こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

2024年かんげき振り返り

2024年末もやっぱり胃腸の不調で、本当に今年一年は老化をしみじみ感じました。涙

思い返せば2023年末のめまいが、この一年の不調の大きなサインだったのかもしれません。でも唯一の救いは、観劇日に体調不良日がバッティングしなかったことです!

もう本当、観劇のために生きているんだなあと思ったものです。

そんなわけで今年の観劇を振り返りつつ、だいたいどのくらいのお金が出ていったのかを感じる記録です。

■1月

梅芸フレンチロックミュージカル「赤と黒」

宝塚星組「RRR」「VIOLETOPIA」

■3月

世田谷パブリックシアター「う蝕」

京都南座「三月花形歌舞伎(松プログラム)」

宝塚花組「アルカンシェル」

■4月

KERA CROSS「骨と軽蔑」

■5月

宝塚雪組「ALL BY MYSELF」(×3回)

■7月

宝塚雪組「ベルサイユのばら~フェルゼン編~」(×2回)

ENTERTAINMENT DANCE PERFORMANCE「BOLERO-最終章-」

■8月

東宝ミュージカル「モダンミリー」

ナイロン100℃ 49th SESSION「江戸時代の思い出」

■9月

日米合作「RENT」JAPAN TOUR 2024

HORIPRO STAGE「ハリー・ポッターと呪いの子」

■10月

ミュージカル「9 to 5」

■11月

劇団四季「WICKED」

■12月

宝塚月組「ゴールデン・リバティ」「PHOENIX RISING」

宝塚雪組「FORMOSA‼」

梅芸「RUNWAY」

 

18本、21回…。

いや一応20本を下回ったと見ておこう!ベルばらは2回で今の他の劇場の1回分だもの!

しかし本当にチケット代が高くなってしまって、今後どうしていけばいいのか迷いますよね。涙

でも今年は割と歌舞伎やストレート・プレイ、ダンス公演なんかも混ぜてバランスよく見られたのかなと思います。

12月に怒涛の宝塚と宝塚OG公演詰め込み、改めて自分の推し「夢咲ねね」さんの魅力に気付かされたりもしました。

思えば1月の「赤と黒」が観劇始め、ねねちゃん始めで、夏に「モダンミリー」のドロシー役という「これ、他キャスト見たことないけど、絶対こんなのじゃなかっただろう。でも、もうこのドロシーを見たが最後、他のドロシー見ても違和感あるぞ」くらい「夢咲ねね」が詰まった役だったなと振り返って思います。

個人的には「赤と黒」のレナール夫人の方が、ねねちゃんの演技としては好きだし、その美しさが活きていたとも思うのですが、ドロシーのパンチ力が激しかったことを、「RUNWAY」の爆発力を見て思い返し、最後にこんなどうでもいいことを記録することになっております。


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とりあえず「夢咲ねねファンクラブ」は更新しました、はい。

 

ファンクラブ、と言えば、今年一番お金をかけたのが、わたしのもう一人の推し「新納慎也」さんの初のファンミ参戦でした。

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ちなみに新納さんもねねちゃんもファンクラブに入ったきっかけはコロナ禍でした。

公演が長期間なくなってしまい、少しでも好きな人たちに応援の気持ちを届けたい思いだったのですが、好きな人たちだけに欲も出てくる。特にめちゃくちゃ楽しいと聞いていた新納さんのファンミは、ファンクラブ入ってから一度は行きたいと思っていたので、開催されて本当に嬉しかったです!そして何もかもが大満足でした!

ただ新納さんの舞台が今年は「う蝕」しか見られなかったので、来年はもっと大阪でも公演をやってほしいなと思う一方で、チケット代問題が頭をかすめます。

これで宝塚のチケット代があがるときっついな・・・とは思うのですが、昨年の痛ましい事件を思うと、歌劇団の労働環境の改善は絶対にしてほしいので、その結果としてチケット代に跳ね返ってくるのは仕方ないかなとも思っています。

 

今年18作品しか見ていないので、どれもそれぞれに楽しかった、としか言いようがないんですけれど、その中で敢えて作品賞をあげるなら「ALL BY MTSELF」でした。

配信見て、3回見に行って、円盤見返しても一部の体感が一瞬なんですよ。

本当によく出来た、素晴らしいショー作品だと思いますし、改めてショー好きな自分も自覚しました。

「RUNWAY」を見ても思ったのですが、今年東山さんのダンスパフォーマンス公演を見ながら、こういう「ダンス中心の公演」が今後はもっとあると嬉しいなと、ちょっぴり期待しています。

 

ついでに脚本賞は「江戸時代の思い出」に。あんなに意味不明なものを書いて作り上げるすごさ!もう本当ケラさまの頭の中はどうなっているんだと思いました。そして照明デザイン賞を 「ハリー・ポッターと呪いの子」に。セットも素晴らしかったけれど、セット&衣装はやっぱり「WICKED」にかなうものはないなと思います。

 

そうそうブロードウェイミュージカルと言えば「SUFFS」の日本語版か来日版も早めに来てくれることを希望しています。「虎に翼」の記憶が薄れないうちに。


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2022年のトニー賞パフォーマンスを見て面白そう!と思った「SIX」が来年早々やってきてくれることを思うと、再来年あたりには実現しないでしょうか。


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そんな来年は来日「SIX」の前に、ケラさまがミーツするチェーホフ「桜の園」から観劇始めです。

せっかくこの有名戯曲を読んだことも見たこともないのだから、何も勉強せずに見に行こうと思います。

そして、来日SIX、日本版SIX、今年の「RENT枠」の「朗読劇忠臣蔵」と続きます。「ウェイトレス」も見たいし、ケラさまの作品は追っかけたいし(仲村トオルさんから古田新太さんになった再演「ベイジルタウンの女神」は絶対見たい!)、推したちの出演する作品が大阪に来てくれるなら、それは出来る限り見たい。

どうお財布と折り合いをつけていくか悩みながらの観劇になりますが、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

楽しすぎて記憶が飛ぶ@梅芸「RUNWAY」

12/12(木)13:00~ @梅田芸術劇場

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CAST
蘭寿とむ/龍 真咲/壮 一帆/柚希礼音/凰稀かなめ
北翔海莉/柚香 光/夢咲ねね/朝月希和
瀬戸かずや/愛月ひかる

光月るう/沙月愛奈/響れおな/天寿光希/音波みのり/笙乃茅桜/夢妃杏瑠/和海しょう/風馬 翔/晴音アキ/秋音 光/希峰かなた/大原万由子/帆純まひろ/花束ゆめ

STAFF
構成・演出 稲葉太地(宝塚歌劇団)
音楽 長谷川雅大/高橋 恵 
振付 川崎悦子/原田 薫/三井 聡/大野幸人/若央りさ 
装置 國包洋子 
衣裳 十川ヒロコ 
ヘアメイク 柴崎尚子

 

宝塚OG公演を見るのは杜けあきさまが出演なさる時だけ、と決めていたのですが、あっさり覆したのは、「柚香 光」さまを、一度いいから一階席で見たい!という欲望でした。

コロナ禍のトップスター就任であれだけ何度も途中で公演が止まったにも関わらず、ありがたいことに、なんとか大劇場公演は全て見られたのですが、S席のチケットはことごとく休演期間だったので、いつも遠くの方からオペラグラスでその美貌を拝むだけだったのですよね。涙

しかし100周年時はすでにちょうど宝塚ファンに戻っているタイミングで、出演者の皆さん好きな方ばっかりだし、夢咲ねねさんにいたっては現在ファンクラブに入っているので、今このファンクラブパワーを使う時だろう、と経由でチケットを申し込んだら、平日だったのが幸いして、かなり前方のセンター席での観劇がかないました。

いやー、もう楽しかった!

ので、最初のセットの瀬戸かずやさん、愛月ひかるさんお2人が登場するシーンだけ改善をお願いしたいです。センターからわずかに1席ずれただけの私の席でも、愛月さんが前に出た状態の柱にかぶって途中見えなかったんですよね。

なので、前2本の柱はお2人が登場した瞬間に通常の状態に広げる方がいいと思います。

 

しかし楽しすぎて、そして次々と人が入れ替わり立ち代わりして進むので、プログラムのセットリストを見ても、どのシーンにどなたが出ていたのかの記憶が曖昧・・・。

とりあえず、「Bye Bye Blackbird」の夢咲さん、朝月さん率いる元娘役さん勢ぞろいのシーンが、宝塚ショーではなかなか見られないので眼福でした。夢咲さんかわいいし、真ん中力さすがだし、朝月さん相変わらずダンスうまくてなんでも出来てすごいし、フォッシースタイルのダンスを、パンツ姿のかわいい元娘役さんたちだけで歌い踊るありがたみ。思わず拝んでましたよね。

後はやっぱり柚希礼音さん、柚香光さんのダンスコラボですね。しかも蘭寿さん、龍さんというトップスターさんが歌う中で踊っているのを見られるという贅沢!

ということでこの辺は、自分のつぶやきを未来の自分に残しておきます。

夢咲さんのフィナーレでのかわいい動き方はこの花束ゆめさん(最下級生103期、恐らく20代の若者)のインスタでイメージしていただきたい。

 
 
 
 
 
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この手の位置、腕の角度、肩のライン、全部が「かわいい」。そしてめっちゃくちゃ若くてかわいい花束さんでも適わない何か。これが「記号的かわいい」だと思うんですよ。

本当、今さらながら、夢咲ねねの「かわいい」は天から与えられた才能だと思いました。

そして天から与えられた、と言えば、今回これを見に行くきっかけになった、柚香光さん。いやもうなんかこの世のものとは思えない透明感と美貌。フィナーレでキャッキャッしてるときは「少年」って感じなんですが、踊りだしたら幻でも見てるんじゃないかくらい神々しかったです。

ご本人は相当踊りが好きみたいで、しばらくはダンスと演技中心に舞台活動を続けられるみたいなのですが、この美貌が舞台、しかもダンス界という割と狭めのフィールドのみで共有されるのがもったいなさすぎるので、ぜひとも映像系のお仕事も、モデル系のお仕事もしてほしいと思っています。

 

全体にダンスが多く(ので、せめてプログラムにはどのシーンがどの振付家だったのか、だけは載せてほしかったなとは思います)、ショーとしても大変見ごたえがあって、楽しかったので、神奈川公演も皆さま怪我なく大千秋楽まで完走されることを願っています。

で、神奈川公演はかなりのチケット難だと聞きましたので、劇場に行けないよ、という方はぜひ配信を楽しんでいただきたいと思います。

もちろん私も下手したら両日見ますとも!

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そして110周年のトップスターさんたちが10年後に集うRUNWAYも将来の楽しみにしたいと思います。

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ところでトークタイムは日替わりで、私の時は100周年時期のトップスターさん5名(蘭寿さん、壮さん、柚希さん、凰稀さん、龍さん)のご登場でした。

何度かこのブログでも書いているのですが、私は瞬間記憶力が乏しくて、再現できないのですが、トークタイムも大変楽しかったので、一応こんな感じの内容が話されていたよ、というのを残しておきます。流れも話している方も内容も実際のトークとは違っているとは思いますので、読んでやってもいいよという方はあくまでイメージということを念頭において読まれてください。

 

質問BOXは龍さんが持っていて、手提げ型でした。
登場するなり蘭寿さんが舞台に落ちてたアクセサリーを拾ったみたいで、それがその前のシーンに出ていた柚希さんのだったらしくわちゃわちゃして、最終的になぜか龍さんが「預かります」な雰囲気で手にして保管してました。
そして質問BOXの紹介があって、誰から引くかわちゃわちゃして、とりあえず学年順で蘭寿さんからになりました、多分。

質問内容①→10年ぶりに会ってみてどうですか?
全員「変わらない、髪が伸びたくらい」
柚希「今回お二人(蘭寿・壮)がいてくださるから、安心してできます」
壮「うちら、基本ゆるいからね」
柚希「あ、まさおちゃん(龍)はしっかりした」
龍「私、そんなにしっかりしてませんでした?」
柚希「トップさんやってたんやなーって」
龍「同じ時期にやってましたよ」
壮「2人、そんなに一緒にやってたん?」
柚希「ううん、でも100周年のイベントとかで会うことが多かったから」
からの流れで凰稀さんがしっかり者という話になった気がします。
壮「一番稽古場にいないのに、一番ちゃんと覚えてる」
凰稀「私、お稽古に行けなかったので、基本、動画を見て自分でカウント取って覚えたんですね。でその動画が毎日送られてくるんですけど、全部何かが違うんですよ。で、正解はどれ?ってなって、一番最初のに戻って覚える。で、稽古場行ったら、また違って、もうどうれ?って!」
蘭寿・壮・柚希さん、爆笑でわちゃわちゃして、壮さんが「振付の時、りか(凰稀)がいないからわかりませーんって言ってたわ」とおっしゃった記憶。
で、多分「お世話になりました」で終わって、次の質問に行ったような気がします。

質問内容②→好きな食べ物を教えてください。好きなスイーツとか。
率先して手を上げる壮さん。
壮「関西だとあれ、粟玄の、ナッツとかをキャラメルで固めてるお菓子。美味しいねん。でもあれ、いっつも売り切れでなかなか買えなくて。でもそれが外でいうケータリング、宝塚でいうビュッフェにあって、素晴らしいと思って」
柚希「東京では皆さんがいっぱい差し入れしてくれて」
と満足顔の柚希さんから多分、柚希さんか龍さんが「いつも美味しいもの差し入れていただいて、自分で買いに行くと、え、こんなに並んでいるお店だったのって驚きます、ありがとうございます」的な会話があった記憶です。

その後、龍さんの「でも宝塚時代は全然いただいたお菓子とか食べる暇ありませんでした?」の言葉に間髪入れない柚希さんの「私、ずっと食べてた。毎休憩ごと、食べてた」発言に、会場全体で大爆笑。
柚希「思ったより休憩長いときとか、長いなと思いながらずっと食べてた。え、食べへんの?」
壮「ベルばらの時なんか、ヒマで食べてたよ。今宵一夜からバスティーユまでずっとヒマだから、楽屋で優雅にケーキとか食べてた。フェルゼンのティータイム」
柚希「(凰稀さんに)うちらが出てたな、そこ」
からどういう流れだったか、上記の流れだったかも覚えてないのですが、
柚希「私、あんまりお菓子食べ過ぎるから、組長さんにお菓子箱隠されたことあってん。組長さんがやってるから幹部部屋の誰もがどんなに聞いても教えてくれなくて」
壮「あ、でも私もお気に入りのお菓子を誰にもあげず箱に入れて大事にしてたら、ある日、箱を開けたら中身が全部変わってたことあった。分けてくれないからって」
となかなかな爆笑とわちゃわちゃ具合の中で「ジャイアンや」みたいな言葉が出て、龍さんが「ジャイアンのこと知らない方もいるから説明した方がいいんじゃないですか?」みたいなことを言って柚希さんがジャイアンのくだりを説明しかけたらくらいで確か「チリンチリン」って合図が入って、焦って説明しようとしてしどろもどろになってるところに、龍さんが「じゃあ、ジャイアンのことをお話ししててください」と言って場を仕切りなおし、自分は質問ボックスを返しに袖に一回はけたのを見て、柚希さんが「しっかりしてるわー」と。
戻ってきた龍さんが凰稀さんに「上3人がこんな感じだから、我々がしっかりしないといけなくなるんですよね」と言ってうなづく凰稀さん。
ちなみに壮さんがおっしゃってた粟玄のお菓子は「和洋」ですね↓↓↓

awagen.jp

最寄りの電車駅がないめちゃくちゃローカル店なので、その昔は本当に店に行けば気軽に買えて、私も東京の友人へのお土産に愛用していたのですが、どこかのタイミングから大ヒットして、店舗も大きく改装されたと母が話していたのは覚えているのですが、今通販サイト見たら「年内分の受付は終了いたしました。再開は年明けになります。」て書かれてて驚きました!

ジャイアンの件
柚希「私が見た目ジャイアンで」
壮「中身ジャイアンです。稽古場でちえ(柚希)とたぶん同期のコかな?2人でサブレを食べてたんですよ。で、おいしそー、って言ったら、同期のコは食べかけだったけれど、『食べられますか?』ってちょっとくれようとしたのに、ちえ(柚希)はわざわざ目の前まで来てバリバリバリって見せつけるように食べたんですよ」
柚希「で、そのサブレの缶をね、壮さんが私の退団公演の時に持ってきてくださって、喜んで開けたら、中身が入ってへんの!」
壮「違うよ、カケラだけ入れといたから」
「ジャイアンでしょー」みたいな感じでまたわちゃわちゃになって、時間ない、そういえば蘭寿さんが全然しゃべってない、となり「蘭寿さんといえば8年ぶりの復帰」から何か会話があったはずなのですが、どこかで壮さんから「蘭寿さんといえば腰」という振りがあって、
壮「なんでそんな腰動くん?って改めて」
蘭寿「そう言われるとなんかがんばらなきゃと思って、一所懸命動かしたら腰がパキっていって…」
という会話に、同世代のわたしとてはお二人でもそうなるのかー、そりゃあわたしも身体いろいろガタくるわと共感しきり。
で、10年ぶりにみんなで集まれて楽しい的な話題だったのかな?から「120周年もやるかな?」と多分、柚希さんがおっしゃって、壮さんが「その時はわたしたち(蘭寿さんと壮さん)は赤い服着て、一番上でポーズ取っとくわ」みたいなこと言って、またわちゃわちゃ話しているところに、龍さんが欧米の方っぽく「あ、はーん」と言って、なんか強引に「ありがとうございました」とトークタイムを終わらせた感がすごかったです。笑

あとどこかで、フィナーレの振りのタイミングが早いか遅いかでいちいち確認とってドヤ顔する、みたいな話しもあったはずなんですが、どなたがどこでおっしゃっていたやら汗

 

ちなみにどうでもいいですが、私の今回のトップさんたちの観劇度を自分のために残しておきます。

蘭寿とむ
2012年「復活/カノン」B席で2回観劇
2012年「サン=テグジュペリ」B席で1回観劇、「CONGA‼」は用事があって見られず(残念)

龍真咲
2010年「THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)」から2016年のサヨナラ公演まで2013年の「ベルばら」と2015年の「舞音-MANON-/GOLDEN JAZZ」除いて大劇場公演は全て観劇。別箱もちょこちょこと。
ちなみに一番好きな役は2014年1月梅芸の『風と共に去りぬ』スカーレット・オハラです。卒業されてからは東宝「1789」のマリー・アントワネット役を見ました。

壮一帆
蘭寿さんの2公演に加えて(壮さん当時花組二番手だったので)、
2013年「Shall we ダンス?/CONGRATULATIONS 宝塚!!」
2014年「一夢庵風流記 前田慶次/My Dream TAKARAZUKA」

柚希礼音
2009年「My dear New Orleans(マイ ディア ニュー オリンズ)/ア ビヤント」から大劇場公演は全て観劇。別箱も見ていないのは台湾公演とライブ&リサイタル、「太陽王」くらいかも。あ、全ツの「琥珀~」も見られていないですね。ねねちゃん、見たかった。
卒業されてからは、とにかく柚希さんのダンスが好きだったので「REON JACK」のどれかと「LEMONADE」は見ました。そしてその2つよりも「Factory Girls」のサラが良かったな。

凰稀かなめ
2009年「太王四神記 Ver.II」から2011年「美しき生涯/ルナロッサ」までの大劇場公演は全て見ました。あともうこんな小さな箱で凰稀さんの美貌を見られる最後のチャンス!と2012年のバウ「ロバート・キャパ 魂の記録」を見に行っています。2012年「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA、2013年「モンテ・クリスト伯/Amour de 99!!-99年の愛-」までは見て、全ツ2013年「うたかたの恋/Amour de 99!!-99年の愛-」は見ているんですが、なぜかこの辺でわたしが凰稀さんで見たいものと外れてしまって、サヨナラ公演すら見てない有様。
でも東宝「1789」初演のマリー・アントワネットは見に行きました。あと「CLUB SEVEN ZERO III」ゲスト出演も見に行ってました。

どちらを描くのが正解なのか惑う@宝塚雪組「FORMOSA!!」

12/8(日)16:00~ @シアター・ドラマシティ
西洋奇譚
『FORMOSA!!(フォルモサ)』
-空想世界の歩き方-
作・演出/熊倉 飛鳥

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キャスト

ジョルジュ・サルマナザール 縣 千
シェリル・オズワルド 音彩 唯
ウィリアム・イネス 華世 京
オリバー・オズワルド 久城 あす
メイベル・オズワルド 星沢 ありさ
アン女王 妃華 ゆきの
サラ・ジェニングス 莉奈 くるみ
ペンブローク卿 叶 ゆうり
ヘンリー・コンプトン[ロンドン教会主教]天月 翼
ダマルフィ[ロンドン教会司祭]    眞ノ宮 るい
フォンタネー神父[イエズス会神父] 紗蘭 令愛
エドモンド・ハレー[天文学者] 蒼波 黎也
メリヤンダノー[空想上の革命家] 咲城 けい
アナベル/空想上の皇妃    愛陽 みち
空想上の皇帝 風立 にき

 

月組「ゴールデン・リバティ」と同じく、若干マイナス評価が多いかなという中で見たのですが、これも私は大変面白く観劇しました。

「ゴールデン・リバティ」とは真逆で、こちらはメッセージ性の強い作風だったように思います。前半は虐げられた立場だったジョルジュ・サルマナザールと、何かに縛られていてもがいているウィリアム・イネスが、それぞれの思惑のもとで有名になろうとする姿が描かれます。やり方は途方もなく荒唐無稽でも、名もなき庶民でも「生きているんだ」ということを知らしめたい、というジョルジュ・サルマナザールの思いは十分伝わるし、そういう渇望を表現するするのがやはり縣くんはうまい。

当時の庶民で成り上がるということは、イコールで上流階級に入り込むことを意味しているので、そこで宗教と戦争と個人と国のそれぞれの立場や思惑に巻き込まれていくさまはよく分かりましたし、冒頭のジョルジュ・サルマナザールの生い立ちを説明する音彩さんの完成度の高さがさすがでした。

そこからサルマナザールが作りあげた物語の世界観が広がり、現実にもまれて狂うサルマナザールを一気に見せるオープニングもよく出来ていたと思います。

間のバーメイドのシーンも衣装の好みはあれど、こう作ってくるか、という面白味はあったし、後半にウィリアム・イネスに操られて、思っていた以上に上り詰めたサルマナザールが、名誉よりも自由を希求するというのも、とても納得して見ることができました。

ただ私は「ゴールデン・リバティ」よりこちらの方が、人物の名前と立場が混乱してしまいました。というか「ゴールデン・リバティ」は周りの人物は味方か敵かだけが分かれば問題なかったけれど、こちらはストーリー上、そう単純にはいかないので、その辺をどう処理すればよかったのだろう、とは考えてしまいました。

 

あと残念だったのは、やはり一応、音彩さんがヒロインってことになっているのに、ヒロインとしてきちんと描かれていないところでしょうか。それでもヒロインとして成り立たせているのは、ひとえに音彩さんのヒロイン力なのですが、物語としては面白かっただけにここがどうしてももったいない。

いっそのことヒロインなしで「ジョルジュ・サルマナザールとウィリアム・イネスの物語」にふりきった方が面白かったと思うんですよ。

なぜならウィリアム・イネスの華世京くんがめちゃくちゃよかったから!

いやスーパー御曹司って知っていましたよ。なんでも上手いのも知っていましたよ。シリアスな演技もちょうどいいコミカルな演技もできることも知っていましたよ。華やかでかわいいのも知っていましたよ。しかしここまで格好よく化けるとは!

いやもう若い力って侮れないですね、本当。まだ演技全体としては動きがバタバタしすぎているところもあるんですけど、まだ若いですから!もう十分磨かれているのに、きっとまだまだ磨かれると思うと期待しかありません。

そして普通にウィリアム・イネスとペンブローク卿の妖しい関係性が気になるじゃないですか!それこそ妄想で補いますけど、見られるともっと嬉しかった!

 

で、そっちに振り切らないなら、久城あすくんが演じたオリバー・オズワルドの役回りを、娘でヒロインのシェリルに任せてしまった方が宝塚歌劇としては評価があがった気がします。

あすくんパパの暖かみが本当に素晴らしかったし、ウソで身を固めて息苦しくなってしまっているサルマナザールに語りかける歌は包容力と慈愛にあふれていて、サルマナザールが心から欲しかったものはこれだったのだと痛感もして、個人的にはめちゃくちゃ好きなシーンなのですが、これをシェリルにさせれば、迷える子羊のようなサルマザールを開放し導き包み込むステキなヒロインになった気がするんですよ。

地理学者だった父の下で学び、父以上の才覚をみせているのに女性ということで「学者」になれない「縛り」をシェリルも架せれば、そんな自分たちを「できなくさせているもの」なんて気にせず進もう、とサルマナザールとももっと同志感も出たし、後半のメッセージ性も強まった気がしてなりません。

 

個人的には別箱だし「ジョルジュ・サルマナザールとウィリアム・イネスの物語」をやってもいいとは思うんです。でも将来的に大劇場で脚本・演出される場合はやっぱりヒロインとのラブはある方が宝塚歌劇の演目としては評価されると思うので、思い切ってサルマナザールを守り導き助ける方はシェリルに全部ふってしまった方がよかったかなと思いました。そうするとラストシーンももっと活きてきただろうなとも思います。

 

そして久々にドラマシティ公演を見ると、楽しいし、ダンスめちゃくちゃステキだったのですが、フィナーレがあることに戸惑う私・・・。

でもこういうところでショーのスキルを高めていくのも大事ですね。

ここも音彩さんのデュエットダンスのヒロイン力の高さを実感。そして次の本公演のショーでは華世京くんのセンターシーンがあることを確信しました。

新トップスターを寿ぐ二本立て@宝塚月組「ゴールデン・リバティ」「PHOENIX RISING」

12/7(土)11:00~ 宝塚大劇場

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ミュージカル・クエスト
『ゴールデン・リバティ』
作・演出/大野 拓史

キャスト

ジェシー 鳳月 杏
アナレア 天紫 珠李        
ライマン 風間 柚乃        
マリー[座長の母] 梨花 ますみ        
モンタナ[レストラン支配人] 白雪 さち花
ホールデン[昔の仲間]/クリーブランド[大統領]春海 ゆう        
アルバート[サーカスの座長]/カーヴィー[モンタナの夫]佳城 葵    
ハワード・ケイン[将軍] 英 かおと        
パール[モンタナの娘]    彩 みちる
ボーグナイン[昔の仲間]/レセップス[フランス側代表]    朝陽 つばさ    
フレンチー[サルーン女将]    妃純 凛
ディーン[無法者]    礼華 はる        
リッキー[無法者]    彩海 せら        
エリザベス[新聞記者]    白河 りり        
アイダ[座長の妹]    花妃 舞音        
ジェシー(少年時代)    蘭叶 みり        

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大野先生の作品といったら「とりあえずセットと衣装」というくらい、私はその見た目の整え方が大好きなので、はじめこのタイトルロゴを見た時は逆に驚いてしまったのですが、このベースが作品中いろんなものに変化して、舞台をよりいっそう彩るのに感心してしまいました。特にサーカスのシーンが美しかったです。

 

ストーリーに関しては賛否両論、というか、どちらかというとマイナスの意見が多い、と認識して観劇したのですが、これはストーリーを重視するか「ミュージカル・クエスト」という肩書きどおりの「歌とダンスありの冒険のスピード感」を楽しむことができるか、で違う気がしていて、多分に前者の方が多いのは理解できるので、そういうものを作ってしまうのはどうだろう、とは確かに思います。

でも私のように、これが楽しい、人もいる。

何よりこの作品は、大野先生が考える「格好いい鳳月杏」、「美しい天紫珠李」を見せることが第一義だった気がします。そしてそれは新トップコンビのお披露目作としては、それなりに重要じゃないかなと思っています。

とにかく最初のウェイターな恰好の鳳月さんも、ウエスタンスタイルの鳳月さんもカッコいい!そこに少年時ターンが絡まりキュンとする!

天紫珠李さんも登場シーンの衣装から「トイ・ストーリーのジェシー」みたいなウェスタンスタイルも、正統派ドレスもポリネシアンドレスも全部ステキで全部ステージスタジオに置いてくれ、と思いました。

衣裳も最初の娘役さんたちのウェイトレスドレスから美しくて、サーカス団の衣装もポリネシアンドレスもキレイで、それがさざ波のようなダンスシーンとして魅せられるのは、本当に眼福でした。

さらにやっぱりセットが絶妙で、久々にかつて販売されていたこんな本を

この作品だけで販売してくれないかなと思うくらい、セットに見惚れる作品でもありました。とりわけ象徴的に登場する「自由の女神像」の表現を、最後あの角度に映し出して本舞台につないだときは思わず唸ってしまいました。配信じゃなくて二階の一番後ろの席から全部引きで何回も見たいと思ってしまったので、万が一、私と好みが似ている方は敢えてのB席か東京公演なら立ち見をおすすめしたいです。

 

ストーリーが分かりにくいとか名前が分からないとかも聞きましたが、この作品はそこは敢えてそうしている気がしたのです。特に名前問題はそうしないとヒロインだけあんまり名前を呼ばれない不自然さが際立ってしまうし、一応そこが見せ所でもあるとは思うので、ジェシーという主役がいて、主役をなんやかやと巻き込んでしまうヒロインがいて、あとは追って追われるハラハラ感とスピード感を楽しむ、そういう作品だったと思います。

(なので主役2人を除くと、他のキャラクターがアイダの花妃舞音ちゃん以外は味付けでしかないんですけど、群衆芝居は月組の十八番!適材適所で器用にしっかり支えていてさすがでした)

いやジェシーの過去といい、ヒロインの立ち位置といい、合衆国として独立して100年目を迎えたアメリカが、どれだけ強引に、上から目線で正義という名の傲慢の下で「合衆国」を作りあげたか、ということは割と端々に感じるのですが、ここが気になった方は自分で掘り下げていけばいいし、娯楽作品としてギリギリな感じでそういうところを乗っけているところも、私個人は興味深く見ました。

 

そしてラストシーンのセットによるファンタジー感(これをファンタジーとして見れるか、どうなってるんだと突っ込むかだと後者の方が多いと思うけれど・・・)と、ジェシーの告白のかわいらしさと、それを受けるヒロインの義務から解かれて羽ばたくような感じは、セットとともに開放感があって、すごく幸せに見終わりました。まあそういう観客もいたよ、ということです。

 

で、ショーです。

Takarazuka Spectacular
『PHOENIX RISING(フェニックス・ライジング)』
-IN THE MOONLIGHT-
作・演出/野口 幸作

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それこそ前雪組トップスターの彩風咲奈さんがWOWWOWのインタビューで

組が違えばまったく作品も変わってきますし、ショーを手掛ける先生とその組のコラボレーションも見どころのひとつだと思う

とおっしゃっていたのですが、作品自体はここ数年の野口先生のパターンを全部詰め込んだショーだったと思いました。

さらに組長さんはじめ上級生5人くらいが歌って降りてくる鳳月さんを迎えたり、「月空をはばたく」的な歌詞をはじめ、鳳月さんのトップスターお披露目を十二分に感じさせて楽しかったし、鳳月さん、天紫さんともにダンスショースターっぷりも堪能できました。そして噂の「オダチン・カーン」も楽しかった!さすが風間さん!

お芝居ではちょっと蔑ろにされてた感のあった彩みちるさんも、ちゃんと別格娘役扱いされていたのも嬉しかったです。

なのに途中で疲れてしまったのが我ながら不思議です。一回内幕閉じて、そこから再度ミラーボールが回りタイトルバックが出たときは、まだあるのか、そうかまだ後半の大階段見てないな、でももうお腹いっぱい・・・みたいな状態になってしまったのです。

まあでも中近東からアジア中心にめくるめくシーンと、さまざまな国のお衣装を見るのは楽しかったし、娘役さんもシーンシーンで大事に使われていたし、誰が見てもそれなりに楽しいショーなんじゃないかなと思います。

で、多分、月組では初なのかな、な野口先生ショー恒例の持ち物持ったみんなで踊りましょうシーン、今回の持ち物はポンポンスティックでした。

shop.tca-pictures.net

持って一緒に踊る派、買わないけど手だけで踊る派、ひたすら見る派、客席降りしてくる出演者を見つめる派等々、それぞれ楽しみ方はあるかと思いますが、私は今回は「買わないけど手だけで踊る派」として楽しみましたので、一応振付動画を置いておきます。

youtu.be

「ODYSSEY」、「ENCHANTEMENT」、「FROZEN HOLIDAY」、「ALL BY MYSELF」で慣らされてきたので、だいたい一回で踊れるようになってた自分がちょっと怖かったです。。。

でも月組ファンではじめてこういうのがあるショーに当たったって方はよろしければ、試してみてください。割と楽しいですよ。

英語から日本語への難しさ@劇団四季「WICKED」

11/16(土)17:30~ @大阪四季劇場

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ハービスPLAZA ENTの7階にあるこの劇場。もちろん普通に大阪在住の民としてハービスPLAZA ENT自体には何度も行ったことがあるのですが、劇場内に入るのは初めてでした。なぜかというと、だいたいここでかかっているのがディズニーミュージカルか「オペラ座の怪人」で、「リトル・マーメイド」以外は既に見たことのある作品だったからです。

そして今回の「WICKED」ですが、これも実は初演を見ています。

stok0101.hatenablog.com

でも再演までこんなに月日が経つとは思っていませんでした。東京で先行して再演がはじまった時は遠征しようかと思うほど好きな作品だったので、大阪でも再演されるのは大変嬉しかったです。

何よりハービスPLAZA ENTはエレベーターやエスカレーターに古い時計をモチーフにしたデザインが施されているので(詳しくはこちらをどうぞ)、「WICKED」の世界観にぴったりで、7階にある劇場もたいてい簡素な四季の劇場とは思えないほどのラグジュアリー感に素晴らしいセットがものすごく合っていました!

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そんなわけでキャスト表です。

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スティーブン・シュワルツの珠玉の曲たちと、豪華なセットに衣装は改めて見ると「これぞグランドミュージカル!」とそれだけで感動します。これほどの潤沢な製作費をかけて作れるブロードウェイってすごいなあとしみじみ思いました。

しかし2004年のトニー賞ミュージカル作品賞は低予算なパペットミュージカル「アベニューQ」だったことを思うと、本当に当時のブロードウェイのなんというか作品の多様さに唸ってしまいます。だって「アベニューQ」も本当に素晴らしい作品なんです。愛していると言っていいほど大好きで、こちらもずっと来日公演の再演を待っているんですが...いや、待っています、いつまでも!

 

で、WICKED再演なんですが、初演の短い感想と同じような感じで終わりました。

いや楽しかったんですよ!四季だから当たり前かもしれませんが、皆さん歌が本当にお上手だし、活舌もしっかりしているからセリフもクリアすぎるほどクリアに聞き取れる。

でもグリンダの「記号的かわいさ」以外にも何かが足りない・・・と思ってしまうのです。

何度も何度も見たこのトニー賞の映像や


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何度も何度も聴いたオリジナルキャストのCDから感じられる

WICKED (BROADWAYS MUSICAL

WICKED (BROADWAYS MUSICAL

  • アーティスト:OBC
  • Decca *cl*
Amazon

(CDの時代ではないので、一応配信サントラもリンクしておきます。Amazon music、Apple music、Sportify、You Tube)

グリンダとエルファバの盟友感が、劇団四季バージョンでは希薄に見えてしまっているように思うのです。

たぶん初演を見たときも同じように感じたからこそ「四季から版権を借りて、ソニンのエルファバ、神田沙也加のグリンダが見たい」とずっと言い続けていた気がします。

でも今回、再演で多分みんな大好きな「Defying Gravity(自由を求めて)」のシーンを見ながら、グリンダが「空飛ぶほうき」から手を放して歌うところで「あれ、ここ、めちゃくちゃ感動するポイントなのに、なんでグリンダがこの判断を下したのか分からないように見える」と戸惑ってしまったんです。

(しかし戸惑わせても感動させてくるここは本当に大迫力の素晴らしいシーンなので、ミュージカル好きの方は全員見てほしいです!)

その理由を考えると、四季独特の発声法や演技のせいではなくて、英語歌詞に対して、日本語訳の情報が少なすぎるせいじゃないだろうか、という結論に至りました。

エルファバが「悪い魔女」とされてしまった後がトニー賞で披露された動画のシーンに続くのですが、ここに行くまでの二人の言い争いの部分の英語はこうなっています。

(ちなみに英語歌詞の日本語はわたしのなんとなくの直訳なので間違っていたらすみません。)

英語歌詞

GLINDA
(spoken) Elphie - why couldn't you have stayed calm for once, instead of flying off the handle!(エルフィー、どうして一度くらい冷静でいられないの!すぐカッとなって)

I hope you're happy!(ハッピーよね!)
I hope you're happy now(今、あなた、ハッピーだよね)
I hope you're happy how you hurt your cause forever(ずっと願っていたことを自分で永遠に台無しにしてもハッピーって思えるよね)
I hope you think you're clever!(自分が賢いって思ってるよね)

ELPHABA
I hope you're happy(ハッピーだよね)
I hope you're happy, too(あなたもハッピーだよね)
I hope you're proud how you would grovel in submission
To feed your own ambition(あなたの野望が満たされるなら彼らの言いなりになってもいいのね)

BOTH
So though I can't imagine how(なんでこうなったか分からないの)
I hope you're happy right now(今この瞬間もあなたはハッピーなんだよね)

 

ここの日本語歌詞はこうでした。

四季版日本語歌詞

グリンダ
エルフィー、落ち着きなさいよ!
いい加減にして!


もういやよ!我慢できない
自分が何をやっているのか
分かっているの?

エルファバ
あなたにはもううんざり
バカにしているの
イライラする 身勝手な人

2人
あなたとこれ以上
話してもムダ

 

まあ言い争いをしていることは同じです。ここからエルファバはどんどん覚醒していき、グリンダもエルファバの言葉に心動かされるのですが、一緒に歌いながら握った「空飛ぶほうき」から手を放してしまいます。

そこから続くのが下記の部分です。この英語が喧嘩部分とほぼ同じ言葉を使っているのに「are」がなくなるだけで違うニュアンスになるの、うまくてずるい。

英語歌詞

ELPHABA
Well,are you coming?(あなたも来ない?)

GLINDA
I hope you happy(幸せになってほしいの)
Now that you're choosing this(あなたが今、選んだ道だから)

ELPHABA
you too(あなたも)
I hope it brings you bliss(この決断が本物の幸せをもたらしますように)

BOTH
I really hope you get it(本当に望みをつかみますように)
And you don't live to regret it(そしてこのことを後悔しないように)
I hope you're happy in the end(最後にはあなたが幸せになりますように)
I hope you happy my friend(あなたに幸せになってほしい、友達だから)

 

この英語の強みを活かした歌詞を日本語にするのは、本当に難しいのがよく分かる日本語版が下記です。

四季版日本語歌詞

エルファバ
グリンダ?一緒に来てくれないの?

グリンダ
後悔はしてないのね

エルファバ
あなたこそ
これでいいのね

2人
この先のこと 
分からないけど
選んだ道だから
悔やまない 決して

 

と、こんな風に「2人の友情」というよりも「2人のそれぞれ決意」が全面に出てしまっているのです。そのため2人がお互いに「それぞれの選択を後悔せず、幸せになってほしい」と思っていることが非常に伝わりにくい。

(このシーンについては、こちらの訳付き動画がすごくわかりやすいので、リンクしておきます。

ちなみに2006年から約5年間、ユニバーサルスタジオジャパンのショーとして上演されていたバージョンでは、英語と日本語まぜこぜではあるのですが、後半のグリンダの「I hope you happy Now that you're choosing this」は「祈ってる ただ幸せを」と歌われていました。この言葉が入るだけでも印象は違うと思うのですが、いかがでしょうか。 )

そんなわけで、二幕も幕開きのグリンダが全然エルファバのことを気にしていないように見えなくもないのが残念で、かつ時々会う2人が相変わらず言い争いをするのにハグしたり、かばったりするのが、ちょっと不自然に見えてしまう。

まあ二幕はフィエロのことがあるので、2人の諍いや感情は分かりやすくはなるのですが、本当はその前に「友情」があることが見えづらいのです。

だからこそ最後にたどり着く、これも絶対みんな大好きな「For Good」も、エルファバが、自分の全てを知っているグリンダだからこそ「託す」ことが説明されず、なんでかただただ「あなたはわたしを変えてくれた大切な友達、ずっと忘れない」的なことだけが歌われて、ううーむとなってしまったのだな、と思いました。

 

ということで今回の観劇の結論がどこに向かうかというと、

来年、2025年春日本公開予定の映画版をめちゃくちゃ楽しみにしてます!

なんです、本当にすみません・・・。

英語の歌詞をプロの翻訳家さんが作りあげた字幕で見ながら味わえる、それだけでも嬉しい。

その上でエルファバ、2016年のトニー賞で主演女優賞を獲り、圧巻の歌声を披露したシンシア・エリヴォですよ。


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グリンダ、MIKAとWICKEDの「POPULAR」をアレンジした「Popular Song」とかまで歌っているアリアナ・グランデですよ!


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ああ楽しみ!


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ところで大阪での再演が来年7月までのロングランが決まっているからこそ、個人的に四季の舞台版にお願いしたいなと思うのは、グリンダ役に「かわいいコミカルムービング」を徹底的に細かく演出し、かつ専属のヘアメイクアーティストを付けること、だったりします。

なぜならグリンダの「記号的かわいさ」は、エルファバの「記号的な異物感」に対峙するものとして私個人は重要だと思うからです。そしてそれはキラキラの衣装や金髪のカツラだけではまかなえないと思うんです。

舞台である限り、本当にかわいいルックスというのは必要じゃないけれど、顔が見えない二階の観客まで、グリンダには「誰からも愛される魅力」があるのだ、ということがちゃんと届く動き方とヘアスタイル、メイク、衣装の着こなしはほしい。そして四季の場合「どのキャストでも差がなくいい舞台を魅せる」というのが劇団の目標としているところだと認識しているので、歌声と同じくらいルックスも必要なものとして、個人努力じゃなくスタッフ側で完璧に整えてほしいなと思います。(中山理沙さんの歌はちょっとアニメっぽいかわいさで、それはグリンダとしてとってもよかったんです。なのでやっぱりその他を欲張りたくなるのです、すみません)

せめて「POPULAR」はグリンダの「かわいいコミカルさ」が満ちあふれたシーンになってほしい。

足バタバタさせたり、エルファバにギュッとする仕草もわざと拙い踊りも、コミカルでかわいく見えてほしい。


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前半早い目の見どころシーンってここだと思うので、進化してくれることを今からでも期待しています。

梅芸観劇に「中津駅」利用のススメ@おと文

Osaka Metro御堂筋線に「中津駅」という駅があるのをご存じでしょうか。

古くは「花ざかりの君たちへ」が

関西圏の駅名をキャラクターの名前にしているということで、一瞬「中津」の知名度があがったことがあったような気がするのですが、大阪に住んでいてもあんまり利用せず、かつ割と嫌われている駅、それが「中津駅」な気がします。

嫌われている理由はこちら(3:30~)をどうぞ↓↓↓


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しかし私は「梅田芸術劇場」が「飛天」時代から中津駅を愛用していました。

なぜならOsaka Metro御堂筋線「梅田駅」から微妙に遠い!そして「梅田駅」の混雑とは一転して「中津駅」はめちゃくちゃ空いていて快適、だからです。

ここで「梅田芸術劇場」と大阪・梅田駅周辺の位置関係を見てみましょう。

大阪梅田駅周辺MAP

阪急電車の利用者以外にはなかなか不便な立地に「梅田芸術劇場」があるのがお分かりでしょうか?

(なんなら東梅田駅より中崎町駅の方が近いような気さえします。そんな訳で谷町線の時は中崎町駅から梅芸まで歩くことが多いです)

とりわけ新幹線で梅田芸術劇場まで遠征される方は、恐らくJRチケットの関係で「大阪駅」まで来られる方が多いのかなと想像しますが、大阪駅の混雑をかき分けての移動を考えたら、2駅分の電車賃を払ってでも「新大阪駅」で御堂筋線に乗り換えて「中津駅」で降りられることをおススメしたいです。

 

でも・・・中津駅周辺って観劇前に軽くご飯食べたり、マチソワ間の休憩ができるところがなさそう・・・という方向けに現在(2024年11月15日)の中津駅周辺の個人的な使えるお店をお届けできたら幸いです。

ランチMAP

A.マチソワ間の休憩・12時開演前の腹ごしらえに

①メトロカフェ カラト 中津店(METRO CAFE KARATO)

大阪市北区豊崎3-15-16 TENZAN&UENO BLDG 1F

Osaka Metro 御堂筋線 中津駅 1号出口より徒歩約3分、梅田芸術劇場まで直線距離で徒歩約5分

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10:00~21:00の通し営業で、軽食からお茶、軽く1杯までなんでも使えます。

店内は広くゆったりしていて、クッションのあるイスなのもポイントが高いです。そしてダマンフレールのお茶が取り揃えられているので、紅茶党に嬉しいお店です。

難点は値段がちょっとお高めってところでしょうか。

 

â‘¡cafe&grocery B*HONEY

大阪市北区豊崎3-20-20

Osaka Metro 御堂筋線 中津駅 4号出口より徒歩すぐ、梅田芸術劇場まで徒歩約5~6分

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「ピアスタワー」のすぐ隣なので、場所が分かりやすいのがいいですね。

10:00~20:00の通し営業で、こちらも軽食、ランチ、お茶、軽く1杯までなんでも使えます。お店の広さはほどほど。席によってはゆったりできるところとそうでない場所がありますが、お値段はそこそこリーズナブルで、ここでしか食べられない、飲めないフード&ドリンクが魅力です。

「茶屋町のビルで採れたハチミツを使ったメニュー」がコンセプトで、バリエーションに富んだフィナンシェは「茶屋町でしか買えないお土産」にもピッタリ。

そして酒飲みとして、個人的にはデザートセットの中にある「ワインペアリングセット」2,200円を一度試してみたいです。

ただ最大の難点は「日曜日が定休日」なんですよね・・・。

 

B.開演前のサクッとランチ、腹ごしらえに

â‘¢French Wine Bar un demi

大阪市北区中津1-6-31
Osaka Metro 御堂筋線 中津駅5番出口から徒歩20秒、梅田芸術劇場まで徒歩約5~6分

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「なか卯」の3軒隣にあります。もっとサクッと食べたい方は「なか卯」へどうぞ💦

昼営業は11:00~14:00まで。ランチメニューは5種類。サラダやスープ、飲み物つけても1,500円あれば十分なのが嬉しい。パスタだけなら900円で食べられます。メニューが限られている分、提供もスムーズなので開店すぐに入れば、12時開演に十分間に合うのでは?と思います。

このお店は夜がメインのようなので、一度夜利用もしてみたいと思っています。

 

④メンヤ ニュークラシック 中津店

大阪市北区中津1-5-1
Osaka Metro 御堂筋線 中津駅5番出口から徒歩2分、梅田芸術劇場まで徒歩約5~6分

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「un demi」さんの裏っかわくらいのラーメン屋さんです。

昼営業は11:00~15:00まで。

意外に中津、ラーメン激戦区で整理券がいったり、行列ができたりするラーメン屋さんが多いのですが、その激戦区から少し外れているからか、比較的入りやすいお店です。

そして店内清潔でシンプルさりげなくおしゃれで、券売機対応だけど店員さんたちは丁寧で親切なのが押しポイント。スープは煮干し系であっさり美味しいので、早めのランチでもイケると思っています。

 

C.13時公演の時のサクッとランチ、腹ごしらえに

⑤SAPPORO SOUP CURRY JACK 中津店
大阪市北区中津1-2 共栄ファイブビル 1F
Osaka Metro 御堂筋線 中津駅5番出口から徒歩約1分、梅田芸術劇場まで徒歩約5~6分

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un demiさんよりもう少し梅芸よりにあるスープカレーのお店です。

昼営業は11:30~15:00。中津はスパイスカレー激戦区でもあったりします。その中でスパイス感よりも出汁重視の優しいスープカレーは万人に受けている気がします。

ただお店が少し手狭なのと時間によっては提供まで時間がかかるので、開店すぐがねらい目だと思います。

 

⑥アイリッシュ カレー 中津店(IRISH CURRY)
大阪市北区豊崎3-6-11 エイトビル1F

Osaka Metro 御堂筋線 中津駅3番出口から徒歩約3分、梅田芸術劇場まで徒歩約10分

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もうせっかく中津まで来たならぜひ食べていただきたいのがここのカレーです!

昼営業は11:30~14:30。でもルーが売切れたらそこで終了なので、早めに行きましょう!開店すぐがおススメ。中津近郊の働き人、老若男女問わず人気のお店です。現金のみの先払い式で外観も内装も「ザ・アイリッシュパブ」。店内はカウンターのみなので回転は速いです。

欧風カレーなのですが、ここでしか食べられない味の美味しいルゥが最高です。ルゥだけのアイリッシュカレーも、フィッシュ&チップスのフィッシュが乗ったカレーも美味しいけれど、個人的にはギネスで煮込んだ豚肉がたっぷり乗ったポークカレーが大好きです!しかもここはちゃんと「ライス」も美味しい!

本当におススメなのですが、ここも最大の難点は「日曜日が定休日」なんです・・・。

【11/18追記】

11月15日の夜にアイリッシュカレーが入っているビルが火災になり、停電のため当面休業されるようです。(施設自体は無事だったという情報を得ています)

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そんなわけで再開はインスタ(ID→@irishcurry2008)でお知らせされるかと思いますので、チェックしてみてください。

個人的にも早めの再開を心待ちにしています!

 

⑦スパイスカレーまるせ
大阪市北区中津1-11-28

Osaka Metro 御堂筋線 中津駅2番出口から徒歩約1分、梅田芸術劇場まで徒歩約10分

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中津のスパイスカレーといえばここ!くらいの有名店です。

昼営業は11:30~15:00。場所が若干わかりにくいのですが、長屋を改装したお店は雰囲気もあるし、身体にいい美味しいカレーが食べられます。

そしてここももれなく人気店です。なので、開店早めに行かれるのがおススメ。

 

D.観劇前のゆったりしっかりランチに

⑧RISTORANTE M
大阪市北区豊崎3-17-10 MAKビル 1F
Osaka Metro 御堂筋線 中津駅4番出口から徒歩1分、梅田芸術劇場まで徒歩約5~6分

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①の「B*HONEY」さん近くのイタリアンレストランなんですが、金・土・日・祝限定で11:30~14:30までランチ営業されています。

軽く1杯ワイン飲みながらゆったりランチされるなら、ここが1番かと思います。

ただお値段もそこそこします。2,000~3,000円くらいかな?

店内もこぢんまり、なんですがとにかくシンプルきれいでゆったりできるのが嬉しい。

かつ夜は気軽に行ける値段じゃないので、ランチのお得感はあるかな、と思っています。

ただいつまでランチ営業してくださるかは不明・・・。

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⑨BELLA PORTO(ベラポルト)

大阪市北区豊崎3-6-13
Osaka Metro 御堂筋線 中津駅3番出口から徒歩約3分、梅田芸術劇場まで徒歩約10分

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⑥のアイリッシュカレーさんの2軒くらい隣にあるオーガニックレストランです。

ランチ営業は11:30~15:00。コース料理のみの対応なので、本当にゆったりで、身体にいいもの食べて贅沢して元気になって見るぞ!という日におススメします。

有機野菜たっぷり取れて、メインのお肉もお魚もヘルシーで美味しいので満足度は高いです。1軒家レストランで、店員さんのサービスもしっかりしています。

ここは逆に16時公演とかの時に、13時頃から利用するのがいいお店かなと思います。

お値段はリンクの「食べログ」から確認してください。贅沢したい日に、どうぞ!

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E.いろいろ使える茶屋町のお店

⑩鶏と点心と町中華
大阪市北区茶屋町13-10

Osaka Metro 御堂筋線 中津駅4番出口から徒歩約10分、梅田芸術劇場まで徒歩約1分

tabelog.com

ここ、意外と穴場だと思うのでご紹介しておきます。

平日の昼営業11:00~15:00、夜営業16:00~23:00。

土日祝は11:00~23:00の通し営業です。

梅芸横のスタバの真向かいの「ファミマ」とか「串かつだるま」とか並んでいる辺りの、4階に歯医者さんが入っているビルと1階に現在「2nd Street」が入っているビルの隙間を抜けたら目の前なんですよ!

なので本当にどの時間の公演でも使えるお店だと思います。

点心かわいいし、リーズナブル。ここも長屋を改装したのかな?な流行のレトロかわいいお店です。ちょっと狭いけれど、梅芸への近さと安心感は抜群です。予約もできるみたいなので、興味のある方は予約して行かれるとより安心かもしれないです。

 

で、観劇後のお店も紹介したいのですが、さすがにそれは中津でなくってもいいだろう、というのと、ディナーの方はそこまで中津で行っていないというのもあって、とりあえずランチ、カフェ使いに絞ってご紹介してみました。

役立つかどうか分かりませんが、一応、わたしのインスタも置いておきます。

 

ご紹介したお店は全部行っていますので、食事内容とかの参考になれば嬉しいです.

 

www.instagram.com

エンタメ映画はショーになっても楽しい@ミュージカル「9 to 5」

10/26(土)17:00~ @オリックス劇場

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スタッフ

音楽/歌詞 ドリー・パートン
脚本 パトリシア・レズニック
翻訳/訳詞/演出 上田一豪
振付/藤林美沙、ZoooM
美術/石原敬
衣裳/十川ヒロコ
ヘアメイク/井上京子

キャスト

ヴァイオレット 明日海りお
ドラリー 平野綾
ジュディ 和希そら
フランクリン 別所哲也
ロズ 飯野めぐみ
ジョー 内海啓貴

原作映画はこちら。

たまたま数年前に楽しく見ていたのですが、まさかミュージカルになっているとは思いませんでした。いや物語は単純明快で、1970年代のアメリカの大企業に勤める女性たちが、社長のモラハラ&セクハラに、あるきっかけがあって仕返しして団大円という、めちゃくちゃスカッとする作品なんです。だから考えたら確かにミュージカルにも向いているし、とても楽しい良作でした。

映画は日本では1981年の公開、ミュージカルは2009年にブロードウェイで上演されています。でもトニー賞はノミネート(音楽、振付、主演女優賞、助演男優賞)のみで受賞していないのは運もあるかなと思いました。2009年の振付、助演男優賞は「ビリー・エリオット」、音楽と主演女優賞は「Next to Normal」と、つよつよな2作品に囲まれて、これは仕方ないよなと思います。

でもこの2つの作品にはない「振り切った楽しさ」がこの作品にはありました。

 

今回オリックス劇場のほぼ天辺からの観劇だったので、はじまった頃は音がかなり小さくて、この辺の席になると音楽も遠いのね・・・と思ったのですが、特に2部は全く音が気にならなくなったので、その辺の調整ができてなかったのは残念だなと思います。

というのも、主演クラスもアンサンブルも歌が上手い!

そして作品の途中で主役3人がラリって幻覚を見るシーンがあるのですが、これをショー仕立てにしているところが特にミュージカルにする醍醐味感があって面白く、めちゃくちゃ楽しく見たので、ちゃんと音響の整った環境で見たらもっと迫力あったんだろうなあと思うとちょっと残念です。

 

映画では新人社員のジュディが主役なんですが、ミュージカル版はベテラン社員のヴァイオレットが主役になっていて、なのでなのか、ヴァイオレットに恋する男性ジョーが出てきます。まあこれはいなくてもよかったかな、とは個人的に思いました。いや、ジョーの内海さんは可愛らしくて上手でステキだったのですが、この作品の一番の見どころって、今も続く差別や会社環境への「女たちの逆襲」だと思うのです。

なのでそこにフォーカスして、前半のテンポとかをもっとあげた方が、もっと気楽に楽しく見られたのかなと思うとちょっと惜しい気がしたんですよね。

歌は皆さん上手なのでソロ曲も聞かせてくれるのですが、やっぱりアンサンブルが入ったとしてもソロパートだけが続くとどうしても飽きがでてくる。そして何よりヴァイオレットの恋愛よりも、ヴァイオレットの改革の方が個人的には見たい!主役にするというのは恋愛の相手を作るということではないと思うのです。むしろ性格も状況も立場も全然違う女3人がわちゃわちゃしているところが個人的には1番楽しかったので、そっちを増やしてほしかった。ので改革パートももっとショー仕立てで、3人が活躍してどんどん変わっていく様子をセット以外でも見たかった!でも、もともとのブロードウェイ版がそうなっているので仕方ないところですね、惜しい!

 

そしてセットなんですが、めちゃくちゃ工夫されていたのに、書類棚だけなんで変に三角セットに合わせて斜めにしちゃったんでしょうか。いや他のセットも斜めになっているとか、そうすることですごく高く見えるとかならアリだと思うのですが、微妙にポイントにもなるセットでもあるので、そんなところを変にして強調しなくてもなと思ってしまいました。

 

となんかマイナスな印象ばかり先に書いてしまったのですが、個人的にはこういう女子たちが、私たちに身近な差別に対して協力しあってがんばってやっつけてくれるエンターテイメント感満載の楽しい作品は大好きで、その魅力をキャストたちが倍増して伝えてくれて、大満足の観劇でした。

明日海ヴァイオレットはバリバリのキャリアウーマン感がないのが逆にいいなと思いました。最初明らかに全く仕事ができないジュディに対しても優しくて、明日海さんの柔らかさがいい意味で活きた役だと思います。その中でも幻覚シーンの白雪姫は絶品!このフェアリー感、明日海さんの醍醐味だと思いましたね。

二幕の「One of the Boys」のショーシーンの真ん中力はさすがでしたしね。

飛びぬけてはないけれど、普通に歌えて踊れるスキルは大事。

 

平野綾さんのドラリー、かっこいい!見た目は本当歌詞通り「バービー」なのに、性格も行動もかっこよくて、そこにあのパンチ力のある歌声が重なると3人の中で一番の無敵感が出ていたのもよき。だからこそ幻覚シーン以外にヘアスタイルチェンジがなかったのが残念でした。ブロンドの髪をなびかせて、颯爽と立ち回る平野ドラリーも見たかったです、ヘアメイクさん!

そして和希そらジュディですよ。私は初めて舞台で和希そらを見たのが「アナスタシア」のリリーだったので、まあこういう役だって上手いのは知っていましたが、最初のいかにも田舎からでてきたコンサバファッションが色んな意味で衝撃でした。でもおどどおどとした歌い始めからその歌の上手さと演技力を実感。そして幻覚シーンの格好良さ、ちょっとした振りでも見える踊りの抜け感。さらに二幕の「Get Out and Stay Out」は圧巻でした。

何よりこの3人のハーモニーがいい!さらに飯野さんのロズも上手い!

これだけで満足してしまえるくらいなのに、フランクリンが別所さんってどういう贅沢ですか、というキャスティングに拍手したいです。

もう別所さんのフランクリンがステロタイプなはずなのに、ものすごくナチュラルで「いるよねー」なリアル感と、それを鼻につかせないファンタジー感を普通に醸し出しているのが本当にすごい!

特に一幕最後と二幕途中までは相当肉体的に大変な状況に置かれているのに、そこで遊んでしまえる余裕さがかわいらしさも感じさせるあたり、本当に上手いんですよ。

 

ところで最後のフランクリンのオチなんですが、映画版はブラジルだったところがボリビアに変わっていたとの指摘を見かけました。最終的なオチは映画も同じだった気がするのですが国名までは覚えてなかったため、WEBで英語の脚本を探してみたのですが、それも「ボリビア」になっていてセリフは「Franklin Hart was abducted by an angry tribe of Amazonian warriors」でした。これをこのまま訳して、二度と見つからなかった、なら別にそこまで問題ないとわたし個人は思っています。調べたところボリビアは多民族国家だし、アマゾン川流域に独自の文化を持つ民族もいるかもしれない。そこで行方知れずになるのは、フランクリンが怒らせるくらい失礼なことをしたのだろうな、としか思えないし、生麦事件的な、国際社会に関わりを持たないその民族なりのルールはあるでしょう。そしてもしかしたらフランクリンは出会ったアマゾンの戦士たちと仲良くなって永住の地と決めたのかもしれない、くらいはお花畑脳で考えられるので、どうして差別的に聞こえる見た目の描写を入れたのかな、とは思います。WEBで見つけた脚本が勝手に上演するためにカットしてあるものの可能性は多いにあるので、公式にそういう変更の交渉というのをブロードウェイミュージカルでできるのかというのを知りたいです。

 

このオチ部分をもし変えられたなら、もっといい気楽な娯楽作になりえると思うので、ぜひとも再演もお待ちしたいと思います。そしてその時には和希そらヴァイオレットの「One of the Boys」を見たいなと思いました。

明日海さんは過不足なく踊れるし何よりスター感があります。でもあのシーンを和希そらは「魅せられる」ダンスシーンにできると思うので、それをぜひ見てみたい。

まあヴァイオレットでなくてもいいので、ダンスも堪能できる作品への出演も早めにお願いしたいところです。より、was abducted by an angry tribe of Amazonian warriors ry tribe of Amazonian warriors