くろいぬの矛盾メモ

旧・はてなダイアリーから移行しました。現在は「モフモフ社長の矛盾メモ」 をたまーに更新しています。

岡田いいめも事件に見る、ひとり勝ち&早いもの勝ちの論理

私、くろいぬも絶賛実践中の、岡田斗司夫「いつまでもデブと思うなよ」のレコーディング・ダイエット法。
このダイエット手法と類似のサービスをめぐって、ちょっとした事件が起こっている。


いいめも開発ブログ | いいめもダイエット サービス停止のお知らせ

いいめもダイエットの公開に際して、事前に承諾を得なかったこと、無断でお名前を記載してしまったことなど、当方の対処に不適切な点があり、岡田氏をはじめ、関係者の皆様にご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。
つきましては、「いいめもダイエット」については、10/17をもってサービス停止とさせていただく事となりました。

アイデアに著作権なし……それでも「いいめもダイエット」サービス停止 - ITmedia Biz.ID

「いいめもダイエット」が10月17日にサービスを停止する。書籍「いつまでもデブと思うなよ」の著者である岡田斗司夫氏から「著作権の侵害」としてクレームがついたため。

岡田斗司夫が非営利の食事記録サイトに圧力をかけてサービス停止:アルファルファモザイク

今回サービスが岡田氏の圧力を受けて停止された「いいめもダイエット」とは、携帯電話のメール機能を利用して、専用のアドレス([email protected])へ食べた物を送るだけで一覧を作成するサービス

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この件に関して、良く言われてるのが「食ったものを記録するダイエット法なんて、良くあるアイデアを著作権で守ろうとするな!」という批判。
ただ、これはちょっと筋違いかと思います。


まず、書籍を読めばわかるが、「単に食べたものと時間を記録して太る原因を探るだけ」と言う方法ではない。
言うなれば、公文式が「自分より少し高いレベルの問題を繰り返し解くだけの学習法」と言い捨てられないのと近い。
食事とダイエットに対する価値観の転換こそが、このダイエット法のメインであり、それはかなり独創的だ。


次に、何らかの装置やシステムを使わないノウハウを特許にするのは無理。
だから書籍化して著作権で守ったり、関連商品を販売して商標で守るというのは、ある意味ノウハウ商売の生命線。
だから、今回の抗議は全く当然の権利だと思います。
ただ、そのやり方がスマートじゃなかった(身体はスマートになったんだけど)。


たぶん、岡田斗司夫自身がレコーディングダイエットの関連ビジネスを立ち上げる予定だったんでしょう。
それより一歩先に、似たようなサービスをやられてしまったと。しかも、自分の本の読者の声を参考にして。
それでも、たぶん岡田斗司夫の名前を出していなければ、あれほど一方的に訴えなかったんじゃないかと思います。


岡田斗司夫、「いいめも」双方ともに下手だったのは、最初から「一緒にやりましょう」と言う提携の提案をしなかったこと。
そして、岡田斗司夫が軽率だったのは、権利問題の敗者にもブログを通じたネット社会への問題提起で、
世論を動かす影響力があるという現実を忘れていたこと。
あきらかに綺麗な決着ではなく、内容証明の送付のように怒りに任せた強制的な排除を申し出たんだと思います。


確かに、いいめもダイエットのサービスは、技術的には特に高度というわけではありません
(ユーザーインターフェースは良くできていますが)。
自分のアイデアを借りて、自分よりちょっと先に始めただけの、自前でも作れるレベルのサービスに提携を申し込むのは癪に触るでしょう。
たぶん、僕が岡田斗司夫の立場にいたら、かなりムカつくと思う。


でも、だったら本を出すと同時に何らかのサイトを立ち上げるべきだった。
トップページ1枚と、サービス予告だけでも良かった。
それなら類似サービスを抑止出来るし、そこまでしても出て来る類似サービスを
つぶしたところで、ここまで文句は言われなかったはず。
同時立ち上げの努力を怠ったから、ベンチャーがニッチ市場の空白地帯を嗅ぎつけて進出してきたわけで。
くれぐれも、Webサービスの世界は早い者勝ちのルールで成立していることをお忘れなく。


関連ビジネス独占で一人勝ちのウハウハをやりたいなら、それなりの用意をすべきだった。
そして、会社組織にもなっていない開発チームだとしても、力で無理につぶそうとすれば、
ブログだけでもこれだけの反撃が出来るということも、覚えておいてほしい。自戒を込めて。


周辺ビジネス独占で1人勝ちを狙うのは、とっくに時代遅れなのかも知れないなあ。

*1:この元記事引用部分は、404Blogから転用させていただきました。