幻燈日記帳

認める・認めない

だいぶ遠い都市

某日

 

池袋のIMAXのさらにすごいやつでDUNEを観る。ところがはじまって1時間も経たないうちに音響すごすぎて具合悪くなってしまった。最初に具合悪くなったのは虫みたいな偵察機が飛んでるシーン。階段を斜めから撮る戦闘のシーンで完全にだめになってしまった。映画館を出ようとも考えたのだけど、息も絶え絶えたまたま持っていた耳栓をつけたとき、ものすごく手が震えていたのでこの調子じゃとてもじゃないけど立ち上がれない、と判断して30分ぐらい目をつぶっていた。どうしてDUNEを見ようか、と思ったか、というと佐久間さんと優介が楽しそうに話していたからだった。佐久間さんは普通の2Dでみて、優介は僕が観に来ている池袋の映画館に観に来たのだそう。規格が違うらしくスクリーンがとても広いそうだ。だからシーンによっては上とか下とか切らないといけないんじゃないかな、と優介が言ったあとに佐久間さんが「あのオヤジが上にあがるシーンどうなっちゃうの?上のバッティングセンター(この映画館の上にはバッティングセンターがある)に行っちゃうの?」と言っていたのが本当におかしくて観に行くことにしたのだった。ああ、よこしまな気持ちで映画館に来たばちがあたった。あまりに長い時間が流れ、上映が終わり、しばらく立ち上がれず、シャツのボタンをあけたり、上映前のはしゃいだ気持ちで買った爽健美茶のLサイズを必死に吸ったりした後、ようやく動き出せた。映画館の下にあるレストラン街みたいなところでカフェに入ろうとしたら店内BGMの音がでかすぎて踵を返す。火鍋でおなじみの小肥羊がカフェメニューもあるというのでそこに飛びつき、あたたかいジャスミン茶で少しずつ復調。そりゃあんまりだ、と遅くまで開いているジュンク堂で本を数冊買って帰った。

 

某日

 

すっかり夜になった頃、取り置き期限が明日にせまったレコードを取りに自転車で吉祥寺のユニオンに向かう。その前にアトレの1階のお惣菜コーナーを巡り、安くなった惣菜をあれやこれやと購入。期間限定で入れ替わるコーナーにいきなりだんごのお店、くま純が来ていて、なんとなくいきなり団子と芋餅というのを買ってみた。ははーん、ソーセージも買っちゃおうかな、とか余裕でいたはずなのにPARCOに向かうとすでに20時を越えて閉店時間になっていた。21時ぐらいまで開いていると勝手に思っていたからショックだった。そうか、私も勝手にコロナ後の世界にいるつもりだったのかもしれない。少し気を引き締めなおそう、と心に誓い、アトレに戻って揚げ物を追加したのだった。

 

某日

 

車検のため、ひとり実家に向かう。兄は有給消化の旅行で居ないそうで、両親と実家に居た頃はよく行っていた中華料理屋で昼食を摂る。両親に結婚の報告をした。静かな平日の昼間である。車をいつも見てもらっているところに預け、吉祥寺に向かいたい、と言うと父親が吉祥寺までの直通のバスが出ている成増まで送ってくれた。「3時前だっていうのに陽が傾くのが早いねえ」と言う。Google Mapで成増→吉祥寺で検索すると電車で行った方が全然早いそうだが関係ないのだ。高校生の頃にココナッツディスクに向かうとき、このバスに乗ったし、実家を出てみんなでシェアハウスした街を通るバスに乗る。暮れていく街を眺める。ときどき人が乗るけど決して混んではいない。車窓に外に街が映り、その窓に反対側の景色が映り込んでいる。ああ、夕暮れがくる。気がつくと眠ってしまっていて、目が覚めた頃にはすっかりそれらしい街になっていた。バスで吉祥寺についてユニオンに向かう。店頭でかかっていた音楽が最高で「ぎゃー」となりNOW PLAYINGのコーナー見てみたらそれがエルヴィス・コステロだと知る。そうか、これが、エルヴィス・コステロなのか。取り置きしていたものも受け取り、かかっていたコステロのCDも買った。ユニオンを出るとすっかり夜。アトレに向かっていきなり団子を追加で購入。あまりにおいしいので冷凍してでも保存しておこう、と決めたのだ。お店の人に「たくさん買っていただいてありがとうございます~」と言われてしまった。塚田水産でおでんの種も買って、そのときの俺は完璧だった。