ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

2017年の振り返りと2018年のロードマップ

はじめに

今年も恒例、これまでの活動を振り返ります。去年2017年には、振り返りをできていませんでした。



2年前:2015年の振り返り(2016/01/02)

3年前:2014年の振り返り(2015/01/01)

4年前:2013年の振り返り(2014/01/01)

5年前:2012年の振り返り(2013/01/01)


出来た事

1. 『日本のメイドカルチャー史』出版

ここ数年、振り返りに記していた最大級の課題が「日本のメイドブームに関する本を作る事」でした。それをようやく、2017年に『日本のメイドカルチャー史』を星海社から出版する事で実現できました。



英国メイド研究から始まった私の研究活動が、様々なきっかけで「メイド研究」へと広がったここ数年の成果物として、日本のメイドブームを理解する上でもまとまった先行研究を作れたと思います。ただ、これは始まりの足場で、「メイドカルチャー全史」へ近づけるように、様々な人の言葉を集めていくのが次の課題です。


2. 『名探偵ポワロ』の同人誌を初めて作る&理想に近い同人誌

今年のほとんどの時間は出版の準備に使っていました。その出版が終わった後、ゆっくり休む予定が、コミケに申し込んでいたために、同人誌を作る必要がありました。申し込んだ時は『日本のメイドカルチャー史』を補完する内容で、裏話的なものを書こうと思っていたのですが、いざ作ろうと思った時、作りたいと思えたのは『名探偵ポワロ』の同人誌でした。



冬コミ新刊『名探偵ポワロ』が出会った「働く人たち」ガイド 上巻



元々、同人サークル「制服学部メイドさん学科」の同人誌で公開されていた、ドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』に登場したメイドリストに刺激を受けて、2年前から資料の整備・準備を行っていたものですが、当時はリストだけのはずでした。しかし、ウメグラさんに参加いただく中で豊富な挿絵がある、ポワロの研究同人誌の企画へと生まれ変わりました。


得られた事

1. 『日本のメイドカルチャー史』出版時に武内崇さんのメイドイラストを帯に描いていただける

繰り返しとなりますが、私が大ファンの武内崇さんに、『日本のメイドカルチャー史』の帯に、「メイドのイラスト」を描いていただけました。オリジナルのメイドと、代表作となる『月姫』から「翡翠と琥珀」です。





2017年はTYPE-MOONの公式サイトで、お正月に武内様の絵によるメイドセイバーの年賀状が公開されたり、8月にはメイド・オルタがFGOで実装されたり、明確に「武内さんとメイド」に関するトレンドが間近に感じられました。



人生で最大級の出来事でした。


2. NHKのラジオに呼ばれて壇蜜さんにお会いする

「メイドを知りたい」ということで、お声がけいただきました。詳細はNHKラジオ第1『DJ壇蜜のSM( Selected Music)』vol.2 8/17放送 21:05-21:55にメイド解説で出演予定に記載しました。



渋谷のNHKのスタジオに初めて入り、壇蜜さんのお隣に座り、反対側に番組ディレクターの方、そして壇蜜さんの向かいにNHKの高市アナウンサーがいらっしゃいました。壇蜜さんがアンミラでのバイト経験があること、かなり「デ・ジ・キャラット」に詳しかったことなど、メイドブームへと繋がる接点に驚きました。



メイド研究をしていたら、2011年には水樹奈々さんに、2017年には壇蜜さんにお会いできました。メイド研究の可能性を感じ入る次第です。


2018年の抱負

冬コミ配布のペーパーに書きましたことを、少し膨らませつつ。時間はかかるものの、だいたい有言実行なので、きちんと形にしていく準備をしていきます。

執事本の出版 from 星海社(進捗:10%)

3冊目の本の出版が決まりました。『日本のメイドカルチャー史』を書いていた時に、同時期の執事ブームについても調べていました。ただ、メイドがメインだったのでバランスが崩れることと、調査不足の観点から掲載を見合わせました。その切り離したテーマが面白いということにて、星海社から出版の提案を受け、新書で作ることになりました。



『日本のメイドカルチャー史』と似たコンテクストを持ちつつ、異なる切り口で書きます。


メイドアワードの創設(進捗:まだ見えていない)

メイド作品を追いかけるのが物理的に無理な段階になったので、作品を表彰するアワードを創設して、メイド作品が集まる仕組みを作る。アワード自体は読者投票も取り入れる。



・主演メイド作品賞:メイドが主役の作品

・助演メイド作品賞:主役ではないメイドがいる作品

・ピンポイントメイド作品賞:単発でのメイド出演

・メイド喫茶賞:作品内で出てくるメイド喫茶の描写からの表彰

・殿堂入り作品賞:『エマ』『シャーリー』『まほろまてぃっく』など

・新作品賞:その年に連載を開始、発売した作品のみ限定(続刊がその年に出ても対象外)

・審査員各賞



賞金は、私の自腹です。


メイドライブラリー公開(進捗:交渉中)

メイドブーム研究の時に集めた資料(漫画やラノベが大半。秋葉原系や、ゴスロリ関係の所有雑誌も含む)を公開できる場所を探しています。自分では読んでいない本が多くなっているので、死蔵させないためです。現在、興味を持ってくれている店舗があるので、話を詰めています。



※汚れてしまうことや紛失する可能性があることを前提に、超希少品は出せません。


インタビュー・対談(進捗:実施中)

当事者としてメイドブームを駆け抜けた方達に、話を伺う。話を聞いてみたいのはメイド喫茶の創業者、店員、表現者など様々にうかがいます。年明けに星海社の方で、1回目の対談が公開される予定です。


メイドコラムの寄稿の依頼(進捗:交渉中)

自分以外の詳しい人に、メイドブームの周辺領域を語っていただく計画を進めています。メイド喫茶全体、エロ漫画やニコニコ動画、pixiv、小説家になろうなどのCGMにおけるメイドの出現傾向など。既に周囲にお願いできそうな方が多いので、進行中で、3-4月に幾つか形をお見せできればと思っています。


同人誌即売会(進捗:交渉中)

メイドオンリーイベントを代表する「帝國メイド倶楽部」的なるものを考えています。以前、ちらっとつぶやいた時に、企画に興味を持った経験者の方からお声がけいただいたので、今、実現可能か相談しています。



メイド同人誌が読みたければ、メイド同人誌が集まる場を作れば良いのでは?との思いにて。



あと、個人的には、過去にメイドコスプレをされていた方に、その当時の衣装を着ていただきたいのです。日本のメイド服(コスプレ衣装)アーカイブということで、記念に残せないかと。100人ぐらい集まると素敵ですね(どんなお屋敷だろう……)


メイド喫茶とボコラボイベント(進捗:交渉中)

企画中です。公開できる段階になったら公開します(実施できるかは未定)。


ニュースサイトの創設(進捗:やる気が全て)

メイドアワードをやる前に、まずは企業が公開するメイドウェブ漫画作品などを集めてみたり、数万RTされるメイドイラストをアーカイブしたりと、メイドイメージにまつわる記録の散逸を防ぎつつ、メイドイメージへアクセスしやすい環境の整備を計画中です。


メイドメディアの創設(進捗:やる気が全て)

ここのみ、実現可能性やまだ何も見えていない「夢」です。ヴィクトリア朝をテーマとした創作メディアを作りたいです。創作プラットフォームを作り、メイド作品制作を大好きな作家の方たちに依頼してみたいです。


終わりに

これまでは基本的に「個人で完結する」ことがほとんどでした。今年は、「一緒に楽しんでいただける方」「私の活動と関連しそうな方」を巻き込みつつ、お力を借りながら、世界を広げていきます。



メイドブームを把握するには一人ではとても無理で、人の数だけ形もあります。できるだけ、後の人が研究しやすいように、何かを残していこうと思います。



それでは本年も宜しくお願いいたします。



お会いできる方はお会いできる時に。