ミニ特集:気象の科学についての本 日本その5
『統計からみた気象の世界』
『精神論抜きの地球温暖化対策 パリ協定とその後』
『気候変動を理学する 古気候学が変える地球環境観』
『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』
『図解 身近にあふれる「気象・天気」が3時間でわかる本 思わずだれかに話したくなる』
『統計からみた気象の世界』
藤部文昭 気象ブックス 成山堂書店
●データの扱いの悩ましさ、統計切断問題、環八雲の誤謬…「こんな問題があるのか!」入門にもいいし、いろいろな物事を率先して疑いたがる人にもオススメの熱い本。
ここ10年ほどの熱中症死者数の急増は、気温や高齢化だけでは説明できない。この増加には、熱中症に対する社会の意識が高まった結果、以前なら別の診断(心不全とか)を受けていた人が熱中症と認定されるようになったという事情も関わっているようである。
戦前は、気象データの統計に当たって「観測所の移転」は特に考慮されなかったようである。しかし、戦後になると移転の影響が問題になり、移転前後の観測値の変化を調べてデータの扱いを決めるようになった。
雪は風の観測にも障害になる。時として風速計の凍結を引き起こすからである。風速計が凍結して羽根が回らなくなれば、風速の観測値はゼロになる。気温が0℃以下で、風速の観測値が長い時間ゼロのままになっていたら、凍結している可能性がある。
『精神論抜きの地球温暖化対策 パリ協定とその後』
有馬純 エネルギーフォーラム
●COP代表者さんの手による一品。
市井と交わった感覚ではなく、上層の人が書きました、というノリの著述。
国際交渉の現場感覚を垣間見るにはいいかも。
低原子力シナリオの場合、2040年時点の世界のCO2排出量は新政策シナリオに比して8億トン増大するが、特に原子力導入量ゼロと想定された日本の場合、新政策シナリオに比して1.3億卜ン、14%も増大させることになる。
地球温暖化防止における原子力の役割は明白であるにもかかわらず、地球温暖化交渉の世界において原子力は継子扱いを受けてきた。
有馬純『精神論抜きの地球温暖化対策』;温暖化問題のみならず、国際交渉の現場、協定(条約)の読み方の勉強にもなる。タイトルは、亡くなった澤明裕『精神論抜きの電力入門』の使いまわしかと思ったら、澤氏は有馬氏の通産省時代の良き先輩だそうだ。なかなか粋なタイトルの付け方だと思う。 pic.twitter.com/dOcZyLX98R
— ターシー! (@tashiroaska) 2017年7月11日
気候変動交渉の流れと論点を理解できる文献だと、有馬純『精神論抜きの地球温暖化対策』、加納雄大『環境外交』、亀山康子・高村ゆかり『気候変動と国際協調』あたりがおすすめです!!海外で手に入るかわかりませんが・・・
— Kentaro Miyakawa🍵 (@Mken0123) 2018年10月20日
『気候変動を理学する 古気候学が変える地球環境観』
多田隆治 みすず書房
●放射エネルギーや太陽活動まで含めて、対話形式で順々と理解の要点をお話してくれるのでわかりやすいぞ。
商才に長けた彼らは、地球規模の災害がもたらされても、棚ぼたの利益をぬかりなくキャッチしまくっていく。
こちらで紹介
『気候変動を理学する 古気候学が変える地球環境観』
『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』
マッケンジー・ファンク ダイヤモンド社
●どんな状況にあっても、どんな悲惨な世界でも、うまいことやってしまう人はいる。
こちらで紹介
『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』
『図解 身近にあふれる「気象・天気」が3時間でわかる本 思わずだれかに話したくなる』
金子大輔 明日香出版社
●わかりやすい例えがセンス良く用いられていて、入門者だけでなく、地学の先生にも「これは使える!」と喜ばれそうな一冊だよ。
こちらで紹介
『図解 身近にあふれる「気象・天気」が3時間でわかる本 思わずだれかに話したくなる』
『ミニ特集:気象の科学についての本 日本その7』
『ミニ特集:気象の科学についての本 日本その6』
『ミニ特集:気象の科学についての本 日本その4』
『ミニ特集:気象の科学についての本 日本その3』
『ミニ特集:気象の科学についての本 日本その2』
『ミニ特集:気象の科学についての本 日本その1』
『ミニ特集:気象の科学についての本 海外』
『ミニ特集:台風、竜巻』