元読書嫌いの本紹介📚

コロナ禍をきっかけに本が好きになった元本嫌いによる読んだ本の紹介。

本当に良かった! 降り積もっていく不穏さが少しずつ消えて安堵へと変わる本

今回紹介するのは小川糸さん『とわの庭』

▫️個人的好き度 ★★★★
▫️読みやすさ  ★★★

 

 突然ですが…このタイトルと表紙からどんな話を想像しますか?

 女の子と犬の友情物語?

 女の子が荒れ地に花を植えて美しい庭にしてそれを飼い犬と眺めている話?

 

 そんな生温い物語ではない。見かけによらずかなり壮絶だ。

 

 この話は、窓がなく電気がない暗い部屋のような世界(=盲目)で生きてきた主人公のとわの人生にある日、窓や電気が取り付けられ、光が差し込み、その光景に驚き、適応するのに時間がかかってしまうが、とわが持つ逞しさ、優しさ、ひたむきさで世界を広げていき、逆に周りを照らす光みたいな存在になっていきます。徐々に不穏さが雪のように降り積もっていき、目を覆いたくなるような場面もあったが、最後まで読んで良かったと言える作品であることに間違いはない。救いの手が現れるので、後味は悪くない。

 

 盲目というハンデがあるにもかかわらず、目向きにたくましく人生を歩み、世界を広げていく姿に胸を打たれた。私がとわちゃんだったら、絶対に心折れて生きる希望を亡くしていた。視野を広げて、自分の生きがいややりたいことを見つけることは、人生をより良く、楽しく生きるために必要なのだとこの物語を通じて改めて思った。「光あるところに影あり」とゲーテは言ったけど、この話は「影あるところに光あり」と思った。

 

〇印象に残った言葉

P296

確かにわたしは目が見えないけれど、世界が美しいと感じることはできる。この世界にはまだまだ美しいものがたくさん息を潜めている。だぁら、わたしは、そのひとつひとつをこの小さな手のひらにとって、慈しみたいのだ。そのために生まれたのだから。この体が生きている限り、夜空には、わたしだけの星座が、生まれ続ける。

 

 

 最後まで読んでくださりありがとうございました。これから読書と距離を置いている人に少しでも興味を持って読んでもらえるような本紹介をしていきたいと思いますので良かったら読んでください。