pop
  • Â¥1428

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 こちらもそう。

 

・田中ヤコブ/ただようだけ

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 サイドAの一曲目である「ぬけがらの海」を聞いた瞬間に、完全に忘れていた中村一義の金字塔とか魂の本を最初に聞いたころに抱いていたような感覚がよみがえりびっくりした。家主と田中ヤコブが入れ替わりで毎年どちらか出してくれて本当にありがとう。多くの曲があらかじめyoutubeにアップロードされていたが、「暇ゆえに」が好き。

 

・酩酊麻痺/光

Hikari - EP

Hikari - EP

  • 酩酊麻痺
  • ロック
  • Â¥1222

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 曲名をたいして見ないせいで今気づいたが、海にまつわる曲がある。

 

 以上。

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