読書感想文:『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 祈りの柩』/著・神永学

今回、読んだ作品はこちら!

 

『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 祈りの柩』著・神永学

 

心霊探偵八雲シリーズの外伝

『いつわりの樹』に引き続き舞台化されたものである

 

前回のいつわりの樹では

石井の過去を絡めた事件が起こり、

今作では、

後藤刑事の過去と因果がある

 

八雲の元に心霊現象の相談が持ち込まれ、

後藤刑事と石井の元に警察関係者のOBの孫から幽霊絡みの依頼が舞い込んできた

相談先は別々だが、きっかけとなった騒動は同一だ

複数の当事者が別々のところに相談したのだ

 

捜査を進める中で、

後藤刑事はかつての相棒、桐野と出会う

桐野はとある事件をきっかけに警察の仕事を辞め、牧師になったのだ

 

8年前、

二人がタッグを組んでいたころ、よく衝突していた

直情的な後藤刑事と理論的に淡々と証拠を突きつける桐野

方向性が正反対なのだ

現在の後藤刑事と八雲との関係性に近かったらしい

違うため衝突はあっても、

桐野は後藤刑事に嫌悪感は抱いていなかった

だが、後藤刑事は相容れないでいた

 

そして二人が追っていた事件の関係者として、とある人物を事情聴取していたときに、

二人が方向性で衝突し、そのスキに逃走

逃走の結果、車にひかれて亡くなったのだ

 

そのことを機に、

桐野は警察を辞め、後藤刑事は誰も目の前で死なせない、と信念を改めることにしたのだ

 

事件はそれで終わらなかった

亡くなった男には子供が二人いた

その子供たちが今回の事件の渦中の人物なのだ

 

それぞれ、家族、大切な人を奪われた復讐心、

信じるものとの葛藤、

いじめられたことへの復讐

様々な出来事、いろんな人の複雑な感情が絡み合う

 

後藤刑事の過去の事件や人間関係が明らかになるのは初めてかな

警察という職業柄、いろんな出来事、出会いはあるだろうが、

直情的で、まっすぐな後藤さんに、

暗い出来事があるとは思わなかった

普段は猪突猛進な後藤刑事も、

思い悩むことはあるんだな

考えることが苦手だが、想いにはまっすぐだ

警察、というしがらみしかない組織には合わないが、

誰かのために動く後藤刑事みたいな人はいてほしいと思う

八雲に言われてたが、思い悩む後藤刑事はらしくない

そんな軽口叩くのも信頼を寄せての𠮟咤激励なのもあるだろう

 

今回の事件の舞台の一つに教会があるのだが、

事件の一環とはいえ後藤刑事が教会に足を踏み入れるなんて、

想像するだけで、場違いにも程がある(笑)

 

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