地元の魅力を表現したポスターを募集する「Rethink Creative Contest(リシンククリエイティブコンテスト)」の審査結果が12月13日に発表され、仙台市在住のデザイナー、イハラさんの作品が特別審査員賞に選ばれた。
渋滞解消のための立体化工事が2024年度中に完了予定の箱堤交差点
「クリエイターズマッチ」(東京都渋谷区)が主催し、今年で7回目となる同コンテスト。全国から過去最多の920作品の応募があり、最優秀賞に次ぐ特別審査員賞4作品の一つにイハラさんの作品「視野を広げる交差点」が選ばれた。
作品のモチーフにしたのは、仙台市宮城野区の国道4号箱堤交差点。北行きが7車線、南行きが8車線あり、「日本一大きい交差点」として知られる。一方で、日本損害保険協会調べで2023年に県内で最も人身事故が多かった「危険な交差点」でもある。
イハラさんが着目したきっかけは、東京から来た知人を乗せて車で通った際、その知人が驚いて大笑いしたことだったという。「仙台に住んでいる限りではそれほど変わったものだとは思っていなかったが、そんなふうに見えるのかと印象に残っていた。『レーンを間違えやすい』『事故が多い』『渋滞する』など問題が多くてちょっと残念な交差点だが、見方を変えれば、一つの道にとらわれない広い視野を持たせてくれる交差点なのではと考えた」という。
8車線が連なる道路の上に青空を広く描いてポジティブなイメージを持たせ、「道は一つではない」というキャッチコピーを載せた。「失敗で道が閉ざされたように感じている人に、ゴールへの道筋は決して一つではないと伝わるようなデザインを目指した」とイハラさん。
特別審査員の一人でデザイナー・クリエーティブディレクターの筒井美希さんは「ちょっと残念とされている要素をポジティブに変換するというアイデアのポスターは他にもあったが、説得力を持たせるのは結構難しい。この作品はそこを乗り越え、『確かに、視野が広いって素晴らしいことだよね』と共感させる力があった。空の広さと地平線の広がりが開放的で、『道は一つではない』というメッセージが気持ちよく表現されている」と講評する。
2022年には同コンテストで「地元PR賞」を受賞しているイハラさん。「受賞作はウェブサイトに掲載されるので、今回も地元をPRできればいいなという思いで応募したところ、高い評価を頂いてびっくりした。作品に込めた思いが届けばうれしい」と話す。