生きて帰ってきた男　ある日本兵の戦争と戦後[ 小熊英二 ]

一九四三（昭和一八）年、謙二が富士通信機に就職した翌月、日本軍はガダルカナル島から撤退した。
　この撤退は「転進」と公表されたが、七歳の謙二でさえ、「おかしな言葉」だと感じたという。
　ラジオでは評論家が、「転進というのはいい言葉です。受験に落ちても、他の学校に転進しましょう」などと話していた。

割烹着をつけた国防婦人会が「日の丸」を打ち振る、といった見送りはもうなかった。
　日中戦争のころはやっていたが、太平洋戦争が始まるとなくなった。食うものを手に入れるのに時間と労力がかかって余裕がなくなったし、召集があまりに多くなったからだ。

ソ連軍の捕虜になったドイツ軍将兵約３００万のうち、死亡者は約１００万といわれ、死亡率は約３割である。
　シベリア抑留の日本軍捕虜の死亡は抑留者約６４万のうち約６万といわれ、死亡率は約１割。日本軍の捕虜になった英米軍捕虜の死亡率は約２７％である。

学術的にいえば、本書はオーラルヒストリーであり、民衆史・社会史である。社会的にいえば、「戦争の記憶」を扱った本であると同時に、社会構造変化への関心に応えようとしたものである。

記憶というものは、語り手と聞き手の相互作用で作られる。聞き手に聞く力がなければ、語り手から記憶を引きだすことはできない。

小熊英二『生きて帰ってきた男』、まず単純に物語として興味深く読めた。この関連の本を読んできてはないからアレだけど、あとがきでも述べられてるように比較的平均の民間からの目を通して、比較的フラットな語り口で書かれてるのが逆に惹かれる要因だったのかも。

— TKD (@she_cut_sea) 2016年6月5日

面白かったので小熊英二著『生きて帰ってきた男－ある日本兵の戦争と戦後』をテーブルに置いといたら母が読んでる。めちゃめちゃ面白いって言われた！！何だか嬉しい！

— 真夏日和 (@MilkBanan) 2016年4月19日

生きて帰ってきた男 読んだ。前情報なしで読んだら想定外の内容で驚いた。なかなか大変な人生を送った男への聞き取りなんだけど、淡々としててかっこいい

— さいとり (@sai_tori) 2016年1月29日

『生きて帰ってきた男　ある日本兵の戦争と戦後』
　小熊英二
　岩波新書
　

小熊英二『生きて帰ってきた男』(岩波新書)
シベリア抑留者である父親から聞き取った人生を通して、20世紀の歴史を描く。
淡々と生きてきた人物に、多くの資料に裏付けられた客観的で冷静な筆致で寄り添う。歴史を知るという意味でも、人生を辿るという意味でも、興味深く、感動的。

— むいこ (@zzffmuico) 2016年4月24日

生きて帰ってきた男　ある日本兵の戦争と戦後【電子書籍】[ 小熊英二 ]

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