先日、Facebookにて、
【教えてアジャイルに詳しい人】
KPT以外の振り返り手法
とつぶやいてみたところ、大変ありがたいことに、1日で10件以上のフィードバックを頂きました(嬉し涙).
たくさんコメントを頂いたので、せっかくなので分類&「そもそも自分のチームで何をふりかえりたかったんだろう?」をちゃんと振り返ろうと思います.
なお、あらかじめ言っておくと、
「分類」しただけで、「効果」に関してはノーコメントです!*1
ふりかえりを分類してみました
いきなりですが、このエントリーの言いたいことを絵にした結果こうなりました.
「ここに書いてる手法全部知ってるぜ!」という方はこの四象限を見てそっとブクマしていいと思います.
私はここに書いた手法の2/3は知りませんでした.
(そもそもKPTとワールドカフェ、5なぜ以外知らなかったので聞いてみた)
分類の軸
【縦軸】パッション重視か、プロダクト・サービス重視か?
チームメンバーの人たちや、個人といった「人・チーム」フォーカスして改善を回していくか、
それともプロダクトやサービスのKPI/KGIなどをベースにフォーカスして改善を回していくか.
この時点で結構カラーが出ちゃってる感ありますね.
【横軸】楽に導入できるVS学習が必要
ポストイットとサインペン、ホワイトボードがあれば即興で出来るのか、
あらかじめ道具や事前知識、「ガチ」なアジャイルコーチを雇って引っ張らないと回らないのか.
私自身はスタートアップの開発チームのエンジニア兼スクラムマスター*2なので、
- あり物の道具、手に入る範囲の知識でイケる(専用のツールが...カンファレンスで出た論文に...的な奴はアウト)
- チームメンバーへの学習コストが低い(ちょっと教えれば真似が出来る&事前の学習が不要)
という目で分類してみました.
分類後のふりかえり手法を数行で解説してみる
上記分類に基づき、適当にクラスタリングした結果を1行で解説します.
とは言っても、ここに書いた手法の2/3は知らない(大切なので二回言いました)ので、ググッてまとめた&自分の主観メインであることはご了承ください.
仕事忘れる系
週次のふりかえりでやるのは辛いがたまにはやるといいかも...的な.
サービスやプロダクトを一旦置いておいてチームの結束を...な意味が強い.
ゲームをする
TVゲーム、卓球...ではなく、アジャイルでよくやるようなゲームを導入してみる.
外のワークショップや勉強会でよくやる奴ですね、自分ではなかなかできませんが.*3
チーム全員で絵を書く
マインドマップとかビジネスモデルキャンバスとか色々ある絵を下敷きにみんなで絵を描くとか?
ふりかえり文脈ではやったことないですが、企画の文脈で何回かワークショップをファシったのでこれは検討の余地あるかも.
オフィスの外にでる
合宿とか日帰り開発合宿とかパワーランチとか.
現実逃避系かな?
リフレクション
実践家の情報共有は最高の勉強になる:リフレクション実践研究会Vol.2
経験(ふりかえり)→内省(気づき)→行動(アクション)をいい感じに回す方法らしい.
未体験かつ初めて聞いた手法ですが、なるほど!という感じなのでちょっとこれは機会あればやってみたい.
チームビルディング系
週次〜月次くらいで定期的に回した方が良さそうなもの.
ワールドカフェ
与えられたテーマについて各テーブル数人で議論、一人(テーブルホスト)を除いて各人が移動してまた議論してフィードバックをもらって...を数回繰り返してブラッシュアップする振り返り手法.
アジャイル系のワークショップ(POStudy)とかではお馴染みの手法.
絵文字でKPT
KPT(Keep/Try/Problem)の変形で、KPTの3文字を使わず、
- K: (^o^)
- P: (´・ω・`)
- T: く(`・ω・´)
みたいな感じで絵文字やアイコンで置き換える方法.
殺伐としたKPTになりにくそうなのでチームビルディングとかにいいかもしれない.
カフェでお茶とお菓子
3時のおやつ、ティータイムでふりかえりで良かったことや気付きを促すのはいいかもしれない.
ビジネスふりかえり系
人やチームも扱うけど、主役がサービスやプロダクト(に行きがち)な手法.
世の中の事例やノウハウ、ビジネスマンの好みでいうとココが一番のボリュームゾーンかも.
KPT
Keep/Problem/Try、以上.変形系でKPTAとかもある.
個人的な感想としては、一番使われていそうだけど「うまくやってるよ!」という話を一番聞かない手法.
フレームワークとして完成度が高すぎて回すのが難しい感ある.
タイムライン
アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引きで紹介されている?手法.
本を読んでいないし、タイムラインも初めて知ったのですがどうやら割と昔からある手法らしい.
最終的には年表みたいなモノを作る感じ?
YWT/YWMT
やった(Y)、わかった(W)、次にやる(T)を元に学習していく振り返り手法.
変形系でこれにメリット(M)を加える方法もあるらしい.
個人の経験にフォーカス...とあるけどこれ仕事のチームでやるとホントに個人にフォーカスできるんだろうか?と思いました.*4
Five Whys(5つのなぜ)
いわゆる「トヨタの5なぜ」ですね.
効果はメッチャあると思っているのですが、5回繰り返すためには思考方法(ダブルループ的な?)と自分なりのFrameworkが無いと相当つらいんじゃないかと思う.
個人的には初めて参加するMTGとかで「5なぜやろう!」と言われると震える.*5
ガチ勢系
コーチ業でご飯を食べているアジャイルコーチやその道のエバンジェリスト、ガチガチのビジネスマンが大好きであろう手法.
私も個人としては好きな奴もありますが、実践となると二の足を踏むやつです.
AAR(After Action Review)
PDCAを確実に実践し、組織が学びを蓄積して、成長するために。米国陸軍生まれのAAR(アフター・アクション・レビュー):永井孝尚の写真ブログ:オルタナティブ・ブログ
- やろうとしたことは何か?
- 実際何が起こったのか?
- 何故そうなったのか?
- 次回何をやるのか?
を軸に議論をしてアクションを決める、ポイントは「学びと改善」
PDCAと何が違うんだろう、と思いましたが、上記ブログに「任務の成否より学びと改善にフォーカス」とあったので、その辺成否を問うPDCAと違うんだなと解釈しました.
Conferenceや論文で出てきそうな考え方や手法
まだ書籍になってない、なっていても洋書や論文しかない系のネタ.
Agile 2016とかそんなイベントで聞く奴がそう.
人がやってない手法を試すとかその領域になるとR&Dっぽくなるので今回はスコープ外かな...
結論
自分がやりたい振り返りは、
人・チームが主役となるふりかえり
とわかったので、
- ワールドカフェ(+ちょっとしたYWT)
- お絵かきをする
あたりを軸に何かやろうと思います!
アドバイスをくださった皆様誠にありがとうございました!!!
【余談①】チームビルディングの理想形?「未来指向」
ふりかえりのアドバイスの中で、これ読んどけ!と言われたブログが最高でした!
最後の「チームビルディングの今後」にある「未来指向」という言葉がいいなと.
過去を振り返るだけでなく、未来をイメージしてチームを作るという視点はいいなと思いました.*6
【余談②】シレッと本、出てました.
Agile Japan 2016にて配布されたフリーペーパー「EM ZERO Vol.9」にて、私もシレッと文章(ポエム)を書かせていただきました.
EM ZERO Vol.9 | ManasLink ONLINE
「インセプションデッキ」と「MVP開発」を用いたモダンなアジャイル開発 というタイトルで、昨年PyCon JP 2015でやったネタ(野球Python)の開発過程をアジャイル文脈で解説しています.
ちなみに元ネタは昨年PyLadies Tokyo一周年記念パーティーのLTです.*7
www.slideshare.net
お時間ある方は是非ダウンロードするなりなんなりして読んでみてください!(ちなみに電子版は無料です)
お後がよろしいようで.
*1:効果が出る・出ないはチームの作り方や特性、メンバーのモチベーションやその時の状況で変わると思うので触れません.というより効果だして良いチームにしたりプロダクト作ったりするためにふりかえりをやる訳で(ry
*2:最近「いい意味で」スクラムマスターを廃業しつつありますが、ちょいちょいやることはあります、ある意味健全なのかも
*3:ファシリテートの負荷と準備を考えるとつらい
*4:前職の評価面談(WCM)とかもそうだったけど、「さあ経験を語れ!」と言われても案外うまく語れないよね
*5:大抵の場合うまく回らないから(小声)
*6:これはスタートアップのチームはみんなそうあるべきなんじゃないかと思ってる.
*7:PyCon JP 2015のLT応募して落選→PyLadiesでリベンジ→アジャイル魂2016公募で落選→EM ZEROで復活という山あり谷ありの作品になりました(しみじみ)