おまえなんか、訳してやる!

どんどん一言で 訳していくサイトです。 今567語くらい。

ゆとり世代の上の世代の呼び方を考える

追記:ネタりかやYahoo!ニュースのトピックスで紹介されて大きな反響をいただきました。

話題を広めていただいたネタりかの記事に一応指摘をしておきますと、

世の中の事象や現象を一言で訳してしまおうというサイト
一言で訳し*1、そうでない雑文も載せるサイトです。今回の命名は明らかに訳ではないけれど、サイトに一貫性がなくて紹介をまとめにくかったんでしょうね。
今回訳されたのは「1982〜87年生まれの世代」を表す言葉。
私が書いたのは「1980年代初頭(82年)〜86年生まれの世代」です。最後の方で87年を外す記述があります。86年度生まれのことなので、87年3月以前の人は含まれます。


ちょっと前はてなダイアリーで、若者に対して「頭が悪い」と侮蔑する言葉としての「ゆとり(世代)」が話題になったんですよ。

この問題は「ある世代だからといって人にレッテルを貼ってよいのか?」「下の世代を嘲笑して優越感にひたる行為は恥ずかしくないのか?」「ゆとり世代は本当に頭が悪いのか?」「頭が悪いとはなにか?」といった議題を含んでいると思いますが、ここでは全体にはふれません。言う人言われる人、どちらの気持ちもなんとなく分かります。

でもまあ、ちょっと前の世代の若者も「キレる17才」なんつって、世代的に「キレる傾向がある」ように言われちゃうものなんですよね。レッテルがお気に召さない方もいらっしゃるでしょうが、世代的なレッテルは他の世代同士がざっくり理解しあうのに役立ちますし、ある程度しかたありません。

また「ゆとり世代」という言葉のニュアンスは、まだまだ変化すると思います。「しらけ世代」みたいに最初から負のイメージが強い言葉ならやがて使われなくなってしまうでしょうが、「ゆとり世代」は語感から来る元々のイメージが良いのでもっと使われ続ける気がします。そして色々な人物が登場するうちに「良くも悪くもゆとり世代」と言えるような言葉に落ち着くのではないでしょうか。

今でも動画サイトなどで「さすがゆとり」「これは良いゆとり」「ゆとりには敵わん」と言ったコメントがつくのを見受けますが、そこではちょっと褒め言葉になっています。とくに嫌悪感や恨みつらみが込められた侮蔑では無いからかもしれません。

意味のズレをちょっとずつ起こしながら、今より具体的で多様な「ゆとり世代」のイメージができあがっていくでしょう。

さて前置きが長くなりましたが、それより問題なのは、ゆとり世代の上の世代の呼び方なのです。

ゆとり世代 - Wikipediaによると現在広くマスコミなどで喧伝されている「ゆとり第一世代」は新指導要領(いわゆる新課程)を受けた1988年4月以降に生まれたものたちを指すそうです。そして世代 - Wikipediaを見ると「ポスト団塊ジュニア」が1975年〜1980年代初頭生まれ、「氷河期世代」が1971年〜1981年生まれとされていて、1982年〜1987年の世代にこれといった呼び方がないではないですか。

これではその世代の人たちが同世代に対する帰属意識を持つことができず、その不安から様々な問題を起こしてしまうかもしれません。その世代を理解するためにも、レッテルを貼ってみましょう。

とりあえず「プレゆとり世代」とか、反対語で「詰め込み世代」と呼ぶ……ということも考えたのですが、ゆとり教育は1980年から段階的に実施されたものなので1970年代後半生まれ以降、1980年代生まれ以降などとする見方もあるんだそうです。ずいぶん幅があるんですね。そうすると1982年〜1987年の世代も「ゆとり世代」に含まれてしまうので、「プレゆとり世代」や「詰め込み世代」という区別は矛盾を生んでしまいます。

というわけでまったく新しい命名を試みるのですが、そもそもその世代の人たちに特徴はあるのでしょうか? Wikipediaの1978年〜1988年で紹介されている人を中心に、なんとなく知っている有名人を並べてみましょう。

年 人物 ●ポスト団塊ジュニア ★名称未設定世代 ○ゆとり
1978年 ●つじあやの、浜口京子、中澤佑二、持田香織、押尾学、●井上康生、中村俊輔、野口みずき、小泉孝太郎、●矢井田瞳、●森薫、●浜崎あゆみ、乙一、武幸四郎、椎名林檎
1979年 堂本光一、●元ちとせ、阿部慎之助、篠原ともえ、三宅健、井川慶、稲本潤一、小野伸二、●ともさかりえ、吉川ひなの、●藤原基央(BUMP OF CHICKEN)
1980年 ●能登麻美子、末續慎吾、優香、★松坂大輔、★榎本加奈子、田臥勇太、Tama(Hysteric Blue)
1981年 新山千春、乙葉、知念里奈、★眞鍋かをり、安倍なつみ、★安達祐実、MEGUMI、今井翼、★荒川静香
1982年 小柳ゆき、鈴木亜美、★知花くらら、滝沢秀明、安田美沙子、大塚愛、三船美佳、倉木麻衣、倖田來未、★北島康介
1983年 上原多香子、宇多田ヒカル、矢口真里、ソニン、二宮和也、金原ひとみ、東野翠れん、小倉優子、市井紗耶香、HIROKI(ORANGE RANGE)
1984年 綿矢りさ、ベッキー、★土屋アンナ、hiro、★若槻千夏、巻佑樹、赤西仁、関根麻里、★木村カエラ、えなりかずき、福田明日香
1985年 石川梨華、藤本美貴、吉澤ひとみ、平山相太、★宮里藍、井上和香、中野友加里、上戸彩、★後藤真希、ウエンツ瑛士、ギャル曽根、横峯さくら
1986年 浅尾美和、小清水亜美、亀梨和也、松浦亜弥、諸見里しのぶ、ダルビッシュ有、高橋愛、★亀田興毅
1987年 ○織田信成、紺野あさ美、○辻希美、○三浦大知、時東ぁみ、平野綾、小川麻琴、○安藤美姫
1988年 加護亜依、○斎藤佑樹、新垣結衣、浅田舞、新垣里沙、○福原愛、○田中将大、亀井絵里

私の独断でその世代っぽい人に印をつけてみたんですけども、ポスト団塊ジュニア(1975年〜1980年初頭)っていうのは「癒し系」が多いみたいです。心が繊細で、優しい世界観を持っているの。堅実だけど大舞台には弱いの。

一方、80年初頭以降の人は水泳の北島康介さんをはじめ、ここ一番で勝負に強い人が多いです。日本人の伝統かと思われたメンタリティの弱いイメージをくつがえす若者がぞくぞく登場しています。団塊〜ポスト団塊ジュニアはずっと使い続けてくれる環境でアベレージを残すのが得意ですけど、やっぱり雇用制度と関係があるのかなあ。

80年初頭以降の人のもうひとつの特徴は大人びていて、基本的に明るいこと。不景気の世相で鍛えられているのでしょうか。ゲーム世代よりケータイ世代のほうがコミュニケーション能力が高い可能性もありますね。この「大人びて勝負強い」印象は「ゆとり世代」の人にも共通に言えるので、「80年初頭以降」でまとめられる世代的傾向ではないでしょうか。

では反対に下の、ゆとり第一世代(1988年以降)の人たちとの違いがあるかどうかですが……85年くらいより前の人たちは「ピリピリした雰囲気」があると思います。内省的で癒し系、というかんじの人はほとんどいません。

じょじょに変わって87年ぐらいの人から顕著だと思うのですが、ハンカチ王子といいハニカミ王子といい、勝負強いのになごむ性格ですよね。これがゆとりの成果なのでしょうか。

「ゆとり世代」は高等学校における学習指導要領の改訂が2003年度の第1学年から学年進行で実施されたため1987年度生まれとする見解もあるそうで、私は87年以降説にしようかな。

さっきの「キレる17才」って何年生まれだっけ……1983年? うわあ。(正しくは1982年度だそうです。ご指摘ありがとうございました。)

私のネーミング決めました。1980年代初頭(1982年)〜1986年の世代の名前は……(ジャカジャカジャカ)

プレッシャー世代。

下り基調の日本国を託されるプレッシャーに耐え、世知辛い世の中に耐え、ギスギスしがちな交友関係にも耐え、妙にプレッシャーに強い「プレッシャー世代」なのです。どうです? (怒られそう)

■「ポスト団塊ジュニア」の別名も考える

1975年〜1980年初頭の「ポスト団塊ジュニア」っていうのも他にもっとないかなと思うんですよ。団塊ジュニアだって「団塊」の「ジュニア」なのに、さらに「ポスト」でしょ〜。もっと主体性のある世代名じゃないと分かりにくいし、世代に対する帰属意識も生まれないんじゃないでしょうか。

マーケティング用語に「ジェネレーションY」という呼び方はあるのですが、どんな世代なのかを表現してないし、たいしてカッコ良くもない呼び方なのであまり浸透しないと思います。

年 人物 ◇団塊ジュニア ●ポスト団塊ジュニア ★プレッシャー
1973年 ◇さとう珠緒、島崎和歌子、◇BONNIE PINK、◇梨花、中澤裕子、◇中村紀洋、夏川りみ、◇イチロー、前園真聖、◇長谷川理恵、稲垣吾郎
1974年 川本真琴、森且行、◇和泉元彌、松井秀喜、草なぎ剛、●華原朋美、国分太一、◇室伏広治、ケイン・コスギ、◇野村忠宏
1975年 ●尾田栄一郎、上原浩治、高橋尚成、高橋由伸、●加藤晴彦、平野啓一郎、畑山隆則、川口能活、谷亮子、●松井稼頭央、さかなクン、笠原健治、近藤淳也
1976年 hitomi、乙武洋匡、楢崎正剛、●森山直太朗、綾小路翔、●緑川ゆき、内田恭子、里谷多英、KREVA、●土屋礼央、●一青窈、西村博之、辺見えみり、●山口隆(サンボマスター)、●若旦那(湘南乃風)、川崎裕一
1977年 ●Cocco、●中田英寿、佐藤琢磨、劇団ひとり、香取慎吾、ほしのあき、小林尽、●柳沢敦、山口もえ、鈴木紗理奈、氷川きよし、アンジェラ・アキ、安室奈美恵、桃井はるこ、●伊藤直也
1978年 つじあやの、浜口京子、中澤佑二、持田香織、◇押尾学、●井上康生、中村俊輔、野口みずき、小泉孝太郎、●矢井田瞳、森薫、●浜崎あゆみ、乙一、武幸四郎、椎名林檎
1979年 堂本光一、元ちとせ、阿部慎之助、篠原ともえ、三宅健、井川慶、稲本潤一、小野伸二、●ともさかりえ、吉川ひなの、●藤原基央(BUMP OF CHICKEN)
1980年 ●能登麻美子、末續慎吾、優香、★松坂大輔、★榎本加奈子、田臥勇太、Tama(Hysteric Blue)
1981年 新山千春、乙葉、知念里奈、★眞鍋かをり、安倍なつみ、★安達祐実、MEGUMI、今井翼、★荒川静香
1982年 小柳ゆき、鈴木亜美、★知花くらら、滝沢秀明、安田美沙子、大塚愛、三船美佳、倉木麻衣、倖田來未、★北島康介

また独断と偏見で印をつけています。地の性格が分かりにくい俳優さんやモデルさんは除いています。しかし有名人ばかりなので、世代論に向かない突き抜けた人物が多いですね……。子供の時から芸能人など育ちが特殊な人が多いですし、宇多田ヒカルさんとか判定不能です。

上の「団塊ジュニア(第二次ベビーブーム世代)」はよく言われるとおり競争意識が強く、良くも悪くもキャラが立っている人が多いと思います(他にキムタク・貴乃花・ホリエモンなど)。年のわりに人間ができていない面があり(アダルトチルドレン#)、ヤケッパチ気味の大胆な行動も見受けられる世代。

先ほど命名した下の「プレッシャー世代」は大舞台に強い性格。大人びていて、うじうじするところが少ない。基本的には明るく、余計なことは考えない実行主義。スタンドプレーは少なく、目的意識が強く、ともすればピリピリした印象。

その中間、「ポスト団塊ジュニア」の私のイメージを書き出してみますと……

  • 知的
  • 内省的
  • 癒し系
  • コンスタントに自分の決めた枠の中で活躍
  • 大一番に弱い
  • 脇役っぽい
  • 空気を読める
  • 気遣いができる
  • 調整力がある
  • どこまでも優しい世界観を心の奥に秘める
  • 人の弱さに対して寛容
  • デリカシーの無さに対しては厳しい
  • 滅私奉公
  • 氷河期に適応
  • 楽しかった幼児期
  • 「日本は悪い国」というイメージづけが今より強かった
  • 「地球は核戦争で滅ぶ」といった終末思想は上の世代より弱い
  • 「リスペクト」を大切にする
  • 「下克上」は試みない
  • 冒険を回避するので、じつは大きな挫折はしていない
  • 断定を避け、語尾に「けど」をつける言い回し
  • いろいろな意味の「ですよねー」を使い分けられる

ああ、これは「ゆとり」と反対なんじゃないかな。ゆとりの反対ということで……(ジャカジャカジャカ)

「窮屈世代」とか、「気詰まり世代」とか。 自分は気配りできるんだけど、上と下の世代の連中が我が強くて、気が塞いできちゃう「気詰まり世代」なのです。どうです?(すみませんすみません)

9/16追記

反響をいただいて考え直したゆとり世代の上の世代の呼び方を考える2(プレッシャー世代やめました)を書きました。私が案を変更するだけなので「プレッシャー世代」のご利用についてはご自由にどうぞ……。


*1:訳って言っても外来語の言い換え提案なんですけど