Fab Campus

  • top-slide_print-1
  • top-slide_braille-neue
  • top-slide_print-2
  • top-slide_print-3

2020年夏、新型コロナウィルスのなか、キャンパスの「ドアノブ」を介した接触感染を予防するため、手のひらではなく「腕」でドアを開けるための取り付け具「コロナ対策用3Dプリント製ドアオープナー」を、3Dプリントで制作するプロジェクトが立ちあがった。

ドアノブは一般的に製品の種類が多く、寸法や形状が異なるケースが大半だ。また大学のキャンパスや企業のオフィスなどはドア数が多く、「量」に対応する必要もあった。そこでまず、SFCキャンパスのドアノブを分析して3Dデータで初期検討を重ねたのち、エス.ラボ株式会社(京都府京都市、代表取締役:柚山精一、以下 エス.ラボ)にて高速造形装置3Dプラントで製造、これによって1 日で約 500 個の製造が可能になった。約1か月の製作期間で、2020年10月に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)の教室計158カ所、ドア79カ所への設置を完了することができた。

さらなる工夫として、バリアフリーのための、カラフルな 3D プリンタ製点字プレートを貼り付けられる設計としてあり、点字フォントには、SFC 卒業生であるデザイナーの高橋鴻介さんが発明した、通常文字と点字が共存する新フォント「Braille Neue(ブレイルノイエ)」を田中浩也環境情報学部教授が 3D プリント向けにアレンジして採用している。

この点字プレートには今後もさまざまな工夫が可能で、今後 3D プリンタで印刷する標準教材としてこの点字プレートを活用していくと同時に、ファブキャンパスらしく、学生のアイディアを取り入れて、さらに改良・発展させていく考えだ。

コロナ禍のキャンパスに必要な新しい道具を自らの手でつくりあげていく重要な役割を、ファブキャンパスは担っている。

What’s FAB?

1990年代に最先端のインターネット環境を構築し、学生ひとりひとりがPCをもって授業を受けるスタイルを確立したSFCは、さらに2010年頃からデジタルを基盤とした「ものづくり」(FAB)の環境を整備してきました。各研究室がバラバラに保有していた機材を洗い出して、共通機材をレベル別に整理しなおすことで、SFCの学生誰もが使えるような仕組みにした「ファブキャンパス」は2016年に発足。

メディアセンターに設置された10機以上の3Dプリンタとデジタルミシンを入り口として、ロボットアトリエ、木工アトリエ(DFF-W)、金工アトリエ(DFF-M)にはそれぞれ専用の機材が揃えられています。授業や研究での利用のほか、サークル活動や、キャンパスで実際に用いられる家具や照明などが制作されています。こうした環境から、いくつもの「ハードウェア・スタートアップ」や「デザインテック・ベンチャー」が自然に誕生していきました。

30周年を迎えた現在は、通常の都心の大学では不可能と思われる、ドローン、自動運転、ロボットなどの実験が日常的に行えるキャンパスへと進化し、これからさらにSFC周辺の自治体へと技術の応用フィールドが広がっていくでしょう。

メッセージ

「なんでもつくれる」環境に身を置き、「なんでもつくってみる」体験を一度経てみれば、世界が変わります。(田中浩也環境情報学部教授)

コンテンツは随時更新予定