幻燈日記帳

認める・認めない

愛のさざなみ



そもそも今日ここに居る自分は2008年4月に、
はじめてカーネーションのライヴを見た自分だ。
さらにそのはじめて見たのはここクアトロ。
高校生の頃に空気公団やLOVE JETSや遠藤賢司さんのライヴを見たのもクアトロだ。
泣きそうになりながらここにいる自分を強く噛み締める。
熱狂の"夜の煙突"が終わり、それぞれのメンバー紹介をはさみ、
直枝さんが間髪を入れずにおなじみのフレーズを弾く。
そこに大田さん、藤井さんがユニゾンのフレーズをかぶせた。
よく覚えていないのだけれども、僕も弾いたかもしれない。
島倉千代子さん"愛のさざなみ"のカバーを演奏しているのだ。
原曲は1968年発表、なかにし礼さん作詞、浜口庫之助さん作曲のビート演歌。
直枝さん、大田さんの背中を見ながらふたりの間に一本のマイクスタンドを見つけた。
アンコールの最初がSoggie Cherriosの演奏だったので、
鈴木惣一郎さんが使ったマイクスタンドが僕の少し前の方に置いてあったのだ。
"The End Of Summer"を演奏していた時はそんなこと気にもしなかったのだけど、
そこにはまるで先日亡くなられた島倉さんがそこにいるような気がしてきてしまい、
泣きそうになりながらコードをかきむしっていたら、
直枝さんから「好きに弾いてよ」とアイコンタクトを受け取った。
それに応えるためにこのツアーのために数年振りに引っぱりだした、
ブルースドライバーのレベルをガンと挙げ、
ギターを少し弾ける人なら誰でも知ってるような簡単なスケールで、
スカートのライヴではほとんどしないチョーキングをしたりした。
バンドのグルーヴはさざなみどころじゃないうねりになっていて、
いつまでもこの瞬間が続いたらどんなにいいだろう。
とても浮かれているのに冷静になっている面も持ち、だがフィジカルで、最高だった。
カーネーションの30周年をこうして祝えたことがうれしくてなりません。
セットリストを載せます。もしスカートを聴いてくれている若いファンで、
まだカーネーションを聴いてない人が居たら、少しでも興味を持ってくれたら、
と思って今回のセットリストを載せたいと思います。
リンクがあるものはYouTubeのURLを載せておきますので、どうぞよしなに。


1. やるせなく果てしなく ("LIVING/LOVING"収録)
トリオ編成になってから最初のアルバムの1曲目。
それを1曲目に持ってくるカッコよさ。
メロディ、コード、どれを取ってもカーネーション節炸裂の1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=bNdeu5RkT_w


2. 魚藍坂横断 ("SUPER ZOO!"収録)
元メンバー矢部さんのペンによる作品。
個人的に大好きな曲なので今回聴けてうれしかったです。


3. 未来図 ("Sweet Romance"収録)
ベースの大田さんがボーカルを取る1曲。
おおらかなメロディラインに大田さんのボーカルが映えます。


4. Angel ("Super Zoo!"収録)
必殺の大名曲。こんな序盤にやるの!とセットリストを見てビックリしました。
ここまでトリオでの演奏。
クアトロの舞台袖で直枝さんのギターソロ見てて今夜は凄いことになりそうだ、
と覚悟を決めました。
http://www.youtube.com/watch?v=zmCHZypp53U


5. からまわる世界 ("エレキング"収録)
ここでセットリストは初期に戻ります。そして僕が参加します。
91年のアルバムの1曲目を飾るこの曲をリクエストしました。
重厚なリフが利いた名曲。歌詞がとても好きです。
トリビュートではシャムキャッツが勢い良くカバー。


6. One Day ("ムサシノep"収録/現行のCDだと"booby"のdisc2に収録)
近年のライヴであまり聴かない曲をリクエストしよう、
と思っていたのですが、大好きな曲なのでリクエスト。
シンプルな曲調に詩の情景がとてもよくマッチします。
まだ自転車で音楽を聴くのが禁止になる前に、
バイト先へ向かう遊歩道でよく聴いたことを思い出します。


7. I LOVE YOU ("Sweet Romance"収録)
"天国と地獄"の頃にはデモがあり、
マニアの間では人気が高かった曲がついに正式にレコーディングされた、
ということで一部で大いに話題になった名曲。
http://www.youtube.com/watch?v=T3giLhR7NTI


8. Standin' All Alone ("Wild Fantasy"収録)
矢部さんのペンによる作品。
ソウル・プログレな難曲。
軽々と演奏してみせるカーネーションの演奏力はさすが。


9. センチメンタル ("LOVE SCULPTURE"収録)
5人編成最後のアルバムからの選曲。
ライヴでは大田さんと直枝さんのハーモニーが印象的でした。


10. 幻想列車 ("LOVE SCULPTURE"収録)
もう何を押さえているのかまったくわからないギターコードが炸裂する大名曲。
センチメンタルな曲調なのにサビ終わりには泥臭くロックする。
http://www.youtube.com/watch?v=2M95Ngkl4Go


11. PARADISE EXPRESS ("Wild Fantasy"収録)
ゆったりかつタイトに踊らす"Wild Fantasy"クロージングナンバー。
「思い通りに景色変えてみせようか」というフレーズはいつ聴いてもはっとします。


12. Young Wise Men (Tokyo Twilight Shuffle Version)
   ("REAL MAN"B面/現行では"LOVE SCULPTURE"Disc2収録)
デビュー曲をメロディもコード進行も入れ替え、
歌詞だけは"Young Wise Men"という、
ほぼまっさらな新曲に仕上がったニューウェーブの怪物曲。
優介がとても楽しそうに演奏していたのが印象に残っている。
http://www.youtube.com/watch?v=Rq7397ISKdw


13. New Morning ("booby"収録)
"booby"のオープニングを飾る突き抜けた1曲。
カーネーションをはじめて聴いたのは"天国と地獄"と、
今回のトリビュートに関するメディアでの取材で公言し続けてきましたが、
先日mixiの日記を掘り返していたらなんと最初が"booby"で、
その次が"天国と地獄"でした。
やたらと"booby"を借りて聴いた時の一連の動作が鮮明なのには、
そういう理由があったのか、と腑に落ちました。
大学に向かう途中、三田線の新板橋から埼京線の板橋駅に乗り換えるため、
新板橋駅のエスカレーターではじめて再生して、度肝を抜かれたんでした。
板橋駅のホームへ向かう時に"The Future Rock Show"になって、
「裸足で会社へ行こう」という歌詞に本当にしびれて、
当時の自分の切羽詰まった感じと見事に合わさって、
「流石に裸足は無理だけどノーパンならいける」と活路を見出し、
ノーパンで大学へ行くという妙なこじらせ方をしたことを思い出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=8fknZ3pKuGk


14. Garden City Life ("Girl Friend Army"収録)
こちらも"Girl Friend Army"のオープニングを飾る曲。
大名盤に相応しい最高の1曲目。
http://www.youtube.com/watch?v=Hjk25g93kX0


15. ジェイソン ("Velvet Velvet"収録)
カーネーション転換期、最高のロックナンバー。
ライヴだとこれがもうハチャメチャに盛り上がるんです。
久しぶりにCDバージョンも聴いたんですがこっちも最高で。
もうどうなっちゃてんの、と。
http://www.youtube.com/watch?v=Xy1i_7TrN30


16. Super Zoo! ("Super Zoo!"収録)
2004年発表のアルバム表題曲かつオープニングチューン。
苛立ちながらもそれを吹き飛ばす力強さが痛快な一曲。
ここからまた僕が参加します。
http://www.youtube.com/watch?v=kVRMkjl7rJ8


17. たのんだぜベイビー ("Parakeet & Ghost"収録)
大好きな1曲です。今回リクエストさせていただきました。
これは聴いてくれ、としか言いようがない。
http://www.youtube.com/watch?v=rsOI58Ktw5k


18. REAL MAN ("LOVE SCULPTURE"収録)
直枝政太郎という芸名で活動していた直枝さんが表記を本名に戻した曲。
何回聴いても泣きそうになります。
直線的なビートに単音のオルガンが乗っかり、
そこに暴れるときは大いに暴れるけれども、
余白もしっかり作るストリングスが入ったらもうそれはひとつの理想。
B級SF映画を模したPVも本当に最高。
ストーンズの「山羊…」のジャケットパロディがクール。
http://www.youtube.com/watch?v=tO315MM70ws


19. Edo River ("Edo River"収録)
カーネーションの代表曲とも言えるこの曲で本編は終了。
藤井さん(オルガン)→直枝さん→藤井さん(ピアノ)のソロが激アツでした。
http://www.youtube.com/watch?v=jgoRGi5cgDw


Enc.1 ぼくはイノシシ ("1959"収録)
アンコール1曲目は直枝さんと鈴木惣一郎さんのユニット、
ソギー・チェリオスの曲を演奏。
惣一郎さんは正装で彼らの30周年を祝った。


Enc.2 The End Of Summer ("天国と地獄"収録)
トリビュートから客演で大森靖子さんがピアノで弾き語り、
2番からカーネーションの演奏が乗っかりました。
"天国と地獄"は外せないっす。外せないんっすよ。
http://www.youtube.com/watch?v=hME6vB8iYYE


Enc.3 夜の煙突 ("GONG SHOW"収録)
最初期からのレパートリー。
言葉の反復で広がりをつくるシンプルで複雑な名曲。
敢えて森高さんのPVを貼ります。
http://www.youtube.com/watch?v=b9ZMzQ3-ERk


Enc.4 愛のさざなみ ("天国と地獄"収録)
日記に書いたように島倉千代子さんのカバーです。
この曲はYouTubeにあったんですが、
エアチェック音源かなにかでテープの回転が少し遅いやつだったので、
みなさま聴こうぜ"天国と地獄"