ミニ特集:植物を科学する本 日本 その1
『プロでも意外に知らない〈木の知識〉』
『地球200周!ふしぎ植物探検記』
『おいしい穀物の科学』
『植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ』
『たたかう植物 仁義なき生存戦略』
『プロでも意外に知らない〈木の知識〉』
林知行 学芸出版社
●ほんとうにプロでも知らないかどうかはさておき、街で街路樹や植木を見るとき、山で山林を通るとき、これを知っておくと脳が活性化されちゃう入門向けな知識と知恵が書いてあるよ!
「切り株を見て年輪幅の広いほうが南側」これはよくある間違いです。切り株の年輪では方角はわかりません。実際の年輪の広さは方角とは無関係にバラバラです。
『地球200周!ふしぎ植物探検記』
山口進
●「ジャポニカ学習帳」の美麗表紙を長年担当してきたスゴ写真家さんによる、ワールドワイドな取材/観察/研究の数々の興味深い経験譚。
世界中の誰も解明していない謎がこんなにたくさん山積していることを教えてくれる。
ショクダイオオコンニャクは花の集まり、つまり花序として世界最大で、一輪の花としてはラフレシアが文字通り世界最大の花とされる。
ラフレシアの発見者はシンガポールの建国者T・ラッフルズと軍外科医J・アーノルドであり、このときの観察と標本を元に記載したのがブラウン運動の研究で知られる植物学者ロバート・ブラウンだ。
メキシコは不思議なランの密集地帯だ。これほど興奮する場所を他に知らない。
オオオニバスは葉裏から葉柄まで鋭いトグに覆われている。魚の食害に対する防衛策だ。面白いことにオオオニバスを魚のいない池で長く栽培していると、このトゲが消失してくる。
著者さんは「ジャポニカ学習帳」の特設サイトで連載もしてますよ
山口進の気まぐれ撮影日誌
「ジャポニカ学習帳」表紙を長年撮影、山口進さん死去…74歳https://t.co/EktNNayiec#カルチャー
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) 2022年12月28日
『おいしい穀物の科学』
井上直人 講談社ブルーバックス
●食べものについての研究成果について知っちゃうと、いつもの食事が知的になっちゃうよ!
ウルチ米は炊くのに対して、モチ米は蒸すことが多い。これはウルチ米よりもモチ米の吸水率のほうが大きいので、蒸すときに「振り水」程度で不足する水分を補うことができるからである。
「モチ」性の米は、「ウルチ」性に比べ、吸水速度が速く濡れやすいため、カビが増殖しやすく保存しにくい。これはデンプンの構造に関係があり、「モチ」を「糯」と書く理由もここからきている。
穀物のモチ性は遺伝的に劣性で、自然界では稀に突然変異で生じても生存が難しい。栽培するヒトがよほどモチ性に執着を持って選択しないと生まれない。
また生まれても、交配してウルチ性に戻りやすく、品種の維持にも人手がかかる。いわば「文化財」である。
ウルチに対して劣性のモチが美味しくて人間に好まれるという理由で生き残り続たって話、雑穀の同人誌作ったとき学んだ。
— 発破太郎_C97月曜南フ34b (@happataro) 2020年1月1日
穀物には糯(もち)性のものと粳(うるち)性のものがあり、この性質を糯粳性という。
— ヌガー (@coyotenougat) 2021年8月20日
定義としてはアミロースを含むかどうかで、モチ性の穀物は蒸した時に粘りがあり、ウルチ性は無いという特徴がある。
糯性のものを搗いた食べ物が餅であり、語源はモチモチしているからであることが容易に推測できる
ほうほう、ウルチ性とはデンプンのうち20%がアミロースで80%がアミロペクチン。一方モチ性とは100%アミロペクチン。この制御を行なっているのがwaxy遺伝子と。普通の米からこの遺伝子が突然変異で壊れて餅米が進化してきたわけね。
— ふくみみのこども (@fukumimi_no) 2022年11月8日
電子書籍版 ↓
『植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ』
田中修 幻冬舎新書 幻冬舎
●いろんな植物が、環境に応じてどんな反応をしているのか、逆境のしのぎ方、成長のポテンシャル、うまいことできている繁殖の仕組みなど、おもしろ小ネタをはさみながらズンズン読ませてくれるよ。
こちらで紹介
『植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ』
『たたかう植物 仁義なき生存戦略』
稲垣栄洋 ちくま新書 筑摩書房
●取り上げるネタはおもしろいんだけど、記述が悪ノリが過ぎるというか、タイトルに引きずられる無理筋が多めで、ちょっとツライ。
古くからクルミの木の下や、アカマツの木の下には下草や他の木が生えないことが知られていた。これはクルミやアカマツの根から出る物質が、他の植物の成長を阻害しているのである。
セイタカアワダチソウは、根から出す毒性物質によって、ライバルとなるまわりの植物の芽生えや生育を抑制し、自分の成長を優占的に行う。こうして、他の植物を駆逐して、一面に大繁殖するのである。
雑草の種子の場合は、光が当たると芽を出すという性質を持っているものが多い。そのため、草取りをすると、雑草がかえってふえてしまうことさえ起こってしまうのである。
12.稲垣栄洋『たたかう植物』
— はるさめ(植物由来の染料) (@harusasameme) 2017年10月6日
植物は癒やされる存在、動けない存在だけど、あらゆる手段で自分を守り、他者を攻撃し、子孫を増やそうとしている。植物同士の争い、他の動物との争い、環境に耐える方策などがわかりやすく解説されている。雑草が増えに増える理由がわかった…。
#稲垣栄洋 #たたかう植物 読了。
— わさび (@BHbfZXHqU0LggUW) 2018年3月1日
生存競争のために多様化してきた植物たちの壮大なストーリー。彼らの目線から描かれる仁義なき闘いをみれば、おのずと人間のあり方も顧みることになる。
植物は、我々人類の先輩だ。
稲垣栄洋 たたかう植物
— chino (@ChinoEureka) 2018年5月18日
面白い。
すげえぜ植物!やるな植物!そこにシビレル憧れるぅ〜!とか言ってるうちにスルスルと読んでしまうわ。 pic.twitter.com/MkHLWv8Nhr
電子書籍も便利。Kobo版↓
『ミニ特集:植物を科学する本 日本 その4』
『ミニ特集:植物を科学する本 日本 その3』
『ミニ特集:植物を科学する本 日本 その2』
『ミニ特集:文化と植物の共演 その2』
『ミニ特集:文化と植物の共演 その1』
『ミニ特集:植物をメインに博物誌する本 海外』
『ミニ特集:春夏の植物ハンドブック』
『ミニ特集:秋冬の植物ハンドブック』
『ミニ特集:樹木の図鑑 その2』
『ミニ特集:樹木の図鑑 その1』
『ミニ特集:樹木』
『ミニ特集:雑草の図鑑 その1』
『ミニ特集:日本のタンポポ 外来タンポポ』