こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

新トップスターを寿ぐ二本立て@宝塚月組「ゴールデン・リバティ」「PHOENIX RISING」

12/7(土)11:00~ 宝塚大劇場

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ミュージカル・クエスト
『ゴールデン・リバティ』
作・演出/大野 拓史

キャスト

ジェシー 鳳月 杏
アナレア 天紫 珠李        
ライマン 風間 柚乃        
マリー[座長の母] 梨花 ますみ        
モンタナ[レストラン支配人] 白雪 さち花
ホールデン[昔の仲間]/クリーブランド[大統領]春海 ゆう        
アルバート[サーカスの座長]/カーヴィー[モンタナの夫]佳城 葵    
ハワード・ケイン[将軍] 英 かおと        
パール[モンタナの娘]    彩 みちる
ボーグナイン[昔の仲間]/レセップス[フランス側代表]    朝陽 つばさ    
フレンチー[サルーン女将]    妃純 凛
ディーン[無法者]    礼華 はる        
リッキー[無法者]    彩海 せら        
エリザベス[新聞記者]    白河 りり        
アイダ[座長の妹]    花妃 舞音        
ジェシー(少年時代)    蘭叶 みり        

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大野先生の作品といったら「とりあえずセットと衣装」というくらい、私はその見た目の整え方が大好きなので、はじめこのタイトルロゴを見た時は逆に驚いてしまったのですが、このベースが作品中いろんなものに変化して、舞台をよりいっそう彩るのに感心してしまいました。特にサーカスのシーンが美しかったです。

 

ストーリーに関しては賛否両論、というか、どちらかというとマイナスの意見が多い、と認識して観劇したのですが、これはストーリーを重視するか「ミュージカル・クエスト」という肩書きどおりの「歌とダンスありの冒険のスピード感」を楽しむことができるか、で違う気がしていて、多分に前者の方が多いのは理解できるので、そういうものを作ってしまうのはどうだろう、とは確かに思います。

でも私のように、これが楽しい、人もいる。

何よりこの作品は、大野先生が考える「格好いい鳳月杏」、「美しい天紫珠李」を見せることが第一義だった気がします。そしてそれは新トップコンビのお披露目作としては、それなりに重要じゃないかなと思っています。

とにかく最初のウェイターな恰好の鳳月さんも、ウエスタンスタイルの鳳月さんもカッコいい!そこに少年時ターンが絡まりキュンとする!

天紫珠李さんも登場シーンの衣装から「トイ・ストーリーのジェシー」みたいなウェスタンスタイルも、正統派ドレスもポリネシアンドレスも全部ステキで全部ステージスタジオに置いてくれ、と思いました。

衣裳も最初の娘役さんたちのウェイトレスドレスから美しくて、サーカス団の衣装もポリネシアンドレスもキレイで、それがさざ波のようなダンスシーンとして魅せられるのは、本当に眼福でした。

さらにやっぱりセットが絶妙で、久々にかつて販売されていたこんな本を

この作品だけで販売してくれないかなと思うくらい、セットに見惚れる作品でもありました。とりわけ象徴的に登場する「自由の女神像」の表現を、最後あの角度に映し出して本舞台につないだときは思わず唸ってしまいました。配信じゃなくて二階の一番後ろの席から全部引きで何回も見たいと思ってしまったので、万が一、私と好みが似ている方は敢えてのB席か東京公演なら立ち見をおすすめしたいです。

 

ストーリーが分かりにくいとか名前が分からないとかも聞きましたが、この作品はそこは敢えてそうしている気がしたのです。特に名前問題はそうしないとヒロインだけあんまり名前を呼ばれない不自然さが際立ってしまうし、一応そこが見せ所でもあるとは思うので、ジェシーという主役がいて、主役をなんやかやと巻き込んでしまうヒロインがいて、あとは追って追われるハラハラ感とスピード感を楽しむ、そういう作品だったと思います。

(なので主役2人を除くと、他のキャラクターがアイダの花妃舞音ちゃん以外は味付けでしかないんですけど、群衆芝居は月組の十八番!適材適所で器用にしっかり支えていてさすがでした)

いやジェシーの過去といい、ヒロインの立ち位置といい、合衆国として独立して100年目を迎えたアメリカが、どれだけ強引に、上から目線で正義という名の傲慢の下で「合衆国」を作りあげたか、ということは割と端々に感じるのですが、ここが気になった方は自分で掘り下げていけばいいし、娯楽作品としてギリギリな感じでそういうところを乗っけているところも、私個人は興味深く見ました。

 

そしてラストシーンのセットによるファンタジー感(これをファンタジーとして見れるか、どうなってるんだと突っ込むかだと後者の方が多いと思うけれど・・・)と、ジェシーの告白のかわいらしさと、それを受けるヒロインの義務から解かれて羽ばたくような感じは、セットとともに開放感があって、すごく幸せに見終わりました。まあそういう観客もいたよ、ということです。

 

で、ショーです。

Takarazuka Spectacular
『PHOENIX RISING(フェニックス・ライジング)』
-IN THE MOONLIGHT-
作・演出/野口 幸作

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それこそ前雪組トップスターの彩風咲奈さんがWOWWOWのインタビューで

組が違えばまったく作品も変わってきますし、ショーを手掛ける先生とその組のコラボレーションも見どころのひとつだと思う

とおっしゃっていたのですが、作品自体はここ数年の野口先生のパターンを全部詰め込んだショーだったと思いました。

さらに組長さんはじめ上級生5人くらいが歌って降りてくる鳳月さんを迎えたり、「月空をはばたく」的な歌詞をはじめ、鳳月さんのトップスターお披露目を十二分に感じさせて楽しかったし、鳳月さん、天紫さんともにダンスショースターっぷりも堪能できました。そして噂の「オダチン・カーン」も楽しかった!さすが風間さん!

お芝居ではちょっと蔑ろにされてた感のあった彩みちるさんも、ちゃんと別格娘役扱いされていたのも嬉しかったです。

なのに途中で疲れてしまったのが我ながら不思議です。一回内幕閉じて、そこから再度ミラーボールが回りタイトルバックが出たときは、まだあるのか、そうかまだ後半の大階段見てないな、でももうお腹いっぱい・・・みたいな状態になってしまったのです。

まあでも中近東からアジア中心にめくるめくシーンと、さまざまな国のお衣装を見るのは楽しかったし、娘役さんもシーンシーンで大事に使われていたし、誰が見てもそれなりに楽しいショーなんじゃないかなと思います。

で、多分、月組では初なのかな、な野口先生ショー恒例の持ち物持ったみんなで踊りましょうシーン、今回の持ち物はポンポンスティックでした。

shop.tca-pictures.net

持って一緒に踊る派、買わないけど手だけで踊る派、ひたすら見る派、客席降りしてくる出演者を見つめる派等々、それぞれ楽しみ方はあるかと思いますが、私は今回は「買わないけど手だけで踊る派」として楽しみましたので、一応振付動画を置いておきます。

youtu.be

「ODYSSEY」、「ENCHANTEMENT」、「FROZEN HOLIDAY」、「ALL BY MYSELF」で慣らされてきたので、だいたい一回で踊れるようになってた自分がちょっと怖かったです。。。

でも月組ファンではじめてこういうのがあるショーに当たったって方はよろしければ、試してみてください。割と楽しいですよ。