1959 大森教会

・建物名称 大森教会(現存)

・建設場所 東京都大田区

・竣工時期 1959年

・資料類 「建築」1961年4月号

●竣工時写真(RIA所蔵)

●写真(2009年9月 伊達撮影)

●平面図と詳細図(「新建築」1961年4月号から引用)

・解説・論評・資料

●ある教会 近藤正一 三輪正弘 (「建築」1961年4月号から引用)

大正11年に設立されたプロテスタント教会は、密集した住宅地の中にあって、幸にも戦災を免れていた。戦後はしだいに信者の数も増え、日曜学校のクラスルームを増設する必要に迫られるようになったのが、4~5年前のことであった。

計画の最初は、この日曜学校の増築から始められた。しかし、なにせ木造の礼拝堂も手狭な上、多くの年月によってかなり傷んだものになっていたため、この補修と増築もぜひ必要であった。ここで古い礼拝堂を日曜学校に転用し、新しい礼拝堂を思い切って作るほうがより効果的なことに気づいて、この方針で計画が進められた。

それから1年、基金募集が行なわれ、34年に建設に着手した。古い礼拝堂は2分されて、その一部を日曜学校に、1部を集会堂と牧師住宅に移転改造されたが、そのファサードは創設者の志を記念するため、原形で残されている。この移転によって、狭い敷地としては最大の余裕をつくり、前庭と新しい礼拝堂をここに設けた。

新しい礼拝堂は鉄筋コンクリート造で作られた。壁も屋根の折版で形成された構造体そのままの空間で構成された。

当時私どもは折版構造のいくつかの例を設計して見て、その構造表現が比較的規模の小さなモニュメンタルな1つの空間処理に適していると考えていたので、この礼拝堂にいとも簡単に採用できた。

敷地の狭さと収容人数の多さから、折版の山の深さが止む無く浅くなったため、シャープな感覚がうすれたのは残念であったが、この構造の持つモニュメンタルな性格はかなり活かされている。しかも教会のシビアーな建設費の要求に応えている。

家具は資金の面から徐々に新しいものに変えていく予定だが、この素朴な構造的な空間は、古びた家具とも調和できるように思われる。

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