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科学な本のご紹介: アイヌの歴史 海と宝のノマド

科学に佇む書斎



アイヌ演奏Pixabay 📖 
すごいぞ北の民!
この本を読めば北方のダイナミックな民族交流・物資流通が、ビビッドに立ち上がる!

科学の本札幌を起点として、サハリンの北緯50度までの距離は東京〜本州西端間に相当し、シュムシュ島までの距離は東京〜沖縄間に相当する。アイヌは宝を求めて広大な空間を往来する「海のノマド」だったのだ。

科学の本『諏訪大明神絵詞 すわだいみょうじんえことば』によれば、一四世紀はじめの北海道には三種類のエゾ、すなわち「日ノ本 ひのもと」「唐子 からこ」「渡党 わたりとう」がいた。このうち「日ノ本」と「唐子」は和人と言葉がまったく通じず、夜叉(やしゃ)のような姿をしていた。


科学の本オオワシの尾羽を「命ト等シキ財」と認識し、助命に値する最上の「宝」とみていたのは、蝦夷というより、むしろ本州の貴族層であり、またその交易にかかわる商人の方だったようだ。

科学の本サハリン・アイヌはミイラづくりをおこなっていた。この習俗は、ニブフやウィルタをはじめ周辺の人びとにはみられないことから、サハリン・アイヌに固有の文化とされてきた。

科学の本1950年に平泉中尊寺の学術調査がおこなわれ、金色堂の下に眠る藤原三代のミイラが確認されたときも、サハリン・アイヌのミイラ習俗との関連が注目された。

科学の本擦文文化は、七世紀以降、東北北部から道南や道央へ移住した農耕民の文化を在地の人びとが受容し、また移住者と同化して成立した。
 アイヌの刀子(マキリ)は柄元が鞘にのみこまれる形式で、柄が強く反る特徴をもつが、これも奈良時代の日本の刀子の特徴と一致する。


科学の本中川裕 ”アイヌの古老が一様に博識で物覚えがいいのは、忘れてしまえば二度と取り戻せないという気持ちでいつでも物事に接してきたからであり、かれらは文字を知っていても自分の記憶を書き残そうとはしなかった。”

科学の本クラストルによれば、未開社会には歴史がないのではなく、位階秩序・権力・服従・統合・国家への抵抗の過程こそ歴史とされる。これにしたがえば、北の狩猟採集民は、異文化の宝が生みだす不平等の流れに抗うことはできなかったものの、国家になる一線を越えることには抵抗し、踏みとどまったといえるだろう。
 アイヌが文字をもたなかった事実も、かれらが国家をもたなかったことと関連しているのかもしれない。文字の使用は国家社会の成立に深くかかわっていると考えられているからだ。
 そして、アイヌに国家がなかった事実を歴史的な停滞と即断できないのと同様、文字がなかった事実についても、それがネガテイブな意味しかもたないことなのか、あらためて考えてみる必要がある。




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アイヌの歴史 海と宝のノマド (講談社選書メチエ)


『アイヌの歴史 海と宝のノマド』
 瀬川拓郎
 講談社選書メチエ


近年の考古学は、国境や部族単位にとらわれず、大きな流通・交流から人類史について新しい知見を編み出していく動きが元気!

ゴルカムが北方民状況をかき回す前の著述です。

著者も参加している●本 『東アジア内海世界の交流史』 とも読み合わせると、さらにさらに知見が深まります。


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→『ミニ特集:アイヌの過去を繙く本 その8』
→『ミニ特集:アイヌの過去を繙く本 その7』
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→『ミニ特集:アイヌの過去を繙く本 その2』
→『ミニ特集:アイヌの過去を繙く本 その1』
→『アイヌ語のカナ小文字ってどう書くの:小文字カナ入力』
 



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 No.2007,1211
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