ミニ特集:社会を調べる本


『これでいいのか市民意識調査 大阪府44市町村の実態が語る課題と展望』
『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』
『暴走族のエスノグラフィー モードの叛乱と文化の呪縛』
ゼロ年代に出された本たちです。
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大谷信介 編 ミネルヴァ書房
●行政が行った市民アンケート各種を見てみたら。
質問がひどかったり、選択肢がめちゃめちゃだったり、全然基本がなってない!?
ひどい調査で、まともな結果を得られてないのに、それを元に施策を決定してちゃあ目も当てられない!
各自治体でのダメダメなアンケート実例をあげながら、アンケートを作る際に何をやっちゃダメなのか、適切な設問はどうあるべきかを、きちんと教えてくれる本。
「正しいアンケート調査のやり方」を知っていれば、アンケートを受ける市民の側もちゃんちゃんと賢く「そんな調査方法ではダメでしょう」とツッコミを出来るはず。
賢い行政は、賢い市民が作る。
大事なことはなるべく基本を見ておきましょう。
※ 恐るべきダメダメなアンケートの実例:

┗ 2007年、あからさまに「原発賛成」と回答させるようにしつこく誘導設問した結果、「70%が原発賛成!」というありえないほどの世論調査結果をたたき出してしまった事例。
高橋
— タカハッピー (@aptx4869detecti) 2017年7月11日
上も下も同じ内容なのに、上の方が多く票が集まってることから、アンケートで入れて欲しいものは上の方が多く集まる可能性があるということだ。 https://t.co/wK0IN2gM5P
— タカハッピー (@aptx4869detecti) 2017年7月13日
.。oO(その本には「位置が上にある選択肢のほうが獲得票数が多くなる傾向がある」と記してありました。
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2017年7月13日
私が経験した「原発賛成誘導アンケート」でも、「選んで欲しい選択肢」を上に並べて「選んでほしくない選択肢」は下に押し込めてました。https://t.co/7jSc8IDYde
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吉見俊哉 岩波書店
エスノスケープとは、旅行者や移民、難民、亡命者、外国人労働者など、共同体の境界を越えて移動していく人々や集団の流れによって構成される地景のことである。
メディアスケープとは、新聞や雑誌からテレビ、コンピュータまでを含むメディアの布置とそれを通じて構成される地景のことである。

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佐藤郁哉 新曜社
●エスノグラフィー研究の、いまや古典かな。
もはや「暴走族」という語さえ死語になりつつある…
多くの祭りやカーニバルは、安全弁的機能をもつ。市街を数回まわって終わってしまう暴走や、警察との暗黙の了解の元に行われる暴走の場合は、安全弁(はけ口)としての性格が強い。
暴走族の若者たちは、自分たち自身の祭りとそれにまつわるシンボリズムの体系を作りあげることによって、日常性の現実よりもはるかにリアリティが得られる別の現実世界を創りあげる。
あらゆる秩序や制御から「暴走」し自由であるどころか、暴走族活動とそのシンボリズムは、一種の体系性をもつモードによって秩序づけられ、コントロールされているのだ。
暴力のはけ口論はどの程度まで根拠があるのか。ピンカーの暴力の人類史には明確に書かれてなかったと記憶している
— 矢切複眼斎 (@fukugansai) 2015, 9月 29





