極楽せきゅあブログ

ときどきセキュリティ

kafkaのマネジメントスタイルについて

ちょい前まで監訳で携わっていた本「犯罪捜査技術を活用したソフトウェア開発手法-フォレンジックアプローチによるソースコード分析」(原題:Your code as a crime scene: second edition: Use Forensic Techniques to Arrest Defects, Bottlenecks, and Bad Design in Your Programs, 著者:Adam Tornhill, Foreword by Kevlin Henney, Edited by Kelly Talbot, 翻訳:クイープ, 監訳:園田道夫)ですが、時間もあまり無い中けっこう読み込んでがんばりました(笑)。あまり無い視点でのコードベース分析、開発現場分析の手法で、見えていなかったものを可視化して生産性向上に寄与できる感が半端ないっす。
という宣伝なんですが(笑)、実はこの本の中でひとつだけ解説できていなかったフレーズがあります。本文13章にある以下の部分、

ある時点で、人員が 1 人増えるごとに全体の生産性が損なわれるようになります
余分に確保された時間は、人員の増加に伴って増える調整のニーズによって消費されてしまいます。やりすぎると、組織自体を管理すること以外、ほとんど何もできない組織ができあがります(いわゆる「Kafkaのマネジメントスタイル」です)。

カフカってあのフランツ・カフカのことか?マネジメントスタイルとはおよそそぐわない作風、時代背景だったような。なんでカフカなのか?
と思っていろいろ調べてみたら、検索で引っかかるのはapache kafkaばかり(笑)。wikipediaによれば、

このシステムの名称はフランツ・カフカに由来するが、クレプスはその理由として、Kafkaが「書くことに最適化されたシステム」であり、また彼がカフカの作品が好きだったためと語っている。

なのでこれもカフカかーと思いつつも、管理のための管理なんてやってるのか?そもそも何かの問題を解決するために作られたツールじゃないのか?と思いながら、じゃあどんなツール?システム?なの?と見てみると、

Apache Kafkaは、分散型イベントストアおよびストリーム処理プラットフォームである。Apacheソフトウェア財団が管理するオープンソースのシステムで、JavaとScalaを用いて実装されている。このプロジェクトは、リアルタイムのデータフィードを処理するための、統一された高スループット・低遅延のプラットフォームを提供することを目的としている。


とある。全然管理のための管理とかじゃないじゃろ。と思いながらやっぱ作家のフランツ・カフカに戻るべきか、と思いながらさらに調べを進めてみると、こんな書籍が出てきた。
https://www.e-elgar.com/shop/gbp/franz-kafka-and-the-truths-of-leadership-9781800379237.html
Franz Kafka and the Truths of Leadershipってそんな捉え方されるような作品書いてたっけ?まぁカフカって見直されてから研究多いしなぁ、などと思いながらとりあえず概要を読んでみると、

本書はまず、カフカの最もよく知られた6つの物語を用いて、オーセンティック・リーダーシップ、リレーショナル・リーダーシップ、トランスフォーメーショナル・リーダーシップなど、6つの著名なリーダーシップ・モデルを検証する。次にトムキンスは、これらの解釈が、良いリーダーシップと悪いリーダーシップの戦術について、特に真実のコミュニケーションとの関連において何を物語っているかを論じている。これは、時代を超えてリーダーシップに関連することであるが、特に、事実がしばしば虚構や空想に圧倒される「ポスト真実」の世界にとって重要である。

本書は、リーダーシップ、言語、言説、文学を研究する学者や学生たちに、現代文学を代表する作家の一人であるカフカについてユニークな視点を提供し、深い洞察を与えてくれる。カフカ・ファンを喜ばせ、デジタル時代における指導とミスリードの政治に関心を持つすべての人々にとって、啓発的な読書となるだろう。

と、ちょっとそれっぽいことが(なお翻訳はDeePLさん。あざまっす)。そういえば上記の謎フレーズが出てきた部分では、「遅れているプロジェクトにさらに人をかけると、コミュニケーション爆発が起きたりしてとても酷いことになる」というようなことを論旨としていたところだった。たしかにカフカの小説では「城」も「訴訟」も理不尽な目に遭って翻弄される主人公がディスコミュニケーションに振り回される様子が執拗に描かれているし、apache kafkaはそのハイパフォーマンスさから、

Kafkaの採用例として、Uberにおける乗客とドライバーのマッチング管理、ブリティッシュガスのスマートホームサービスにおけるリアルタイム分析および予知保全の提供、LinkedIn全体における多数のリアルタイムサービスの実行などがある。

という採用例があるとWikipediaで示されている。マネジメントスタイル?ってのもこのあたりの何かを指しているのかな?こらもう著者に直接聞かないとわからないなー、というところで時間切れとなりました(笑)。なんだ解決しないのかい(笑)!
ちなみに1ヶ月半くらいでガッツリ268個のコメント、修正案、注記案、監訳注案を提示した本書はこちらよりお求めいただけます(笑)。
https://www.yodobashi.com/product/100000009003879880/
https://www.amazon.co.jp/dp/4798071757/
https://tower.jp/item/6424758